この差って何ですか?

毎週火曜よる7時

過去の放送内容

2018年6月19日

(1)「トマト」にまつわる差

(写真)

専門家:稲熊隆博(京都光華女子大学 教授)

この差は…
・「ミニトマト」と「プチトマト」の差は、「小さなトマト」の総称か どうか
・「ミニトマトの色」の差は、「栄養成分」が違うか どうか
・「普通のトマト」と「ミニトマト」の「栄養成分」の差は、皮が硬いか どうか
・リコピンを効率よくとれる「ミニトマトの食べ方」の差は、加熱するか どうか
・「甘いミニトマト」の「ヘタ」の差は、しおれているか どうか
・より新鮮さが保てる「ミニトマトの保存方法」の差は、トマトから水を出さないか どうか

「プチトマト」とは、実は「ミニトマト」の1つの品種。

〇「ミニトマト」と「プチトマト」は違う?!
街の人50人に聞いたところ、「小さなトマト」のことを「ミニトマト」と呼ぶ人は24人、「プチトマト」と呼ぶ人は26人。多くの人が同じものと思っていた。
しかし、「ミニトマト」と「プチトマト」には明確な差が。「ミニトマト」は、重さ10〜20g程度の「小さなトマトの総称」。一方、「プチトマト」は、「ミニトマト」の1つの品種名。

〇「プチトマト」の誕生
「小さなトマト」は、昭和初期からあった。当時は「小形トマト」「小さなトマト」などと呼ばれていた。その頃、「トマト」と言えば、「大きなトマト」という固定観念があったため、「小さなトマト」は、ほとんど市場に出回らなかった。
昭和50年頃、「タキイ種苗」という種メーカーが発売した「プチトマト」という名前の「小さなトマトの種」が爆発的にヒットした。背景には、高度経済成長期以降、都心部に人々が集中し、マンションや団地に住む人が増加。自宅のベランダで、植物を育てる人が現れた。そこに目をつけ、プランターでも栽培できるトマトの種を、「プチトマト」と名付けて発売したところ、瞬く間に大ヒット。「小さなトマト」のことを、「プチトマト」と呼ぶようになっていった。

〇「ミニトマト」と呼ばれるようになったのはいつ?
「プチトマト」のヒット以降、農家では色々な品種の「小さなトマト」が栽培されるようになり、市場の流通量も増えてきた。そして、昭和50年代後半〜60年頃にかけて、「小さなトマト」の総称として、「ミニトマト」と呼ばれるようになった。
その後、糖度が高くて美味しい「ミニトマト」が次々に登場したことで、「プチトマト」という品種は、平成19年に販売を終了した。しかし、「小さなトマト人気の火付け役」が「プチトマト」だったため、現在でも「小さなトマト」のことを「プチトマト」と呼ぶ人が数多くいる。

〇「ミニトマト」の種類は?
現在、日本で流通している「ミニトマト」の種類は、50種類以上。

「アメーラ・ルビンズ」は、主に静岡県や長野県で栽培されており、一般的なミニトマトの糖度が6度前後なのに対して、糖度10度以上と、とても甘い。「キャンディドロップ」は、名前の通り、糖度は12〜13度と、とても甘い。「ジュリエッタ」は、1粒なんと、約125円という「高級ミニトマト」で、柔らかいのが特徴。

〇「ミニトマト」の色の差は?
「ミニトマト」の色の差は、実は「栄養成分」の差。

「赤いミニトマト」の栄養成分は、「リコピン」。「抗酸化作用」があり、「生活習慣病の予防」や「老化を遅延させる効果」、「美容効果」などが期待できる。
「黄色いミニトマト」の栄養成分は、「ルチン」というポリフェノールの1種。「ルチン」は「血管の補強作用」があり、「動脈硬化」や「高血圧」の予防に繋がると言われている。
「オレンジ色のミニトマト」の栄養成分は、「ベータカロテン」。「ベータカロテン」は「免疫力アップ」が期待でき、「風邪予防」などに効果があるとされている。
「緑色のミニトマト」の栄養成分は、「クロロフィル」。「クロロフィル」は老廃物を体の外に出す「デトックス効果」があるとされている。

〇(1)「普通のトマト」と「ミニトマト」、栄養成分は多いのはどっち?!
「普通のトマト」と「ミニトマト」を同じ量で比べると、栄養成分が多いのは、「ミニトマト」。

「ミニトマト」の方が、「リコピン」、「ビタミンC」、「ベータカロテン」、「食物繊維」、全ての栄養成分を多く含んでいる。

〇なぜ「ミニトマト」の方が、栄養成分が多い?
「ミニトマト」の方が、これだけ栄養成分が多い理由は、「皮の硬さの差」が関係している。
「普通のトマト」は皮が薄くて、柔らかい。一方、「ミニトマト」は「普通のトマト」に比べて皮が厚くて、硬い。この「皮の硬さ」の違いが「栄養成分の差」を生んでいる。

