この差って何ですか?

毎週火曜よる7時

過去の放送内容

2019年4月16日

(1)新元号「令和」の「令」の字にまつわる差

(写真)

専門家:山口謠司(大東文化大学 文化部准教授)

この差は…
◯「明朝体」か 「楷書体」か どうか
「明朝体」は、実は印刷屋さんの都合だった。

◯「令」の字、大きく2種類ある。
1つ目は、新年号が発表された時に使われていた「令」の字の「下の字が漢字の刀のような形」の字、もう1つが「下の部分がカタカナのマの形」。どちらの文字も使ってよい字。

◯2種類の「令」の字、そもそもどちらが先にできたのか?
実は、先にできたのは「マ」のような形の「令」。元々この漢字は、どのようにして生まれてきたかと言うと、「象形文字」。「令」の字は、「令和」の由来となった「令月」のように、「美しい」という意味もあれば、「命令」や「指令」などの熟語にも使われているように、「いいつける」という意味もある。この「令」は、建物の下で「いいつけ」を聞いている様子から生まれた象形文字だった。だいたい7世紀くらいに今の形になっている。
もう一方の下の部分が「刀」のような形の「令」は、16世紀、中国に「明」という王朝があった「明の時代」に作られた。

◯なぜ「令」は、カタカナの「マ」のような形から、「刀」のような形に変わったのか?
実は、この「令」の字、「木版印刷」がきっかけで、カタカナの「マ」から「刀」のような形に変わった。
当時は、木に文字を彫って版画のように印刷する「木版印刷」で、書物などが作られていた。その時に、鋭角に彫っていくと、とっても彫りにくかった。そこで、彫りやすいように、「マ」の「鋭角の部分」を直角にした。それから最後の「点の部分」も、彫刻刀を木目に対して、斜めに入れるのではなく、まっすぐ入れてった方が彫りやすかった。つまり、「刀」のような形に変わったのは、実は印刷屋さんの都合だった。

◯「明朝体」とは、「木版印刷」の際に彫りやすいようにアレンジされた文字!
実は、皆さんがよく聞く「明朝体」とは、「木版印刷」の際に彫りやすいようにアレンジされた文字だった。それが印刷物として広まり、「明」の王朝の時に作られた書体なので、「明朝体」と呼ばれるようになった。

◯新元号「令和」の発表は「明朝体」だった。
一般的に、書道の時は「楷書体」で書かれるが、今回の新元号発表の文字は「明朝体」だった。参考までに、今回番組では、「楷書体」と「明朝体」の「令和」を比較してみた。スタジオの反応は、新元号発表の場では「明朝体」のほうが好印象との意見だった。

(2)「長方形の玉子焼き器」と「正方形の玉子焼き器」の差

(写真)

専門家:専門家:高木伸一(たまご博物館 館長)

この差は…
◯「長方形」は、「ダシ巻玉子」用
◯「正方形」は、「厚焼き玉子」用 か どうか
先に作られるようになったのは、関東の「厚焼き玉子」

◯形の違う「玉子焼き器」は、本来“使い方に明確な違い”がある?
「玉子焼き器」には、「長方形」のモノと「正方形」のモノがあり、“使い方に明確な違い”がある。長方形は「ダシ巻玉子」を作る時に使い、正方形は「厚焼き玉子」を作る時に使う。

