この差って何ですか?

毎週火曜よる7時

過去の放送内容

2019年4月9日

(1)「グリーンアスパラガス」と「ホワイトアスパラガス」の差

(写真)

専門家:坂井弘治(岩内町郷土館 館長)

この差は…
◯「グリーンアスパラガス」は、「国内で食べられる用」
◯「ホワイトアスパラガス」は、「海外に輸出用」 だったか どうか
1970年代の「緑黄色野菜ブーム」が「グリーンアスパラガス」を一般化させるキッカケ。

◯「グリーンアスパラガス」と「ホワイトアスパラガス」の差とは?
実は2種類の「アスパラガス」は、全く同じ品種!「グリーンアスパラガス」は、日光に当てて成長させたモノ。「ホワイトアスパラガス」は、日光を遮断し日に当てずに成長させたモノ。

◯なぜ「グリーンアスパラガス」は「生」で売っていて、「ホワイトアスパラガス」は「缶詰」で売っているのか?
現在、スーパーなどで、「グリーンアスパラガス」は「生」で売っていて、「ホワイトアスパラガス」は「缶詰」で売っている。これは、そもそも「グリーンアスパラガス」は、「国内で食べられる用」に生産されたモノ。一方、「ホワイトアスパラガス」は、「海外に輸出用」として、日持ちするように缶詰として生産されたモノ。

◯なぜ「グリーンアスパラガス」は「国内向け」、「ホワイトアスパラガス」は「海外向け」と区別して作られ始めたのか?
日本で最初に「アスパラガス」の生産を始めた所は、北海道・西部にある岩内町。そこで、「岩内町郷土館」で、「アスパラガス栽培の歴史」について聞いてみた。
1924年(大正13年)に、日本最初のアスパラガスの生産が始まったが、実は「ホワイトアスパラガス」が先!日本では、まず先に海外に輸出する「アスパラガスの缶詰」を作るために、 「ホワイトアスパラガス」を作り始めた。
当時、欧米では、「グリーンアスパラガス」よりも、圧倒的に「ホワイトアスパラガス」の方が人気の野菜で、1年中食べられるように、「缶詰」で売られているのが主流だった。なぜなら、昔は「グリーンアスパラガス」がとても青臭かったため、「ホワイトアスパラガス」の方が美味しいとされていた。
その様子を海外で目の当たりにしたのが、ここ岩内町の人物。「海外の人は、みんな“ホワイトアスパラガス”が大好きだな!」、「それならば、日本で、これを作って缶詰にして、海外に売り出せば、めちゃくちゃ儲かるのでは!?」と考えた。そこで 実際に「ホワイトアスパラガス」を北海道で栽培し、「缶詰」にして輸出してみたところ、美味しくて、品質がいいということで、欧米などで、すぐに大人気になった!

◯「グリーンアスパラガス」は「国内向け」になった理由とは?
1970年代になると、中国や台湾で「ホワイトアスパラガスの缶詰」が大量生産されるようになり、安い値段で流通したため、日本の「缶詰」が徐々に売れなくなってしまった。
そんな中1970年代、日本人の食生活に「ある大きな変化」が!それが「緑黄色野菜ブーム」!海外から日本に「レタス」や「トマト」「ブロッコリー」などが入ってくると、「栄養価の多い 緑黄色野菜を たくさん食べよう!」という「緑黄色野菜ブーム」が起こった。さらに、1970年代「ファミレス」などが、次々と オープンし、「サラダバー」が登場したことによって、日本で「サラダ」を食べるという食文化が一気に定着した。
そんな中、「ホワイトアスパラガス」が売れなくなって困っていたアスパラ農家が、「日光を当てれば、ホワイトアスパラも緑黄色野菜になる」、「緑黄色野菜にすれば、このブームに乗って、アスパラも売れる!」という事に気付いて、「グリーンアスパラガス」を作り始めた!つまり、これまで「ホワイトアスパラガス」を作っていた農家が、日本国内で売るために「グリーンアスパラガス」を作るようになった。
すると、「グリーンアスパラガス」は、見事、日本国内で大ヒット!こうして「生のグリーンアスパラガス」がどんどん日本で広まっていき、今では当たり前に 食卓に並ぶようになった。

(2)「日本酒」と「ワイン」と「ビール」の注ぎ方の差

(写真)

専門家:上杉孝久(日本酒アカデミー講師)、江畑進一(ソムリエ セラーマスター)、藤原ヒロユキ(日本ビアジャーナリスト協会 代表)

この差は…
◯「日本酒」は、「お店の心意気」をあらわすため
◯「ワイン」は、「空いた空間にたまった「香り」を楽しむ飲み物のため
◯「ビール」は、「不正に儲けるという事件」を防止するための法律があったため か どうか
ヨーロッパには、「目盛付きのビールグラス」が今でもある。

◯「お酒」の注ぎ方の差とは?
「日本酒」は、なぜか「升」を受け皿にして「こぼれるまで」つぐ!さらに「日本酒」だけではなく「ワイン」や「ビール」も、つぎ方に特徴がある。「ワイン」はグラスに「ちょっとだけしか」つがず、「ビール」はグラスに「なみなみ」つぐ。なぜ、それぞれの「お酒」は、このようなつぎ方をするのか?

◯「ワイン」をグラスに「ちょっとだけしか」つがない理由とは?
「ワイン」をグラスに少ししか注がない理由は、「ワイン」は「香りを楽しむ飲み物」だから。
「ワイン」は「グラス」の空いた空間にたまった「香り」を楽しむ飲み物なので、「なみなみ」ついでしまうと「香り」がたまらず、外に逃げてしまう。そのため、わざと「ワイン」の量を少なく注ぐようになった。

◯「ビール」をグラスに「なみなみ」とつぐ理由とは?
「ビール」を「なみなみ」と注ぐ理由は、1698年、イギリスで「なみなみ」つがないといけない!という法律が出来たから。
なぜ、そのような法律ができたかというと。当時、イギリスの居酒屋さんで「ビール」を販売する時に、店員がわざと泡を多く入れてビールの量をごまかして、不正に儲けるという事件が横行した。そのため、「ビール」を販売する時は、「メモリのあるグラス」を使って販売して、そのメモリより上に液体が入らなければならないという決まりができた。
「メモリのあるグラス」は、実は、現在も「ヨーロッパ」で使われており、「グラス」の上の方にある「メモリ」よりも多く液体をつがなければいけないので、自然と「ビール」は、「なみなみ」とつぐようになった!
そして、江戸時代後期「日本」にビールが伝わった際、この「なみなみ」つぐ習慣も一緒に入ってきたので、現在、日本でも、ビールは「なみなみ」とついでいる。

◯なぜ「日本酒」は、わざわざ「グラスからこぼして」つぐようになったのか?
「日本酒」を「グラスからこぼす」ようになったのは、お店の「心意気をあらわすため」。
昭和初期、日本酒を「こぼして」つぐようになった。当時、庶民にとって日本酒は、とっても高価だった。あるお店で、日本酒をつぐ際に、お店にあった「升」を受け皿にして、こぼれないようにした。そして、このお店では「升」を受け皿にして、「日本酒」を、「なみなみ」つぐようになった。これが評判となり、やがて、他のお店でもマネをするようになった。すると、今度は「こぼす」つぎ方が評判となり、他のお店も競って、こぼし始め、いつしか、「日本酒をどれだけこぼすか」が、お店の「心意気を表すバロメーター」になっていった。現在も、その名残で「日本酒」は、グラスから「こぼして」つぐのが一般的となっている。

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