「普通の大きなトマト」は、皮が柔らかいので、収穫するときに完熟では収穫できない。一方、「皮が硬いミニトマト」は、完熟で収穫される。その「熟度の差」が大きい。「ミニトマト」は、完熟するまで収穫されないので、「普通のトマト」に比べて、栄養成分が高くなる。結果、「抗酸化作用」のある「リコピン」は、「ミニトマト」の方が3倍も多く含まれる。

〇(2)「リコピン」が効率よくとれる「食べ方」は、「生でそのまま食べる」、「スープに入れて食べる」、どっち?!
「スープに入れて食べる」方が効率よく「リコピン」をとることができる。

トマトに含まれる「リコピンは、細胞の中にあり、細胞壁に囲まれている。そのため、細胞壁が壊れない限り、「リコピン」は表に出てこない。加熱することにより、細胞壁が柔らかくなって壊れ、「リコピン」が出てくるため、体内で吸収することができるようになる。
「生」で食べても多少は吸収されるが、加熱した方が約3倍吸収がよくなる。

〇(3)「より甘いミニトマト」は、「ヘタが立っている」、「ヘタがしおれている」、どっち?!
より「甘いミニトマト」は、「ヘタ」がしおれている。

「ヘタ」は基本的には鮮度を表している。そのため、「ヘタ」が立っている方が、鮮度が良い。収穫してから時間が経つと、「ヘタ」はしおれてくるが、実は糖分が増し、熟してくる。「甘さ」を求めるのであれば、常温保存で食べ頃を見極めながら食べると良い。夏場は風通しのよい場所に2〜3日置くと甘くなる(※品種や状態により異なります)。

〇(4)長持ちする保存方法は、「ラップに包んで冷蔵庫で保存」、「水をはった保存容器に入れて冷蔵庫で保存」、どっち?!
「水をはった保存容器で保存」した方が、より新鮮さが保てる。

そのまま「ミニトマト」を置いておくと、しぼんだり、シワがよったりしてくる。これは、水分が蒸発して乾燥するということ。ラップに包んでおくと水滴が出てくる。これはトマトから水が出ていることになる。
「水をはった容器で保存」すると、トマト自体から水分が出ることはない。この水をどれだけ出さないかということが、新鮮さを保つことに繋がってくる。

(2)「お酢の健康効果」の差

(写真)

専門家:小泉幸道(東京農業大学 名誉教授)

この差は…
「高血圧予防」には、「ピーナッツ」と一緒に食べる
「疲労回復」には、「ご飯」と一緒に食べる
「冷え性」には、「黒酢」を飲むと良い
「カルシウムの吸収率」アップには、「お酢入り牛乳」、「お酢入りあさりのみそ汁」が良い。

〇「お酢」は最強の調味料!
「お酢」には、「夏バテ予防」や「疲労回復」、「脂肪燃焼」など夏を乗り切るための“うれしい効果”がたくさんある。他にも「血圧の上昇」や「血糖値の上昇」を防いでくれるなど、様々な健康効果が期待できる。しかも、「お酢」は料理に入れて加熱しても成分が壊れにくいため、「最強の調味料」と呼ばれている。
「お酢」には原料が異なるさまざまな種類があるが、基本的にはどのお酢を使っても健康効果は変わらない。

〇「高血圧予防」のある「お酢」
「3大疾病」と言われる「心筋梗塞」「脳卒中」の原因の1つである「高血圧」。 「お酢」に含まれる「酢酸」には、血管を広げる働きがあり「血圧の上昇」を抑える効果がある。
実際に、毎日1回大さじ1杯(15ml)の「お酢」をとり続け、「血圧の変化」を測定した実験では、元々「150以上」あった血圧が、8週間後には「140台前半」まで下がった。しかし、「お酢」をとるのをやめたとたんに血圧が元の数値に戻り始めた。つまり「お酢」は毎日とらなければ、血圧を下げる効果はない。

〇(1)「高血圧予防」ために、「お酢」と一緒にとるとより効果があるのは、「わかめ」、「ピーナッツ」、どっち?!
「お酢」と一緒に食べると「高血圧予防」に、より効果がある食材は「ピーナッツ」。

