この差って何ですか?

毎週火曜よる7時

過去の放送内容

2019年2月5日

(1)「の」が付く祝日と「の」が付かない祝日の差

(写真)

専門家:高森明勅(日本文化総合研究所 代表)

この差は…
「“の”が付く祝日」は、「その日でなくてもいい」
「“の”が付かない祝日」は、「その日でなければならない」 か どうか
2020年は「“の”が付く祝日」の特徴を活かした年に!

〇国民の祝日は年間16日
法律で決められた祝日(国民の祝日。祝日法第2条で定められた祝日)は、年間16日(2019年1月末現在)あり、それぞれに正式名称がある。そのうち「建国記念の日」といった「”の”が付く祝日」と、「憲法記念日」といった「“の”が付かない祝日」の2種類の祝日がある。
「“の”が付かない祝日」は、「元旦」、「憲法記念日」、「天皇誕生日」の3日。それ以外の13日は「“の”が付く祝日」になる。

〇「“の”が付かない祝日」は、「その日でなければならない」 !?
「元旦」は、「年の始め」で、1月1日。「憲法記念日」は、「憲法の施行」で、5月3日。「天皇誕生日」は、「現在の天皇陛下の誕生日」で、12月23日。
それぞれ祝う日付が客観的事実にもとづいて決められているため、必ずその日付でなくてはならない。

〇「“の”が付く祝日」は、「その日でなくてもいい」!?
その日でなくてもよいとは、どういうことか?というと、複数の候補から「最もふさわしい日」を選んだ祝日。
例えば、「こどもの日」。この祝日は、「子どもの成長を祝う日」なので、「こどもの日」の候補は、「5月5日(端午の節句)」と「3月3日(雛の節句)」があり、これらの候補の中から選んだ。そのため必ずしもその日付でなくてもいい。

〇このルールは、いつ決定したのか!?
昭和23年(1948年)、最初に「祝日」が定められた時、すでにこういうルールが定まっていた。
当時、1年を通して、バランスよく9つの祝日の候補日が選ばれた。これらの祝日に名前を付けようとした時、「1月1日(年の初めを祝う日)」、「4月29日(昭和天皇の誕生日を祝う)」、「5月3日(日本国憲法の施行を記念する日)」の3つは「その日でなければいけない祝日」、それ以外は「その日でなくてもいい祝日」とのグループに分かれることに気付いた。
そこで、それぞれのグループを分ける目安として、「その日でなければいけない祝日」に「“の”が付かない祝日」、そして「その日でなくてもいい祝日」に「“の”が付く祝日」という区別をルールとして決まった。

〇「建国記念の日」は、決まらないの!?
「建国記念の日」は、最初の天皇とされる「神武天皇」が即位したとされる日、紀元前660年2月11日のため、2月11日になっている。
しかし、実は2月11日以外に、いくつも候補があった。例えば、候補①:4月3日(604年 聖徳太子が「十七条憲法」を発布したとされる日)、候補②:8月15日(1945年 終戦の日)なども候補になっていた。つまり、複数の候補からチョイスしたため、「“の”が付く祝日」となった。

〇2020年東京オリンピックイヤーは、祝日が大移動!?
「成人の日」は、「1月の第2月曜日」となっているため、年によって日付が変わる。つまり、「“の”が付く祝日」は、その日でなくてもいいので、年によって日付を動かすことができる。
そのため、2020年東京オリンピックの年には、祝日が大移動する!まず「体育の日」は普通なら「10月の第2月曜日」だが、2020年だけは7月24日と、10月から7月に移動する!これは7月24日が東京オリンピックの「開会式の日」。
ほかにも通常なら「7月第3月曜日」が「海の日」だが、開会式前日の7月23日へ移動!8月11日の「山の日」は、東京オリンピック閉会式の翌日8月12日に移動。このように連休をつくることで、「通勤・通学者を減らし、交通規制をしやすくする」狙いがある。

(2)「俳優」と「役者」の差

(写真)

専門家:佐々木文彦(明海大学 教授)

