この差って何ですか?

毎週火曜よる7時

過去の放送内容

2018年7月24日

(1)「殻が付いているピスタチオ」と「殻が付いていないその他のナッツ」の差

(写真)

専門家:日比野佐和子(大阪大学医学部 特任准教授)


この差は…
殻が手でむきやすく湿気に弱いか どうか
「ピスタチオ」の殻は簡単に手でむくことができる。また、「ピスタチオ」は湿気が高い状態で空気に触れると血液サラサラ成分が失われてしまう。

〇「ピスタチオ」だけ殻が付いたまま売られている
スーパーのナッツ売り場を見てみると、「クルミ」、「アーモンド」、「マカダミアナッツ」、「カシューナッツ」などは殻が付いていないが、「ピスタチオ」だけ殻が付いている。ミックスナッツを見ても、「ピスタチオ」だけ殻が付いたまま入っている。
木になっている時は、「クルミ」も「アーモンド」も「マカダミアナッツ」も「カシューナッツ」もナッツは全て殻が付いている。

〇なぜ、「ピスタチオ」は殻が付いたまま売られているのか?
理由は2つある。
1つ目の理由は、「ピスタチオ」の殻は手で簡単に割ることができるから。「ピスタチオ」は食べ頃の時期になると自ら殻が割れて、スーパーでよく見るような状態になる。そのためスーパーでは殻付きで販売されている。一方、その他のナッツは自ら殻が割れないため、食べる時に殻を割るのは大変。そこで、食べやすいように機械で殻を割るなどして、実だけにしてスーパーで販売している。

もう1つの理由は、「ピスタチオ」は湿気に弱いから。「ピスタチオ」には血液をサラサラにする「α-リノール酸」が含まれているが、「α-リノール酸」は湿気に弱く、湿度が約60%を超えると、「α-リノール酸」は空気に触れることで酸化して失われてしまう。そのため、1年の平均湿度が70%以上と湿度の高い日本では、実が空気と触れないように殻が付いている状態で売られていることが多い。一方、アメリカやオーストラリアなど、平均湿度が60%未満と低い国では、「ピスタチオ」は殻が付いていない状態で売られている。

(2)「ナッツ」の種類による健康効果の差

(写真)

専門家:日比野佐和子(大阪大学医学部 特任准教授)

この差は…
・動脈硬化予防には「クルミ」と一緒に「赤ワイン」
・便秘解消には「アーモンドチョコレート」
・認知症予防には「バターピーナッツ」
が良い!
たくさんの種類があるナッツだが、それぞれ様々な健康効果がある。

〇いろいろある!「ナッツ」の種類
一般的なスーパーで買えるナッツには、「クルミ」、「アーモンド」、「ピーナッツ」、「カシューナッツ」、「マカダミアナッツ」、「ピスタチオ」などある。「クルミ」には動脈硬化予防、「アーモンド」には便秘解消など、それぞれ異なる健康効果がある。
ナッツ専門店で買えるナッツには、脂肪燃焼効果のある「サチャインチナッツ」、血液サラサラ効果のある「ブラジルナッツ」、抗酸化作用のある「タイガーナッツ」など珍しい種類のナッツがたくさんある。

〇「クルミ」と飲むと動脈硬化予防に効果的な飲み物は、「コーヒー」「赤ワイン」どっち!?
「クルミ」には動脈硬化予防のある「α-リノレン酸」が多く含まれているが、「α-リノレン酸」は体内に入ると「活性酸素」によっていくつかが別の成分に変化するため効果が半減してしまう。
「クルミ」と一緒に飲むと動脈硬化予防に効果的なのは「赤ワイン」。「赤ワイン」に含まれる、ブドウの皮に多く含まれるポリフェノールの一種「レスベラトロール」という成分が重要となる。「レスベラトロール」が「α-リノレン酸」のまわりをコーティングすることで、「活性酸素」の影響を受けにくくし、「DHA」に変化することができるので、動脈硬化予防の効果が得やすくなる。
「クルミ」を1日に15粒食べることで、動脈硬化予防効果が得られるといわれている。

〇お酒を飲めない人でも大丈夫!夏にオススメ 「クルミ ゴマだれ そうめん」
ゴマに含まれる栄養成分「ゴマリグナン」は「レスベラトロール」と同じように「活性酸素」から「α-リノレン酸」を守ってくれる。そのため、「赤ワイン」が飲めない方は、「クルミ」と「ゴマ」を一緒に食べることで同様の効果を得ることができる。
「クルミ ゴマダレ そうめん」の作り方は簡単!「クルミ」15粒を袋に入れ、細かく潰し、ゴマだれに混ぜるだけ。「クルミ」は細かくすることで体内で吸収されやすくなり、動脈硬化により効果的になる。

