この差って何ですか?

毎週火曜よる7時

過去の放送内容

2018年10月23日

(1)「和食は箸を使う」と「お寿司は手づかみ」の差

(写真)

専門家:川澄健(GINZA ONODERA 鮨アカデミー)

この差は…
大きくてお箸で食べづらかったか どうか
江戸時代のお寿司は大きくて、お箸で食べるのは難しかった。

〇どうして「お寿司は手づかみ」で食べる?
江戸時代のお寿司は、現在のお寿司のおよそ5倍の大きさで、お箸で食べるのは難しく、手づかみで食べざるを得なかった。その風習が今も残っていて、「お寿司は手づかみ」で食べている。

〇「江戸時代のお寿司」と「現在のお寿司」のもうひとつの差は?
酢飯の色が違う。今は「米酢」という透明のお酢を使っているお店が多いが、江戸時代は「粕酢」を使っていた。「粕酢」は酒粕を発酵させて作るお酢で、茶褐色をしているため、江戸時代のお寿司のご飯は茶色っぽい色だった。

〇「江戸時代のお寿司」は、なぜ大きかった?
江戸時代のお寿司屋さんは屋台だった。当時の江戸は建設ラッシュで全国から労働者が集まっていて、ゆっくり昼休みはとれなかった。そこで、屋台でお寿司をパッと2〜3個食べて仕事に戻るスタイルがとても受けた。そのため、お寿司ひとつひとつが大きかった。

〇なぜ現在の「お寿司」は小さくなった?
大きい「お寿司」の人気が出てきて、女性や子供も食べるようになると、大きな「お寿司」は食べにくいので、半分に切って出すようになった。現在2貫ずつで出てくるのはその名残。

(2)「イカの足は『ゲソ』」と「タコの足は呼び名がない」の差

(写真)

専門家:斗鬼正一(江戸川大学 社会学部 教授)

この差は…
昔から食べられていたか どうか
「イカの足」は昔捨てられており、脱ぎ捨てられた履物に似ていたため「ゲソ」と呼ぶようになった。
「タコの足」は昔から食べられていたので、別の呼び名は必要なかった。

〇「ゲソ」とはどんな意味?
イカの足を「ゲソ」と呼ぶようになったのは江戸時代。「ゲソ」は漢字で書くと「下足(げそく)」で、「ゲソ」とは「下足」の略。「下足」の「下」は「脱ぎ捨てる」、「足」は「履物」の意味で、「下足」は「脱ぎ捨てた履物」のこと。

〇なぜ「イカの足」を「ゲソ」と呼ぶようになった?
イカをさばく時、まずイカの胴体から足をはずす。イカの胴体はお寿司やお刺身などの料理に使うが、江戸時代、はずした足はほとんど捨てていた。「イカの足」は今でこそ普通に食べているが、昔は硬くて美味しくない部分とされていたので、食べられていなかった。そのため、「イカの足」に呼び名はなかった。
「イカの足」は基本的には捨てていたが、お寿司屋さんたちがまかないとして食べているのをたまたま見たお客さんの中に、「イカの足」を食べたいという人がいた。すると、「意外とおいしい」と評判になり、次第にメニューとして出すようになっていった。
そこで、「イカの胴体」を指す「イカ」と区別するために、「イカの足」を指す言葉が必要になり、「イカの足」が捨てられている様子が、脱ぎ捨てられた履物に似ていたことから、「ゲソ」と呼ばれるようになった。

〇なぜ「タコの足」には呼び名がないのか?
タコは調理する時にイカのように足を取り外すことはなく、昔から捨てずに食べるモノだった。そのため、わざわざ別の名前で呼ぶ必要がなかったので、「タコの足」に呼び名はない。

(3)「サバ寿司」と「バッテラ」の差

(写真)

専門家:川澄健(GINZA ONODERA 鮨アカデミー)

この差は…
元々サバを使ったお寿司だったか どうか
「バッテラ」は元々「コノシロ」を使っていた。

〇先に誕生したのは「サバ寿司」
先に生まれたのは「サバ寿司」で、江戸時代に今の形の「サバ寿司」が作られたと言われている。一方、「バッテラ」が生まれたのは明治時代になってからで、元々サバを使ったお寿司ではなかった。