この差は…
今では、どちらもドラマや映画に出演する人を指す
名優による「俳優」と「役者」の定義も、人それぞれ
そもそもの語源はまったく別のものだった

〇「俳優」は、奈良時代以前から!
現在は「俳優」も「役者」も一般的には同じ意味ですが、そもそもの語源は全く違う。
先に登場したのは「俳優」で、奈良時代以前から使われている言葉。日本最古の歴史書『日本書記』にも「俳優」という文字がある。ちなみに当時は「俳優」と書いて、「わざおぎ」と読んでいた。「俳優(わざおぎ)」という言葉は、滑稽な踊りなどで神様を喜ばせて、「神様の術(力)」を招き寄せること。
つまり、「俳優の本来の意味」は、魔除けや豊作を願うために、「歌や踊り」によって神様を喜ばせることであり、今の「俳優」のように「何かを演じる」という意味はない。

〇「役者」は、室町時代以降!
室町時代以降、能や狂言などが生まれ、「役を務める」「演じる人」を「役者」と呼んだ。
つまり、「役者の本来の意味」は、能や狂言で「役をもらって演じる人」を意味する。

〇「俳優」と「役者」の境目がなくなるのは、江戸時代!
しかし江戸時代になると「物語を演じる役者」が演目のなかで、「歌や踊り」も披露することになり、「俳優」と「役者」の境目がなくなった。現代では「同じ意味」で使われるようになった。

〇実際に映画やドラマに出演している名優たちが考える「俳優」と「役者」の差とは?
今回は、武田鉄矢、佐野史郎、陣内孝則、そして当番組の司会で名脇役としてドラマに出演する加藤浩次も、「俳優」と「役者」の差に関する独自の考え方を熱く語る。

〇武田鉄矢が考える「俳優と役者の差」とは?
武田鉄矢が考える「俳優」は主役をはれる「スター」、「役者」はキャラに縛られない「名脇役」とのこと。
ちなみに、武田鉄矢本人は「俳優であり、役者ではない」と語る。武田鉄矢曰く、「まかり間違っても、お酒を飲んでも、俺は役者だとは絶対言わない!」とのこと。また「俳優は、台本を1冊しか持っていない、つまり主役を演じることが多い」、一方「役者は、台本を3冊以上持っている、脇役をできるから」と語る。
具体的には、「俳優」は木村拓哉、福山雅治、石原裕次郎。太陽のように明るい「大スターが輝く人」。ただ「俳優」にもある欠点があるという。それは、「明るい俳優」はキャラが1つしかもてないということ。その役を一生涯背負わないといけない。武田鉄矢の場合、「先生のキャラ」。「もう逃れられない。個性は1つだから。飽きられて、つまずくと、賞味期限が終わってしまう」とも語る。
武田鉄矢曰く、「役者」は遠藤憲一、松重豊、西田敏行。キャラを持たないことが売り文句。例えば、「遠藤憲一は、最初相当悪い人の役が多かったが、今は善人ができる」とのこと。

〇佐野史郎が考える「俳優と役者の差」とは?
1992年に最高視聴率34.1%を記録した『ずっとあなたが好きだった』で、「冬彦さん」の猟奇的な演技が話題になった名優の佐野史郎。佐野史郎曰く、「人によって、どう思うか違うかもしれないけど、作品のために演じるのが『俳優』。逆にいうと自分のために演じるのが『役者』」とのこと。
佐野史郎自身は、今は「俳優」だという。しかし演じることを始めた当初、45年前は「役者」だと思っていたとのこと。「20代の役者として生きていた時は、『自分が!自分が!』だった。物語とか作品とは関係のない自分の自我みたいなものを吐き出しているような演技だった」と語る。その後、「モノをつくるというか、作品の世界を生きるために演じるというように意識が変わったかもしれない」と語る。

〇陣内孝則が考える「俳優と役者の差」とは?
「俳優」は、「なりたくてなった人(演技力)」で、俳優になりたくで、努力して勉強した人。
一方、「役者」は、「なるべくしてなった人(人間力)」。例えば、だれかに言われたりしてはじめる人や歌舞伎の家はそれにあたると考えているとのこと。

〇名脇役 加藤浩次が考える「俳優と役者の差」とは?
「俳優」は、「下に優しい」。「優しい」という字が入っているから。
一方、「役者」は、「下に厳しい」。過去に異常に厳しい人がいたからと語る。