◯なぜ「ダシ巻き玉子」を作るのは「長方形」で、「厚焼き玉子」を作るのは「正方形」の玉子焼き器なのか?
まず先に作られるようになったのは、関東の「厚焼き玉子」。「厚焼き玉子」が生まれたのは 、江戸時代後期と言われている。江戸の「お寿司屋さん」が、酸味のある「お寿司」の口直しとして、砂糖で甘く味付けをした「厚焼き玉子」を作るようになった。そして、その時に使われたのが、「正方形の玉子焼き器」と言われている。実際に、江戸時代に書かれた料理本にも、「正方形の玉子焼き器」が登場している。
では、この「正方形の玉子焼き器」を使って、どのように「厚焼き玉子」を作っていたのかというと、現在と同じく、まずは「溶いた卵」の中に「砂糖」などを加え、それを「正方形の玉子焼き器」に 一気に流し込む。そして、玉子が固まってきたら、このように二つ折りにして「厚焼き玉子」を作っていた。
その後、全国的に食べられるようになったが、関西は、現在と同じく「ダシ文化」だったので、甘い味付けの「玉子焼き」は、受け入れられず、「玉子焼き」にも「ダシ」を加えるようになった。しかし、ここで、ある問題が発生する。この「正方形の玉子焼き器」では、関西の「ダシ巻き玉子」は、作り方の関係で、うまく作れない。「ダシ巻き玉子」は、「ダシ」を入れていることで「水分量」が多くなり、生地が固まりにくいため、強度がなく、正方形だと、どうしても破れてしまう。そのため、「関西」では、柔らかくても巻きやすいように、横幅を狭くした「長方形の玉子焼き器」が作られた。
ということで、「玉子焼き器」は、長方形だと、何層も巻く、関西の「ダシ巻き玉子」などがうまく作れる。一方、正方形だと、分厚く、二つ折りにした、関東の「厚焼き玉子」がうまく作れる。

(3)今が旬!「海藻の健康効果」の差

(写真)

専門家:藤田大介(日本海藻協会 会長 東京海洋大学 准教授)、浜田陽子(料理研究家)

この差は…
◯「骨粗しょう症の予防」には、「ひじき」。
◯「高血圧の予防」には、「ワカメ」。
◯「胃がんの予防」には、「もずく」。
さらに、ほかの食材と組合せることで、効果アップが期待できる。

◯今回の候補にした海藻
今回は、今が旬の「海藻」の健康効果の差をご紹介!この時期、スーパーなどに行くと、「新物」と書かれた採れたて新鮮なワカメなど、生の海藻がたくさん並んでいる!そんな、「生」の海藻が売られているのは、新物が多いこの時期。冬の間にたっぷりと栄養分を蓄え成長した海藻が、今、まさに旬を迎えている。さらに、日本は、世界でも海藻の種類が豊富な国で、全国津々浦々数えると、100種類以上食べている。それが健康長寿に繋がっているという風にも言われている。
しかし、どの海藻を食べると どのような健康効果が得られるかは、あまり分かっていないことが多い。そこで、今回は、普段よく食べている海藻である「ひじき」、「ワカメ」、「もずく」の3種類が持つ健康効果の差と、より効果的な、食べ方をご紹介!

◯「骨粗しょう症予防」に効果的な「海藻」は、「ひじき」
「骨粗しょう症予防」に必要な「カルシウム量」は、「牛乳」の約10倍。食べる量は、「牛乳一本分の10分の1の量」でよい。
「ひじき」の一大産地、三重県南伊勢町。毎日、だいたい一日一食、食べているという88歳の男性に、どのくらい骨が丈夫なのかを測定してみたところ、なんとA判定だった!(※今回の測定器は、5段階評価で「C」が平均、 「B」以上だと骨が丈夫で、「D」以下だと「骨粗しょう症」の可能性)

◯さらに「骨粗しょう症予防」に効果的な食べ方は、「豆腐」と一緒に食べる
食べ方によって「骨粗しょう症予防効果」がより高まる。その食べ合せは、「ひじき+豆腐」。産地で食べられている「ひじきのがんもどき」はオススメ。「豆腐」には、「マグネシウム」という成分が入っており、「カルシウム」を骨に吸着しやすくしてくれる。そのため、「カルシウム」と「マグネシウム」をバランスよく摂る事で、骨をより丈夫にすることができる。