〇「バッテラ」は元々どのようなお寿司だった?
明治24年に「バッテラ」が生まれた。そのきっかけになったのは大阪湾で大量に獲られた「コノシロ」。「コノシロ」とは「コハダ」が大きく成長したもので、いわゆる出世魚。「コノシロ」が獲れ過ぎて困った漁師は、「寿司常」というお寿司屋さんに「コノシロ」を使ってもらえないか頼んだ。お寿司屋さんは酢で締めた「コノシロ」の上に酢飯をのせて、1つ1つ布巾で巻いて形を整え、「コノシロの姿寿司」を作った。このお寿司は美味しいと評判になり注文が殺到したが、1つ1つ巻いて作るととても時間がかかるという問題があった。そこで、店主は「コノシロ」の形に合わせた木の型を作ることを思いつく。木型の中に「コノシロ」と酢飯を入れて上から押したら、もっと手早く作れると考えた。こうして木型を使って作られた新たな「コノシロ」のお寿司が作られた。

〇なぜ「バッテラ」と呼ばれるようになった?
「バッテラ」は、ポルトガル語で「小舟」を意味する「バッテーラ」から付けられた名前。「コノシロ」のお寿司は「小舟」の形に似ていたことから、「バッテーラ」と呼ばれるようになり、次第に「バッテラ」となっていった。
大阪は安土桃山時代からポルトガルと貿易を行っており、大勢のポルトガル人が出入りしていた。そんな彼らは小舟のことを「バッテーラ」と呼んでいたため、昔は大阪の人にとって「バッテーラ」は馴染みのある言葉だった。

〇なぜ現在「バッテラ」は「コノシロ」ではなく「ザバ」を使うようになった?
「バッテラ」を売り出してからしばらくして、「コノシロ」が急に獲れなくなり、値段が高騰した。そこで、年間を通して安定して獲れる「サバ」で代用しようということになり、「サバ」の「バッテラ」が作られるようになった。

(4)放っておくと病気になってしまう状態の時に「体に現れるサイン」の差

(写真)

専門家:内山明好(パークサイド広尾レディスクリニック 院長)、西山耕一郎(西山耳鼻咽頭科医院 理事長)、白濱龍太郎(RESM睡眠・呼吸メディカルクリニック 院長)

この差は…
「動脈硬化」は、「耳」をチェック
「誤嚥性肺炎」は、「コップ1杯の水」を飲んでチェック
「危険な腰痛」は、「10秒間つま先立ち」をしてチェック
「睡眠時無呼吸症候群」は、「口の中」をチェック
「耳」にシワがある人は、「動脈硬化」の可能性がある。
「コップ1杯の水」を10秒で飲み干すことができない人は、「誤嚥性肺炎」に注意が必要。
「10秒間つま先立ち」ができない人は、「椎間板ヘルニア」になる可能性が高い。
「のどちんこと舌の隙間」が小指より狭い人は、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性がある。

〇「動脈硬化」とは?
「動脈硬化」は、運動不足や喫煙、かたよった食事などが原因で血液中の「悪玉コレステロール」が血管の内側の壁にこびりつき、血管が狭くなり、血液の流れが悪くなって血管が詰まってしまう症状。「動脈硬化」を放っておくと、「心筋梗塞」や「脳梗塞」などの病気を引き起こしてしまう。

〇「動脈硬化」のセルフチェック
「動脈硬化」は「耳」を見るだけでチェックすることができる。普通の人の耳にはシワがないが、「動脈硬化」の人の耳にはシワがある。シワは両耳の場合も片耳だけの場合もあり、「斜めに長いシワ」や「短いシワ」、「二重のシワ」や「横に枝分かれしたシワ」など、さまざまなパターンがある。アメリカのシカゴ大学の調査では、心筋梗塞を起こした患者さん376人のうち、耳たぶのシワがあった人は275人で約73%だった。
耳たぶは血管が少ないため、「動脈硬化」で全体に血流が悪くなると耳たぶに栄養が行き届かなくなって、脂肪がやせてシワができると言われている。

〇「脳梗塞予備軍」が分かる「耳・鼻つまみチェック」
まず、左手で鼻をつまみ、右手で左耳をつまむ。次に、左右の手を入れ替えて、左手で右耳をつまみ、右手で鼻をつまむ。この動作を10秒間、交互に10回繰り返す。10秒で10回できない場合は「脳梗塞予備軍」の可能性がある。「動脈硬化」で脳の血流が下がっている人は、脳からの指令が伝わりにくく、細かい動きができなくなる。練習するとできるようになる場合は、それほど心配はいらない。


〇「誤嚥性肺炎」とは?
2017年の1年間に「誤嚥性肺炎」で亡くなった人は3万5000人以上。正常な人の場合、食事をすると喉にある「喉頭蓋(こうとうがい)」がしっかりと閉まるため食べ物は気管に入らず食道に入っていく。しかし、のどの機能が衰えていると、「喉頭蓋」がうまく閉まらないので食べ物が気管に入ってしまう。その結果、肺に運ばれた食べ物から細菌が繁殖し、肺炎になってしまう。