「ピーナツ」の中には、「オレイン酸」という油が入っていて、血圧が上がる原因となる物質である血液中の「悪玉コレステロール」の働きを抑える効果がある。「お酢」と一緒に「ピーナッツ」を食べると、小腸で「お酢」の「酢酸」が「ピーナッツ」の「オレイン酸」をより細かく分解して、血液中の「オレイン酸」の数が増え、より多くの「悪玉コレステロール」を減らしてくれる。

〇「お酢」と「ピーナッツ」の効果的な食べ方
より効果的な食べ方は、「お酢」に「ピーナツ」を3日ほど漬けた「酢ピーナッツ」。「お酢」に漬けることによって消化されやすくなり、「ピーナツ」の「オレイン酸」が吸収されやすくなる。
「茶色い皮」は付いたまま食べるのが重要。「茶色い皮」には「ポリフェノール」という血管を広げてくれる物質がたくさん入っているため、血圧を下げる効果がある。
毎日20粒程度食べると効果がある。「お酢」の種類は何でも良い。「お酢」の酸味が苦手な方は「ハチミツ」を入れるとより食べやすくなる。また、人間の血圧は朝起きて段々と上がるため、血圧を上げないためには朝食べた方が良い。

〇(2)「疲労回復」ために、「お酢」と一緒にとるとより効果があるのは、「ご飯」、「豚肉」、どっち?!
「お酢」と一緒に食べると「疲労回復」に、より効果があるのは「ご飯」。

疲労回復に一番なのは、ご飯の中に含まれている「糖」。「糖」は体内に入ると「エネルギー源」に変換されて、体内に蓄えられるが、この時「ご飯」と一緒に「お酢」をとると、「お酢」に含まれる「酢酸」の働きによって、「糖」が素早く「エネルギー源」へと変換される。そのため、短時間で より多くのエネルギー源が作られるので、「疲労回復」が効率的に行われる。
「糖分」だけとった場合と、「お酢と一緒に糖分」をとった場合を比べると、その吸収率はなんと3倍にもなる。マラソンのレース中にハチミツにお酢を入れたスペシャルドリンクを飲むランナーが多いが、これも疲労回復に非常に効果があるから。

〇「お酢」と一緒にとった方が良い食材: 「牛乳」
「牛乳」の代表的な栄養素は「カルシウム」。 「カルシウム」は、体内で吸収されにくい性質を持っていて、牛乳の場合 約50%しか吸収されない。しかし、「お酢」と「カルシウム」を一緒にとることで、その吸収率が2割ほどアップするという結果がある。

「お酢入り牛乳」の作り方は、「牛乳」コップ一杯120mlに対し、「お酢」を大さじ1、「はちみつ」を大さじ1入れて、よくかき混ぜれば完成。街の人に飲んでもらうと「美味しい!」「さわやか!」「ヨーグルトシェイクのようで飲みやすい」と高評価。

〇「お酢」と一緒にとった方が良い食材: 「あさりのみそ汁」
「あさり」の貝殻には「カルシウム」がたっぷり付いている。「あさりのみそ汁」を作る場合には、「お酢」を調理の最初に入れると、「お酢」の「酢酸」が貝殻を溶かしてくれて、貝殻に含まれていた「カルシウム」がたくさん外に出てくる。溶け出す「カルシウム」の量は4倍にもなる。

「お酢入り あさりのみそ汁」の作り方は、あさり100グラムに対し、水400ml、「お酢」を大さじ1杯入れ、貝殻の「カルシウム」を十分溶かすため沸騰後8分ほど加熱する。最後に味噌を溶かしたら完成。酸っぱさはなく、普通の味噌汁と同じで、「お酢」が入っているのは分からない。 「骨粗しょう症」が気になる方は、ぜひお試しを!

〇(3)「黒酢」を飲むと、予防できるのは、「冷え性」、「腰痛」、どっち?!
「黒酢」の健康効果は、「冷え性」。

「冷え性」の主な原因は、代謝の低下。代謝が低下するとエネルギーが完全に燃えないので、体が温められなくなってしまう。「黒酢」には代謝を活発にさせる成分の「アミノ酸」が豊富に含まれている。「黒酢」の原料は、「アミノ酸」がたくさん含まれている玄米を使っているので、一般的な普通の米酢と比較すると、おおよそ3倍くらい「アミノ酸」が多い。「アミノ酸」は、代謝を上げることができるので「冷え性」対策には「黒酢」が、1番効果がある。

「黒酢」を水で割って飲む場合、水150mlに対し、大さじ1杯が目安。「アミノ酸」が多く含まれるため、「二日酔い」にも効果的!

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