この差って何ですか?

毎週火曜よる7時

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2018年6月26日

(1)値段が安い「普通の醤油」と値段が高い「特選醤油」の差

(写真)

専門家:高橋万太郎(職人醤油 店長)、渡辺恭子(新潟県醤油協業組合 商品開発室)


この差は…
最後に加える「塩水」の量 の差
「特選醤油」の方が加える「塩水」の量が少ないので、「アミノ酸」の量が多くなり、旨味が強く、コクがある。

〇「普通の醤油」と「特選醤油」は何が違う?!
含まれている「旨味成分」の量が違う。「旨味成分」の量とは、大豆の分解でできた「アミノ酸」の量。「普通の醤油」に比べて、「特選醤油」の方が「アミノ酸」の量が多い。
農林水産省の規格では、「普通の醤油」は「アミノ酸の量」が全体の1.5%含まれていなければならず、「普通の醤油」の1.1倍の「アミノ酸」が含まれていると「特選醤油」、「普通の醤油」の1.2倍の「アミノ酸」が含まれていると「超特選醤油」と表示することができる。

〇どのようにして「アミノ酸」の量に差をつけている?
「普通の醤油」も「特選醤油」も原材料は全く同じで、「大豆」「小麦」「塩」「麹菌」の4つ。
醤油の作り方は、
(1)大豆、小麦、麹菌で「醤油麹」を作る。
(2)「醤油麹」を3日間寝かせる。
(3)塩水を混ぜて「もろみ」を作る。
(4)およそ1年間かけて熟成させる。
これで、ほぼ醤油は完成するが、この後の最後の工程で「普通の醤油」と「特選醤油」の違いが生まれる。

〇「普通の醤油」と「特選醤油」の差が生まれる「最後の工程」とは?
工程の最後に「しぼりたて醤油」に「塩水」を加えて、「アミノ酸」の量を調整する。「普通の醤油」と「特選醤油」では、この最後に入れる「塩水」の量が違う。
たくさん「塩水」を入れて「アミノ酸」が薄まっているのが「普通の醤油」、少し「塩水」を入れて「アミノ酸」が多少薄まったものが「特選醤油」、「塩水」をほとんど入れず「アミノ酸」がほぼ薄まっていないのが「超特選醤油」となる。ただし、加える「塩水」の塩分濃度は「しぼりたての醤油」と同じ約15%なので、「塩水」の量が違っても、塩分濃度に差はない。
「普通の醤油」は「特選醤油」に比べて「塩水」を多く入れるため、「旨味」が減るが、できる量が多くなり、「価格」が安くなる。

〇「普通の醤油」と「特選醤油」の「味」にはどのような差がある?
「旨味成分」が多いとしょっぱさを感じにくくなる傾向があるため、「特選醤油」「超特選醤油」はしょっぱさを感じにくく、「普通の醤油」はしょっぱさを感じやすい。
そのため、「旨味成分」が少なく塩辛い「普通の醤油」は、「煮物」や「炒め物」などの料理に適している。一方、「旨味成分」が多くて塩辛くなく、醤油の風味が強い「特選醤油」は、「お刺身」や「冷奴」に適している。

(2)「ビスケット」と「クッキー」の差

(写真)

専門家:島田純(全国ビスケット協会 専務理事)

この差は…
「糖分」と「脂肪分」の合計が40%以上か どうか
見た目が「手作り風」か どうか
「ビスケット」は焼き菓子の総称で、その中でも一定の条件を満たしているのが「クッキー」。

〇「クッキー」と呼ぶための条件とは?
「糖分」と「脂肪分」の合計が40%以上のモノは「クッキー」と呼んでもいい。「ビスケット」も「クッキー」も原材料は同じ。
もう一つの条件は、見た目が「手作り風」の外観を要すること。「ビスケット」は模様が入っているなどある程度均一な形状だが、「クッキー」はふっくらしていて手作りのような不揃いな形状。

〇先に日本に伝わったのは「ビスケット」
日本に入ってきたのは「ビスケット」が先で、安土桃山時代にカステラや金平糖と一緒にポルトガルから伝わったと言われている。
幕末に長崎に留学していた医師の柴田方庵が、故郷の水戸藩に「ビスケット」の製法を伝えたことが全国に伝わったきっかけとされている。当時の「ビスケット」は非常に硬く、保存食として作られていたため、「砂糖」や「牛乳」は入っておらず、原材料は「小麦粉」「塩」「水」だけで、甘いお菓子ではなかった。
大正時代、森永製菓が「ビスケット」の製造販売を開始したが、「砂糖」の量は少なく、甘くなかった。