◯番組オリジナル「ひじきと油揚げの簡単作り置きレシピ」:「ヒジキと油揚げの作り置き」
「ひじき」と「油揚げ」を使って、「ヒジキと油揚げの作り置き」を作る。「油揚げ」は、豆腐と同じく大豆からできているので、「マグネシウム」がとっても豊富。
今回は、「750mlの保存容器に入る量」をつくっていく。使う食材は、いつでも手軽に手に入る乾燥ヒジキ(20g)、油揚げ(4枚)、青じそドレッシング。
まずは、「油揚げ」、あぶら抜きしたものを、およそ1cm角の大きさになるように、細かく刻んでいく。そして、油をひかず、フライパンに「刻んだ油揚げ」と、「ひじき」、「青じそドレッシング」を入れて、中火で炒めていく。そして、水分がなくなって、カラッとしたら完成。保存容器で冷蔵保存すれば、4日程度、おいしく食べられる。

◯料理研究家 浜田陽子のオススメの食べ方
「ひじきと油揚げのピザトースト」。作り方は、食パンにマヨネーズを塗って、ひじき・油揚げ・チーズを混ぜたモノを乗せて焼くだけ!スタジオの評価も「本当にチーズと合う!」など高評価。

◯「高血圧の予防」に効果的な「海藻」は、「ワカメ」
塩分の取りすぎは「高血圧」になるが、「ワカメ」には「アルギン酸」や「カリウム」が豊富に含まれており、塩分を取り除いてくれる効果がある。「アルギン酸」は、塩分を絡め取って出してくれる。「カリウム」は、塩分を再吸収するのを妨げてくれる。これら2段構えで、健康に良いということ。なので、塩分の高い味噌汁に「ワカメ」を一切れでも入れておくのは、とても理にかなったことだといえる。
さらに今が旬の「生ワカメ」の「カリウム」は、「乾燥ワカメ」よりも約20倍多いといわれている。

◯さらに「高血圧の予防」に効果的な食べ方は、「ショウガ」と一緒に食べる
食べ方によって「高血圧の予防効果」がより高まる。その食べ合せは、「ワカメ+ショウガ」。産地で食べられている「ワカメの生姜焼き」がオススメ。「ショウガ」には、「ジンゲロール」という成分が入っており、血管を広げてくれる働きがある。血管内にかかっていた圧力を、「ショウガ」の「ジンゲロール」が血管を広げ、下げてくれるので、「高血圧の予防効果」を、より高めることができる。

◯レシピ 「ワカメの生姜焼き」
まずフライパンに「ごま油」をひき、千切りにした「ショウガ」、「ワカメ」を加える。あとは「豚肉の生姜焼き」同様に、醤油、みりん、砂糖、お酒で、味付けをしたら完成。スタジオの評価も「しゃきしゃき触感もすごくいいし、生姜焼きの甘みとうま味が本当広がっていい!」など高評価。

◯「胃がんの予防の予防」に効果的な海藻は、「もずく」
「胃がんの予防」に必要な「フコイダン」という食物繊維が、「もずく」には圧倒的に多く含まれている。「フコイダン」は、胃がんの原因であるピロリ菌を絡みついて排出してくれるので、「胃がん」を予防できる。
日本一の「もずく」の生産地である沖縄県は、47都道府県の中で「胃がん」の発症率が1番低い。

◯さらに「胃がんの予防」に効果的な料理法は、加熱すること!
「胃がんの予防」に、最も効果的だと注目した料理は、産地で食べられている「もずく丼」、「もずくの天ぷら」。ポイントは、加熱すること!実は「もずく」は、加熱すると細胞壁が壊れて、中から「フコイダン」などの栄養成分が出てきやすくなる。そのため、高温の油で揚げる「もずくの天ぷら」や炒めた「もずく丼」は、「フコイダン」などの栄養成分をより得ることができる。

◯番組オリジナル もずく酢を使った「もずく酢のサンラータン」
今回「もずく」を加熱し、より健康効果が得られて、もちろん美味しい「もずくレシピ」をご紹介!しかも、普段、買ってそのまま食べることが多い、味付けしてある「もずく酢」を使ったモノ!
まずは、鍋に、「ごま油」、「豚肉」とか「野菜」とかを炒める。火が通ったら、「水」と「もずく酢」、「鶏ガラスープの素」、あと「水溶き片栗粉」で、最後に「ラー油」を少しかける。スタジオの評価も「もずく酢、あんまり得意じゃないけど、これはすごく美味しい!」など高評価。

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