(3)昔と今の「防災常識」の差

(写真)

専門家:和田隆昌(防災士・災害危機管理アドバイザー)

この差は…
地震が起きた直後には、「家の玄関」に避難し、ドアを開け避難経路を確保すること。
屋外で地震にあった場合は、「ガソリンスタンド」に避難すること。
地震の起きた際には、「火の始末」は揺れがおさまってからすること。
地震の備えとして、「お風呂のお水」ではなく「飲料水や生活用水」を備蓄しておくこと。
地震の後は、「片付け」の前に「写真撮影」しておくこと。
火災発生時には、「濡れたハンカチ」ではなく、「ポリ袋」で避難すること。
「昔の防災常識」から「今の防災常識」へ知識をアップデート!

〇あなたの「防災常識」は間違い?
日本全国で、様々な災害が起きた2018年。一年間を表す漢字として「災」だったのも、みなさんの記憶に新しいのでは。
様々な災害に備えるうえで大事な「防災常識」。実は、昔と今とでは大きく変化している。例えば、昔から「地震が起きたらまず火の始末」をする、「地震に備えてお風呂に水を溜めておく」などの「防災常識」を聞いたことがあるはず!でも実は「今の防災常識」では間違いだった。

〇「地震が起きた直後にとるべき行動の差」(その1)
今回の想定は、築10年のマンションで、震度6の地震が発生した場合。
「昔の防災常識」では、地震が起きたら、すぐに安全な公園に避難などを考え、「すぐに外に飛び出る」だが、これは間違い!「今の防災常識」では、外に出るより、家の中にいる方が安全で、「すぐに外に飛び出なくてよい」。
そもそも「すぐに外に飛び出した方が良い」と言われるようになったキッカケは、1978年(昭和53年)に起きた「宮城県沖地震」。多くの建物が倒壊して下敷きになって亡くなった方が多かったため、「すぐに外に逃げた方が良い」という常識が広まった。
しかし「宮城県沖地震」をキッカケに1981年6月以降、「建物の耐震基準が変更」されたため、マンションも一戸建ても頑丈になり、崩れにくくなった(※1981年以降の建物が全て安全という訳ではない)。そのため、「建物が崩れる危険性」よりも、すぐに外に出てことで、上からガラスや看板などの「落下物により怪我をする危険性」のほうが高いと考えられている。

〇「家のどこが一番安全」?
それでは、家の中で一番安全場所とは?今回の想定は、1LDKの間取り。「リビング」、「ダイニングキッチン」、「寝室」、「お風呂」、「トイレ」、「玄関」、「バルコニー」のうち、どこが一番安全か?
正解は、「玄関」。「リビング」などの場合、周辺の食器棚や本棚が倒れることで、逃げ場がなくなってしまうことがあるのでオススメできない。そうなると「トイレ」や「お風呂」でもよさそうだが、最近の「トイレ」や「お風呂」には「柱が使われていない」ことがあり、耐震性が低い場合がある。その場合、ドアがゆがみ閉じ込められる可能性が高いといわれている(※一体型の建物全てが危険という訳ではない)。そこで、「倒れてくるものがない」、「柱に覆われている」ことから、家の中で比較的頑丈な「玄関」がオススメとなる。また、「玄関」においても、何かあった時のために、ドアを開けて、「逃げ道を確保すること」も忘れずに!

〇外にいる時に地震が起きたら、どこに逃げると良い?
今回は、街でよくみかける「コンビニ」、「駐車場」、「鉄骨のビル」、「ガソリンスタンド」の中で一番オススメな避難場所を考える。
正解は、「ガソリンスタンド」。「ガソリンスタンド」は、イメージとして、火に弱く、建物が崩れて爆発すると思っている方が多い場所ですが、実は街の中で「最も安全な場所」といえる。まず「ガソリンスタンド」は、消防法・建築基準法において、普通の建物よりも厳しい基準で建築されており、他の建物よりはるかに頑丈。実際、1995年(平成7年)の「阪神・淡路大震災」にも「ガソリンスタンド」は崩れずに残っている様子が写真などで記録されている。さらにガソリンスタンド全体が「防火壁」に覆われているため、炎が外から入ってこないことも、安全な理由のひとつ。
それでは、「ガソリンが爆発する危険はないのか?」という疑問はどうか?「ガソリンスタンド」のガソリンは、コンクリートで、非常に深い位置に埋められているので、爆発することは考えられない。
そして、「ガソリンスタンド」の中には、太陽光発電や貯水設備などを完備した「災害対応型給油所」という場所もある。自宅の近くにあるか、チェックすることをオススメしたい!