〇「クッキー」はどのように伝わった?
大正時代、大阪に住んでいた泉園子さんが主人公!敬虔なクリスチャンであった園子さんは、夫と訪れた教会でアメリカ人宣教師夫婦が配っていたアメリカの焼き菓子を食べる。これは、「砂糖」や「牛乳」をたっぷり使った甘い味で、「クッキー」という名前だった。「クッキー」の味に感動した園子さんは、昭和2年、自宅前に「泉屋」の看板を掲げ、日本で初めて「クッキー」の販売を開始した。「泉屋」のクッキーは、甘い味はもちろん、青と白の容れ物がおしゃれだと、大人気商品になった。
そんな中、「クッキー」が大人気になったために、それまで販売していた「ビスケット」を「クッキー」と名前を変えて売り出す業者が続出した。クッキーは甘いものだと思い買ったが、中身は甘くないビスケットだったため消費者が大混乱。そこで、この問題を解決するため、昭和46年、当時のビスケット協会会長であった森永太平さんが、クッキーの定義を決めた。

〇クッキーの定義とは?
(1)甘いイメージを保つため、「糖分」と「脂肪分」の最低ラインを決定
(2)クッキーはふぞろいな形が多かったため、見た目が「手作り風」であること
と決めた。
現在でも「糖分」と「脂肪分」の割合は全国ビスケット協会がチェックしているが、見た目が「手作り風」かどうかは各メーカーにお任せしている。

(3)夏バテ予防にも効果的!「高いニンニク」と「安いニンニク」の差

(写真)

専門家:藤田智(恵泉女学園大学 教授)

この差は…
品種の差
「値段の高いニンニク」はサイズが大きくて寒い地域でしか育ちにくい品種、「値段の安いニンニク」は小さくて暖かい地域でしか育ちにくい品種。

〇「値段の高いニンニク」と「値段の安いニンニク」は何が違う?!
スーパーでは、1つ350円の大きなニンニクと3つで100円のニンニクが売られている。
「値段の高いニンニク」を切ってみると粒の数は6片、「値段の安いニンニク」は12片で、そもそも品種が異なる。
大きいサイズのニンニクは寒い地域の青森や北海道で生産されている品種で、小さなサイズのニンニクは暖かい地域の中国や九州などで生産されている品種。

〇なぜ値段に差が生まれる?
さまざまな理由があるが、栽培期間の違いが第一点に考えられる。
「値段の高いニンニク」は栽培期間が9か月、「値段の安いニンニク」は栽培期間が7か月と2か月間も違うため値段に差が生まれる。

〇なぜ手間のかかるニンニクを作るのか?
味に大きな差があるため、2種類のニンニクが作られている。
「値段の高いニンニク」はニンニク特有のニオイが少なく、辛みも感じない。

(4)「夏バテ食材の健康効果」に関する差

(写真)

専門家:白澤卓二(お茶の水健康長寿クリニック 院長)、若子みな美(管理栄養士)、豊田愛魅(管理栄養士)、望月理恵子(管理栄養士)、岡田明子(管理栄養士)、岸村康代(管理栄養士)

この差は…
・「ニンニク」は「すりおろす」
・「パプリカ」は「オレンジ色」
・「鶏肉」は「ムネ肉」
・「レバー」は「豚レバー」
・「枝豆」は「冷凍保存」
が「夏バテ」に効果的!

「夏バテ」食材は、選び方や調理方法によって健康効果が半減してしまう。

〇「夏バテ」の主な症状
「夏バテ」になると「胃腸の機能低下」、「脱水症状」、「食欲不振」などを引き起こしてしまう。

〇管理栄養士50人が選ぶ「夏バテに効果的な食材」トップ5
(1)ニンニク、(2)パプリカ、(3)鶏肉、(4)レバー、(5)枝豆

(1)夏に食べるべき食材 「ニンニク」
「ニンニク」に含まれる「アリシン」が重要な成分。
夏は冷たいものを多く食べるので、内臓が冷えて機能が低下してしまう。「アリシン」は血流を促進し、血行を促すため体を温める働きがある。

〇「アリシン」をより多くとれる調理方法は、「スライス」「すりおろす」どっち?!
「すりおろす」方がいい。
「アリシン」はもともとニンニクの中にあるのではなく、カットしたときに生成される。細胞が壊されてはじめて反応で「アリシン」が生成される。そのため、細胞をなるべく細かく壊した方が良いので「スライス」より「すりおろす」方が圧倒時に「アリシン」が多くなる。

〇ニンニクは加熱した方が良い
「アリシン」は生のままでは健康効果を発揮できない。「アリシン」は加熱すると塊になって「スルフィド」という物質に変化する。「ニンニク」のスタミナ効果は、ほとんど「スルフィド」の効果であり、「アリシン」の効果ではない。そのため火を入れることが大切。

