この差って何ですか?

毎週火曜よる7時

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2018年9月18日

(1)「台所」と「お勝手」の差

(写真)

専門家:斗鬼正一(江戸川大学 社会学部 教授)

この差は…
貴族たちが呼んだか、使用人の女性たち呼んだか どうか
室町時代、料理をして盛り付ける場所のことを貴族たちは「台所」と呼び、使用人の女性たちは「お勝手」と呼んだ。

〇「台所」の誕生
最初に生まれたのは「台所」。「台所」と言う言葉が生まれるきっかけになったのは、平安時代の貴族の屋敷にあったある場所。
平安時代の屋敷では、調理をする場所は「厨(くりや)」と呼ばれていた。日本では奈良時代ごろから、火を使って調理する場所のことを「くりや」と呼んでいた。そして、中国から調理をする意味の「厨」という漢字が入ってきた時に、「くりや」にこの漢字を当てた。
平安時代は料理をする場所と盛り付けをする場所が分かれており、盛り付けをする場所を「台盤所(だいばんどころ)」と呼んでいた。当時、食器を載せていた脚付きのお膳のことを「台盤」と呼び、台盤を並べて料理を盛り付けていたことから「台盤所」と呼ぶようになった。その後、次第に「台盤所」を略して、「台所」と呼ぶようになった。つまり、元々「台所」とは料理を盛り付ける場所のことだった。
そして、「台所」で料理の盛り付けを仕切る、屋敷の主人の妻のことを「台所を取り仕切る人」ということで、丁寧な意味になる「御」をつけて「御台所(みだいどころ)」と呼ぶようになった。
室町時代になると、料理をつくる「厨」から料理を盛り付ける「台所」まで料理を運ぶ手間を省くために、料理を作る「厨」と盛り付ける「台所」が同じ建物の中に作られるようになり、この場所全体を「台所」と呼ぶようになった。

〇「お勝手」の誕生
「お勝手」という言葉は、「台所」という呼び方が生まれた少し後に誕生した。この時代になると、台所を取り仕切るのは主人の妻である「御台所」から「使用人」になった。
室町時代になると男性の権力がより強くなり、男社会が色濃くなった。使用人の女性は屋敷の中を勝手に歩き回ったり、おしゃべりしたり、自由にできない風潮になっていった。しかし、「台所」だけは、使用人の女性たちが食事をしたり談笑したり、男性の目を気にせず唯一自由に過ごせる場所だった。つまり、「台所」だけが使用人女性たちにとって唯一勝手のきく場所だったので、丁寧語の「お」を付けて「お勝手」と呼ぶようになった。
今でも台所にある小さな出入り口のことを「勝手口」と呼ぶが、昔も台所に出入り口があり、使用人の女性たちが勝手に外に行き来できる出入口だったので「勝手口」と呼ぶようになった。

(2)「俳句」と「川柳」の差

(写真)

専門家:星野高士(俳人)、杉山昌善(川柳作家)

この差は…
「基本ルール」が違う
「俳句」の基本ルールは、「風景」を詠む、「季語」を使う、「切れ字」を使う、の3つ。
「川柳」の基本ルールは、「人間」を詠むこと。

〇「俳句」のプロと川柳のプロの作品
「秋の古民家の台所」を撮影した1枚の写真をお題に詠んでもらった。「俳句」のプロが詠んだのは、「さわやかさ 蛇口ひねれば 水が出る」。川柳のプロが詠んだのは、「独り居に 蛇口の水の 音やさし」。
「俳句」と「川柳」には、それぞれ違う基本ルールがある。

〇「俳句」の基本ルール① 「風景」を詠む
「俳句」は、人間の心情などは詠まずに見た「風景」を詠むのがいいとされている。そのため、「俳句」のプロは、窓から見える秋の景色がとてもさわやかなこと、そして、手前にある蛇口の水がとても澄んで見えたことから、この句を詠んだ。

〇「俳句」の基本ルール② 「季語」を入れる
「季語」とは季節を表す言葉で、この句では「さわやか」が秋の「季語」となっている。そのため、春や夏の俳句に「さわやか」は使ってはいけない。

〇「俳句」の基本ツール③ 「切れ字」を使う
「切れ字」とは、強調したい文をいったん区切る時に使う助詞。この句の場合、「さわやかや」の「や」が「切れ字」となる。窓から見える秋の季節がさわやかなことを強調したかったため、「さわやかや」とした。もし、「さわやか」を強調しない場合は、「さわやかに」や「さわやかな」となるが、「さわやかや」と「切れ字」を使うことで、さわやかなことを強調している。
「や」以外にも、江戸時代の俳人であった与謝蕪村(よさぶそん)の「春の海 終日(ひねもす)のたり のたりかな」の「かな」や、小林一茶の「大の字に 寝て見たりけり 雲の峰」の「けり」も「俳句」でよく使われる代表的な「切れ字」。