〇便秘解消に効果的なアーモンドのお菓子は、「アーモンドチーズおかき」「アーモンド入りクッキー」「アーモンド入りチョコレート」「アーモンド小魚」どれ?
「アーモンド」は便秘解消に良い食物繊維がナッツの中で一番多く、100gあたり約12g含まれている。これは、食物繊維の多い食品とされるゴボウの約2倍。「アーモンド」を食べると腸の中で便と食物繊維が混ざり、食物繊維が水分を吸って膨張することで便のかさが増す。すると便によって刺激された腸の動きが活発になるため、便が押し出されやすくなり便秘が解消される。
便秘解消に効果的なアーモンドのお菓子は「アーモンド入りチョコレート」。「チョコレート」の原材料は「カカオ」というナッツなので食物繊維が豊富。「アーモンド入りチョコレート」にはチョコレートの食物繊維も含まれるため、より便秘解消に効果的。
また、どの「アーモンド入りチョコレート」を食べるかによっても効果が違ってくる。カカオ70%以上の「アーモンド入りチョコレート」が良い。カカオのパーセンテージが多いチョコレートほど食物繊維が多くなるので、便秘解消効果が期待できる。
実際、慶応大学の便秘がちな女性36人に1日8粒、カカオ70%以上の「アーモンド入りチョコレート」を食べてもらう検証を行ったところ、摂取前は週に約4回のお通じしかなかった方々が、8週間後には週に6回、ほぼ毎日便が出るようになった。

〇認知症予防に効果的なピーナッツは、「塩味のピーナッツ」「バターピーナッツ」どっち!?
「ピーナッツ」に多く含まれる栄養成分「レシチン」は、体内に吸収され、血液によって脳に運ばれると、「アセチルコリン」という成分に変わり脳の神経を刺激するため、認知症予防に効果的といわれている。しかし、ピーナッツの味付けで、認知症予防の効果が大きく変わる。
認知症予防に効果的なピーナッツの味付けは、「バターピーナッツ」。「バター」に含まれる「セリン」という成分が、「アセチルコリン」の働きを活発化してくれる。さらに、「バター味のピーナッツ」に「青のり」を加えると、より認知症予防の効果が高められる。「青のり」に含まれる「葉酸」という成分が脳細胞の再生を促してくれる。

(3)「赤身魚」と「白身魚」の健康効果の差

(写真)

専門家:赤石定典(東京慈恵会医科大学付属病院 管理栄養士)

この差は…
・血液サラサラ効果があるのは「赤身魚」
・老化防止効果があるのは「白身魚」
・関節痛に効果があるのは「白身魚」
血液サラサラ成分の「EPA」が多いのは「サバ」。老化防止成分の「アスタキサンチン」が多いのは「紅鮭」。関節痛予防成分の「コラーゲン」が多いのは「ウナギ」。

〇魚を食べると健康に良い!
100歳を超えても元気な方1900人の食生活を調査したところ、86%の方が2日に1度は魚を食べていた。しかし、食べ方を間違えると栄養を十分に得られない。「赤身魚」を食べるか、「白身魚」を食べるかにより健康効果が大きく変わるため、目的に合わせて魚を食べ分けることが重要。

〇どんな魚が「赤身魚」?「白身魚」?
「赤身魚」と「白身魚」は栄養成分が異なるため栄養効果も違う。
代表的な「赤身魚」は「マグロ」や「カツオ」。代表的な「白身魚」は「鯛」や「ヒラメ」。他にも「ウナギ」や「ハモ」も「白身魚」。「青魚」といわれる「アジ」や「サバ」は背中が青いだけで、分類上は「赤身魚」になる。

〇血液サラサラ効果があるのは「赤身魚」「白身魚」どっち!?
脂っこい食事を摂りすぎることにより、血管の中に「コレステロール」が溜まってしまい、血液の流れが悪くなることで血液はドロドロになる。この「コレステロール」を取り除いてくれるのが、魚に含まれる「EPA」。魚を食べることで「EPA」が体内に入ると、血管の中の余分な「コレステロール」を取り除いてくれるため、血液がサラサラになる。
血液サラサラ効果がある「EPA」を多く含むのは「赤身魚」。「EPA」は魚が持つ脂のこと。「赤身魚」は回遊魚が多く海の中で常に動いているため、エネルギー源の脂肪を蓄えている。そのため「赤身魚」は脂肪が多く、「EPA」をたくさん含んでいる。

〇「カツオ」「サバ」「アジ」、「EPA」が多い順は?
「赤身魚」の種類によって「EPA」の量に差がある。
「EPA」が多い順は、「サバ」>「カツオ」>「アジ」。100gあたり、「サバ」は約700mg、「カツオ」は約400mg、「アジ」は約300mgとなっていて、「サバ」は「アジ」の2倍以上となる。
「カツオ」と「アジ」は太平洋側の暖流にのって回遊しているが、「サバ」は寒流にのって回遊しているため、寒さから身を守るために脂を蓄えており、「EPA」が多く含まれている。