〇「誤嚥性肺炎」のセルフチェック
「誤嚥性肺炎」の原因となる「のどの機能」が衰えているかどうかは、「コップ1杯の水」を飲むだけでチェックできる。100ccのコップ1杯の水を10秒以内で飲み干す。10秒以内に飲めない方、もしくは途中でむせる方は、のどの機能が衰えている可能性が高い。のどが衰えている人は、「喉頭蓋」がスムーズに倒れないため、水を一気に飲むとむせてしまい、うまく飲めない。

〇「のどの機能」を鍛える「あご持ち上げ体操」
あごの下に両手のこぶしを置き、あごとこぶしを押し合うように力を入れる。これを5秒間10回繰り返すのを1セットとして、1日に3セット行うと良い。この時に、「イー」と声を出しながら行うと、より効果的にのどを鍛えることができる。首の筋肉も鍛えられて小顔効果も期待できる。
また、「のどの機能」を鍛えるには、カラオケも有効。声を出すこと、歌を歌うことは非常にのどが鍛えられていい。オススメの曲は和田アキ子さんの「古い日記」。「ハッ」と声を出すと、息を一気に吐くので、肺ものども鍛えられる。


〇「危険な腰痛」とは?
腰痛の多くは、腰まわりの筋肉が凝り固まったり傷ついたりすることで起こるといわれているが、腰の神経が圧迫されて起きる「危険な腰痛」もある。それが、「椎間板ヘルニア」。腰の骨と骨の間にある「椎間板(ついかんばん)」と呼ぼれる軟骨が飛び出し、神経を刺激してしまうことで、腰痛やしびれなどの症状を引き起こす病気。厚生労働省の発表によると、現在日本には「椎間板ヘルニア」の患者さんが推定180万人以上いるといわれているが、その多くはただの腰痛と思い「椎間板ヘルニア」と気付いていない。

〇「椎間板ヘルニア」のセルフチェック
ある立ち方をするだけで、「椎間板ヘルニア」かどうかチェックすることができる。足幅を肩幅くらいに広げて、かかとを上げて10秒間つま先立ちする。10秒間の間にかかとが床についてしまったり、ふらついてしまった場合は「椎間板ヘルニア」になる可能性が高いので要注意。
腰から続いてふくらはぎに神経がつながっているが、「椎間板ヘルニア」で神経に障害が出てくるとふくらはぎの筋肉がしびれたり、力が入らない状態になる。そのため、つま先立ちができなかったり、ふらついたりしてしまう。

〇「椎間板ヘルニア」を予防する「おじぎ体操」
イスに腰かけて45度以上ゆっくり前に倒して、ゆっくり起き上がる。これを10往復くらい繰り返す。1日に、10往復を3回くらい行うと腰の筋力アップにつながる。


〇「睡眠時無呼吸症候群」とは?
「睡眠時無呼吸症候群」とは、寝ている時に10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上ある場合に診断される病気。主な原因は加齢や肥満と言われており、年齢が進むにつれて「睡眠時無呼吸症候群」の人の割合は増えていき、60代ではおよそ60%の人が「睡眠時無呼吸症候群」だと言われている。「睡眠時無呼吸症候群」の状態を放っておくと、日中強い眠気や疲れを感じたり、さらには、「心不全」「高血圧」「糖尿病」など、様々な合併症を引き起こす可能性が高くなる。

〇「睡眠時無呼吸症候群」のセルフチェック?
口の中を見るだけで、「睡眠時無呼吸症候群」かどうかチェックできる。手鏡を持ち、斜め45度くらい上を向いて「あー」と言いながら口を大きく開け、口角に小指を当てる。鏡を見て、「のどちんこ」と「舌」の隙間が小指より広いかどうかをチェック。正常な人は「のどちんこ」と「舌」の隙間が小指より広いが、「睡眠時無呼吸症候群」の人は「のどちんこ」と「舌」の間の幅が小指より狭かったり、「のどちんこ」が見えなくなっていたりする。
正常な「のどの構造」は、「のどちんこ」と「舌」の間にスペースがあるので、きちんと気道が開いている。しかし、「睡眠時無呼吸症候群」の場合、眠っているときに「舌」がのどの奥の方に垂れて気道が狭くなってしまう。
「睡眠時無呼吸症候群」には色々な治療方法があり、「CPAP(シーパップ)」というマスクをつけて徐々に是正していく方法や、軽症の場合マウスピースなどがある。

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