〇「川柳」の基本ルール① 人間を詠む
「川柳」には「俳句」のように「季語」や「切れ字」のような決まり事はない。「川柳」の決まり事は、「人間」を詠むということ。「川柳」の場合、「5・7・5」の主人公は「人間」。
「川柳」のプロは、お題の写真の中に人物はいないが、ひとり寂しく過ごしていても蛇口から出る水の音に癒してもらえる、そこに暮らす人の悲哀や哀愁を写真から詠んだ。

〇「俳句」のはじまり
平安時代、貴族の間では「俳句」と「川柳」のもとになった「和歌」が流行っていた。「和歌」とは、「5・7・5・7・7」の31音で詠んだもので、有名な百人一首は「和歌」を百首集めたもの。持統天皇が詠んだ「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天の香具山」も「和歌」。「和歌」の基本ルールは「俳句」と同じ、①「風景」を詠む、②「季語」を入れる、③「切れ字」を使う、の3つ。
室町時代になると、複数で「5・7・5・7・7」を詠む「連歌」という遊びが誕生した。「連歌」とは、しりとりのようにリレー形式で歌をつなげる「和歌」のこと。例えば3人で「連歌」を詠む場合、1人目が「雪ながら 山本霞む 夕べかな」と「5・7・5」の句を詠み、2人目が1人目の句を受けて「行く水とほく 梅にほふさと」と「7・7」の句を詠む。続いて3人目が、2人目の句を受けて、「川風に 一むら柳 春見えて」と「5・7・5」の句を詠むと、再び1人目が3人目の句を受けて、「船をさす音も しるきあけがた」と「7・7」の句を詠む。このように「連歌」は、「5・7・5」と「7・7」をどんどん繋げていく遊び。「和歌」が個人戦だったのに対し、「連歌」はチームプレーで、ゲーム性と即興性が加わり、貴族の間でとても流行った。
江戸時代になると、貴族の遊びであった「連歌」が庶民にも広がったが、貴族にとって庶民が詠む「連歌」は少し滑稽に思えたため、滑稽という意味を持つ「俳諧」という言葉を付けて「俳諧連歌」と呼び区別した。
そして、「俳諧連歌」からさらに新しい遊びが誕生した。それが、最初の「5・7・5」の17音の句だけを詠むという遊び。その遊びを「俳句」と名付けたのは、「柿食えば 鐘が鳴る鳴り 法隆寺」の句で有名な俳人の正岡子規で、明治時代になってからのこと。

〇「川柳」のはじまり
「川柳」も「俳句」と同じく「俳諧連歌」からできたものだが、なぜ「川柳」は人間を詠むものになったのか?
「川柳」は江戸ではじまったもの。江戸は100万都市で、まわりが人間ばかりだったため、庶民にとって、一番興味があるのは身近にいる人間だった。そのため「俳句」のように景色ではなく、人間観察から生まれたユーモアやウィットに重きをおいて庶民が楽しんだ「5・7・5」が「川柳」。
例えば、江戸の庶民が詠んだ「川柳」には、「どっからか 出して女房は 帯を買い」とこっそり貯めたヘソクリで新しい帯を買った妻を詠んだり、「役人の 子はにぎにぎを よく覚え」と賄賂を受け取ることが多かった役人を皮肉ったりしたものがある。「川柳」は細かいルールよりも、もっと自由に身近な人々のことを面白おかしく詠もうという江戸庶民ならではの感性から生まれたもの。

〇なぜ「川柳」は「川」に「柳」と書く?
「川柳」という呼び名は、人の名前からとった。江戸中期に柄井川柳(からいせんりゅう)が選んだ庶民の「5・7・5」の句をまとめた句集「誹風柳多留(はいふうやなぎたる)」が江戸でベストセラーになり、選者の「川柳」の名が広く知られることになる。そして現在、庶民の「5・7・5」を選者の柄井川柳の名をとって「川柳」と呼んでいる。

(3)「ダニ退治できる掃除方法」と「ダニ退治できない掃除方法」の差

(写真)

専門家:白井秀治(東京アレルギー・呼吸器疾患研究所)

この差は…
「布団」は、布団乾燥機にかけるか どうか
「カーペット」は、夜に掃除機をかけるか どうか
「ミックス粉」は、冷蔵庫で保存するか どうか
家の中でダニがもっとも多い場所が「寝室」で、特に「布団」には大量のダニがいる。次にダニが多い場所は「カーペット」。