〇「地震が起きた直後にとるべき行動の差」(その2)
「昔の防災常識」では、「地震が起きたら、まず火の始末」と言われてきたが、間違い!「今の防災常識」では、「火の始末は揺れがおさまってから」。
そもそも「地震が起きたら、まず火の始末」と言われるようになったのは、1923年(大正12年)に起きた「関東大震災」がキッカケ。ちょうどお昼時だったため、台所の火から燃え移った火災が被害を大きくした。
しかし1997年(平成9年)から、都市ガス・プロパンガスなど、全てのガスメーターは、震度5以上の揺れで自動的に消火する仕組みに。さらに2007年(平成19年)の「新潟県中越沖地震」では、揺れている中、火を消そうとして、ヤカンなどが倒れてしまい、ヤケドなどの怪我をする人が多かったため、今では「火の始末は揺れがおさまってから」となった。

〇「地震が起きる前の準備の差」
「昔の防災常識」では、断水などに備えて「お風呂の水を溜めておく」と言われてきたが、間違い!「今の防災常識」では、「お風呂の水を溜めて使うのは危険」。
実は、お風呂に入ったあとの水は1日で様々な菌が繁殖してしまい、それが原因で感染症を引き起こす危険性がある。実際2016年の「熊本地震」の際も、溜めていた水からノロウイルスや食中毒になった可能性があると考えられている。
今回、「家族4人が使った後のお湯」が1日でどれくらい菌が増えるかを検証。「入った直後のお湯」を確認してみると、すでに「レジオネラ菌」という肺炎などの原因になる菌が確認できた。その後、1晩置くと、約100万倍に増えた!そのため、お風呂の水を溜めておくのではなく、「普段から飲料水や生活用水を備蓄しておくこと」が大事。

〇「お風呂の水をトイレに流す」は危険!
災害時に備えて、お風呂の水を溜めておいて、「断水した時にトイレの水を流せるから必要」と思っている方も多いが、実はそれが危険!
地震の影響で、トイレの下水管が破裂した場合、お風呂に溜めていた水を流すと、水の逃げ場がなくなり、下水が逆流する恐れがある。そのため、絶対に流さないでほしい。

〇「地震が起きた後にとるべき行動の差」
今回の想定は、出先で被災して帰宅した場合にとるべき行動。
「昔の防災常識」では、「地震後、帰宅してすぐに片付け」と言われてきたが、間違い!「今の防災常識」では、「家に帰ったら、まず写真撮影」。
地震などで被災した際、自宅の被害状況によって、自治体に生活費や修繕費に当てる資金を申し込むことができる。その申し込みの際に必要な「り災証明書」に「被害の状況が分かる写真を出す」ことで認定されやすく、支給額が増える可能性がある。写真を撮る際は、「壁に入ったヒビ」、「壊れた窓」、「ドア」は必ず撮影することをオススメ。

〇「地震後、火災が起きた時にとるべき行動の差」
今回の想定は、「地震のあと、散らかった部屋を片付けていると火災が発生」という場合。火災の際、一番怖いとされているのは、一酸化炭素中毒。一酸化炭素は、色やニオイが無く、毒性が強いため、火災の死因No.1となっている。
「昔の防災常識」では、「濡れたハンカチを口元に当てて避難」と言われてきたが、間違い!実は「濡れたハンカチ」には、有毒ガスを防ぐ効果は期待できず、口元に当てても煙を少しずつ吸い込んでしまう。「今の防災常識」では、「透明なポリ袋(ビニール袋)を被る」。「ポリ袋(ビニール袋)」を頭から被り、袋を閉じることで、煙を吸わず、目をあけたまま避難できる。そのため、最近はホテル学校に「ポリ袋(ビニール袋)」の設置や避難訓練でも「ポリ袋」を使用している。ただし、5分以上被り続けると、窒息の危険があるので注意が必要。

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