(2)夏に食べるべき食材 「パプリカ」
「パプリカ」に豊富に含まれる「ビタミンC」が重要な成分。
「ビタミンC」は「免疫力」を高めてくれるので夏風邪に効果的。さらに、「紫外線対策」としても有効。「パプリカ」は「レモン」よりも多く「ビタミンC」を含んでいる。

〇「ビタミンC」がより豊富なのは、「赤パプリカ」「黄パプリカ」「オレンジパプリカ」どっち?!
「オレンジパプリカ」が一番「ビタミンC」が豊富。
「ビタミンC」の含有量は、「オレンジパプリカ」が194mg、「赤パプリカ」が164mg、「黄パプリカ」が133mgとなっている。ちなみに「レモン」は100mgで、「オレンジパプリカ」はレモンの約2倍の「ビタミンC」が含まれている。

〇「パプリカ」は縦に切るといい
「パプリカ」は縦の線に沿って切ると、「ビタミンC」を温存できる。「パプリカ」は繊維が縦に並んでいるので、横に切ると細胞が壊れやすくなってしまう。縦に切ると細胞が壊れにくいため、「ビタミンC」も失わない。

〇「パプリカ」のオススメの調理法は?
「チンジャオロース」がオススメ!もともと「ビタミンC」は加熱に弱いが、「パプリカ」には「ビタミンP」が入っていて、「ビタミンC」を守ってくれるので、加熱しても大丈夫。

(3)夏に食べるべき食材 「鶏肉」
「鶏肉」に多く含まれる「イミダゾールジペプチド」が重要な成分。
「夏バテ」による疲労の主な原因は、体へのストレスによる「活性酸素」が原因。人間が脳や筋肉を使うことで発生する「活性酸素」が増えることで、細胞を傷つけて疲労や老化の原因になる。「イミダゾールペプチド」は「活性酸素」を減らす働きがあり、とても注目されている栄養成分。

〇「イミダゾールペプチド」が豊富なのは、「鶏モモ肉」「鶏ムネ肉」どっち?!
「鶏ムネ肉」の方が「イミダゾールペプチド」が豊富。
一番「イミダゾールペプチド」が豊富な鳥は「渡り鳥」。鳥が飛ぶときに一番疲労する「ムネ肉」の部分に発生する「活性酸素」を中和しないと海を渡れないため、「ムネ肉」には「イミダゾールペプチド」が多い。鶏にもその名残があり、「鶏ムネ肉」の方が「イミダゾールペプチド」が豊富になっている。

〇「イミダゾールペプチド」をより効果的にとれるのは、「茹でる」「焼く」どっち?!
「焼く」方がいい。
「イミダゾールペプチド」は水に溶けるため、「茹でる」と茹で汁に流れ出てしまう。「焼く」と「イミダゾールペプチド」は肉の中に留まる。

〇「鶏ムネ肉」のオススメの調理法は?
「チキンステーキ」がオススメ!

(4)夏に食べるべき食材 「レバー」
「レバー」に多く含まれる「鉄分」が重要な成分。
夏場にたくさん汗をかくことによって失われやすいのが「鉄分」。「鉄分」が不足すると、体に酸素が行き渡らなくなるので、バテやすくなったり貧血になったりする。その「鉄分」を補うのに最適なのが「レバー」。

〇「鉄分」をより多くとれるのは、「豚レバー」「牛レバー」「鶏レバー」どっち?!?
「豚レバー」は、一番鉄分が豊富。
「レバー」の鉄分含有量は、「豚レバー」が13.0mg、「鶏レバー」が9.0mg、「牛レバー」が4.0mgとなっている。「ほうれん草」も鉄分が多いことで知られる食材だが、「ほうれん草」は植物性鉄分(非ヘム鉄)、「レバー」は動物性鉄分(ヘム鉄)で、動物性鉄分の方が吸収率が5倍と健康効果が高い。

〇「レバー」と一緒に食べてはいけない食材は?
「レバー」は「玄米」と一緒に食べるとよくない。

「玄米」には「フィチン」という成分が含まれていて、「鉄分」の吸収を妨害していまう。「レバー」と「玄米」は相性の悪い食べ合わせになる。

(5)夏に食べるべき食材 「枝豆」
「枝豆」に含まれる「オルニチン」という栄養素が重要。
夏はビールを飲みすぎて二日酔いになってしまったり、疲労が溜まりがちになるが、「オルニチン」はアルコールの分解を促し、肝機能を回復する効果がある。

〇「オルニチン」をより多くとれる「枝豆」の保存方法は、「冷蔵保存」「冷凍保存」どっち?!
「枝豆」は「冷凍保存」がいい。

「枝豆」は収穫した後も生きていて、呼吸をしている。呼吸をすると代謝が進み、「オルニチン」が消費されてしまう。「-5℃」くらいで保存すると、冬眠状態になり、代謝がゼロに近くなり「オルニチン」の量が変わらない。

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