〇9月は要注意!
9月は、アレルギー性のぜん息や鼻炎になる人が多くいる。その大きな原因は、家の中にいる「チリダニ」。日本環境衛生センターの調査によると、1年でもっとも「チリダニ」やその死骸やフンが多くなるのは9月〜10月。特殊カメラで家にいる「チリダニ」を見てみると、ホコリに混ざって大量の「チリダニ」が舞っているのが分かる。そのため、正しい方法で掃除をしないと、知らない間に吸い込んでしまい、ぜん息や鼻炎だけでなく、アトピー性皮膚炎や結膜炎になることもある。

〇ダニの潜む場所とは?
「ダニ」が多い場所はエサとなる人のフケやアカが豊富な場所。住まいの中で特に「ダニ」が多いのは「寝室」。「寝室」の中でも、布団は直接人の肌が触れるので、フケやアカが溜まりやすく、もっとも「ダニ」が多い。

〇布団の掃除方法とは?
シーツや枕カバー、布団カバーは洗濯して水洗いするのが効果的。水洗いでダニの死骸やフンを流すことができる。では、布団本体や枕など、洗いにくいものはどうすればいい?

〇ダニをより死滅させるのは、「天日干し」、「布団乾燥機」どっち!?
「布団乾燥機」が効果的。あるメーカーが布団の「ダニ対策」についてアンケートを行ったところ、約70%の主婦が「天日干し」と答えたが、「天日干し」は「ダニ対策」にはほとんど効果がない。ダニは50℃以上の温度が20分以上続くと死滅するが、「天日干し」では太陽が雲で隠れたり、風が吹いたりすると、布団全体を50以上にすることは難しい。実際、気温31℃の日に4時間布団を「天日干し」してみたが、布団の温度は42℃までしか上がらず、「ダニ」が死滅する50℃には達しなかった。
「布団乾燥機」では、布団全体の温度を50℃以上で20分以上に管理することができるので「ダニ」を撃退できる。

〇布団を「天日干し」したときに叩いて「ダニ」を落とせばいいのでは?
「天日干し」した時に布団を叩いてもダニは除去することができない。逆に、叩くことで布団の中の死骸やフンが粉々に細かくなって表面に浮き上がらせてしまう。その状態で布団を部屋に取り込んで、布団を広げたり畳んだりすると、部屋の中のフンや死骸が1000倍以上に増えることもある。

〇「布団乾燥機」がない人はどうすればいい?
「アイロン」のスチームでダニを撃退するといい。約100℃のスチームをダニの近くにあてることでダニを撃退することができる。「布団乾燥機」や「スチームアイロン」をかけた後は、布団の中にダニの死骸やフンが残っているので、丁寧に掃除機をかけて吸い取る。

〇カーペットの掃除は?
カーペットは家の中で2番目にダニが多い場所。ダニがカーペットの毛足の奥深くに潜りやすいため。カーペットの深い所を狙って掃除機をかけることが重要。

〇よりダニを吸い出せる時間帯は、「昼」、「夜」どっち!?
掃除機をかけるときに効率よくダニを吸い出せる時間帯は「夜」。ダニがたくさんついた紙の一部に光を当てて、ダニがどのように動くのか実験した。すると、1時間後にはほとんどのダニが暗い部分に移動した。さらに、光の当たらない紙の裏側には大量のダニがびっしり集まっていた。つまり、ダニは明るい所を避けて暗い所に潜る。そのため、暗くすると、ダニがカーペットの表面に出やすいので、「夜」の暗い時に掃除機をかけるとダニを効率よく撃退できる。
マンションなどで夜に掃除機をかけられない場合は、カーテンを閉めて電気を消し、部屋を暗くして1〜2時間たってから掃除機をかけると、より多くのダニを吸い取ることができる。光が入らないカーペットの裏側も忘れずに掃除機をかける。


〇ダニが繁殖しやすい食材は、「お米」、「砂糖」、「茶葉」、「ミックス粉」どれ!?
キッチンの中でダニが増えやすい食品は、お好み焼き粉やホットケーキミックスなどの「ミックス小粉」。
「お米」、「砂糖」、「茶葉」、「ミックス粉」がそれぞれ入った試験官にダニを100匹入れ、2週間で、どにように増えるか実験した。2週間後、「お米」のダニは116匹に、「砂糖」は10匹から増えずそのほとんどが死滅、「茶葉」も100匹から増えずほとんどが死滅していた。しかし、「ミックス粉」の中に入っていたダニは364匹、約4倍にまで増えていた。

〇なぜ「ミックス粉」はダニが大量に繁殖したのか?
「ミックス粉」にはダニのエサとなる旨味成分が豊富に含まれていて、ダニのエサになると考えられている。加熱をすればダニは死ぬが、ダニの死骸が残ったまま。人によっては大量のダニの死骸やフンを摂取することでアナフィラキシーショックになることもある。

〇ミックス粉にダニが繁殖しない方法は?
「冷蔵庫」で保存する。ダニは10℃以下では繁殖できないため、「冷蔵庫」に入れておけば大丈夫。

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