〇より効果的に「EPA」をとる食べ方は?
「EPA」は脂なので焼くと流れ出てしまうため、刺身など生のまま食べるのがオススメだが、刺身で食べるより効率的な方法がある。それが、サバの「缶詰」。
「EPA」は骨の周りに多く含まれるため、骨ごと食べられる「サバ缶」は「EPA」が豊富になる。同じ170mgの中に、刺身では約1190mg、「サバ缶」には約1700mgの「EPA」が含まれている。「サバ缶」には水煮や味噌煮などあるが、どの種類でも栄養は多く含まれる。

〇血液サラサラ効果抜群!「サバ缶まるごとチーズだし巻き卵」
材料は、サバの水煮缶1缶、卵3個分の溶き卵、チーズ、ネギ、しょう油、砂糖。
作り方は、まずサバの水煮缶を汁までまるごと溶き卵の入ったボウルに入れる。「EPA」は汁にも溶けだしているため汁ごとまるごと入れることが重要だが、サバのニオイが気になるためニオイ消しにチーズとネギを入れるのがポイント。最後にしょう油と砂糖を大さじ1ずつ入れ、フライパンで焼けば完成。

〇老化防止効果があるのは「赤身魚」「白身魚」どっち!?
老化の原因のひとつは、血管などにダメージを与える「活性酸素」という物質だが、その「活性酸素」を取り除いてくれるのが魚に含まれる「アスタキサンチン」。「アスタキサンチン」が体内に入ると、「活性酸素」を取り除いてくれるため老化防止に効果があるといわれている。
老化防止効果があるのは「白身魚」。「白身魚」は「アスタキサンチン」を含むエビなどの甲殻類をエサにしているため、「アスタキサンチン」を多く含んでいる。

〇「金目鯛」「真鯛」「紅鮭」、「アスタキサンチン」が多い順は?
「アスタキサンチン」が多い順は、「紅鮭」>「金目鯛」>「真鯛」。100gあたり、「紅鮭」は約3.7mg、「金目鯛」は約2.0mg、「真鯛」は約0.9mgとなっていて、魚によってかなり異なる。赤い色と「アスタキサンチン」の量は比例する。エビを多く食べる魚ほど、「アスタキサンチン」が多く入り、体も赤くなる。
「紅鮭」は川をのぼる時に体が傷ついてしまい「活性酸素」が大量に発生する。そのため、「活性酸素」から体を守るためにエビをたくさん食べて、大量の「スタキサンチン」を体に蓄えている。

〇より効果的に「アスタキサンチン」をとる方法は、「焼く」?「フライ」?
「フライ」の方がより効果的に「アスタキサンチン」をとることができる。「アスタキサンチン」はそのままだと体内で吸収されにくいが、油と一緒だと吸収されやすくなるため、効率的にとるには油と一緒に調理すると良い。

〇関節痛に効果があるのは「赤身魚」「白身魚」どっち!?
関節痛の原因のひとつは、体の中の「コラーゲン」不足。「コラーゲン」が不足すると軟骨が硬くなり、その軟骨がこすれることで関節が痛くなる。この関節痛予防に必要な「コラーゲン」は魚に多く含まれており、魚の「コラーゲン」はとり肉の「コラーゲン」に比べて体内で細かく分解されやすいので吸収率が7倍も多く、吸収されやすい。
「コラーゲン」を多く含むのは、「白身魚」。「白身魚」は、全身の筋肉を使って泳ぐ。魚の筋肉は非常に硬いため、筋肉を「コラーゲン」で包んで守ることで筋肉をしなやかに動かすことができる。そのため、全身を使って泳ぐ「白身魚」は全身に「コラーゲン」が多い。

〇「カレイ」「アユ」「ウナギ」、「コラーゲン」が多い順は?
「コラーゲン」が多い順は、「ウナギ」>「カレイ」>「アユ」。100gあたり、「ウナギ」は約5570mg、「カレイ」は約1800mg、「アユ」は約1000mgとなっていて、「ウナギ」がダントツで多い。「ウナギ」は激しく全身を使って泳ぐため非常に「コラーゲン」が多くなる。また、「コラーゲン」はタンパク質のため、焼いても失われない。

〇ウナギと一緒に食べることで、効率よく「コラーゲン」がとれる食材は?
「ウナギ」と一緒に食べることで効率よく「コラーゲン」がとれる食材は「卵」。「ウナギ」と「卵」を一緒に食べると、「卵」に多く含まれる「ビタミンB群」が、「コラーゲン」をより細かく分解するため、体に吸収されやすくなり、関節痛により効果的になる。

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