この差って何ですか?

毎週火曜よる7時

過去の放送内容

2018年3月6日

(1)「薄いお餅で巻いた桜餅」と「お餅で包んだ桜餅」の差

(写真)

専門家:梶山浩司(東京製菓学校 校長)

この差は…
「関東で生まれた」か「関西で生まれた」かどうか。
「薄いお餅で巻いた桜餅」は「関東」。「お餅で包んだ桜餅」は「関西」。

〇なぜ「関東」と「関西」で、桜餅の形が違うのか?
先に生まれたのは、「関東」の桜餅。1717年(江戸中期)、長命寺でサクラの落ち葉掃除に悩んでいた山本新六が、そのサクラの葉を商売にできないかと考え、「薄いお餅で巻いた桜餅」を発売。花見客に大評判となり、大ヒットに。ちなみに、桜の葉は、もともと「香り付け」や「乾燥防止」に付けていたもので、塩漬けはすぐに乾燥してシワシワになってしまう桜の葉をきれいに保存するためだった。それを一緒に食べるようになったのは、ある時、お客が餅と桜の葉を一緒に食べてしまい、その味が評判となったことによる偶然の出来事だった。

その後、この関東の桜餅は、関西にも伝わった。しかし、当時関西では「道明寺粉」という「もち米」を蒸して乾燥させて砕いた粉で作ったお餅が定着しており、塩漬けにした桜の葉でお餅を巻くという手法だけが取り入れられて、現在の「関西の桜餅」の形になった。

〇桜餅の生みの親のお店は現存する!
現在でも長命寺の隣、「長命寺桜もち」という店名で営業。桜餅も「長命寺桜もち(200円)」で販売されており、3枚の葉で包まれている桜餅で、白いお餅が特徴。

(2)「のしを付ける時」と「のしを付けない時」の差

(写真)

専門家:岩下宣子(マナーデザイナー)

この差は…
○のしを付ける時
「誕生日」、「就職祝い」、「結婚・出産」、「還暦」、「謝罪」
○のしを付けない時
「お葬式」

「のし」とは小さな「熨し(のし)アワビ」の飾りのこと。紙自体は「のし紙」という。

〇「のし」が生まれた経緯とは?
奈良時代、天皇に「アワビ」を献上していたが、生では腐りやすいため、干物にしていた。より早く干物にするために細長く切り、薄く延ばすことで長期間保存がきくようにしていた。当時「伸ばす」ことを「のす」と言っていたため、「熨し(のし)アワビ」と呼ばれていた。その後、相手への敬意の意味を持つようになり、贈り物に添えて「熨しアワビ」を贈るようになった。

江戸時代には、さらに敬意を表すために「熨しアワビ」を紙で装飾するようになり、豪華な装飾を施したモノへ進化していった。ところが、昭和になり、戦後の物不足の影響や、本物のアワビは高価だということで、印刷した「熨しアワビ」を付けるように!

紙自体を「のし」と勘違いしている人も多いですが、これは「のし紙」というもので、小さな飾りだけを「のし」という。

〇なぜ「お葬式」で「のし」をつけていけない理由は?
「のし=相手を敬う気持ち」なので、お供え物・香典返しに付けても良いのでは?とも考えられるが、お葬式では仏教の教えで、動物を殺生したモノを食べたり、出したりしないことになっている。そのため、「のし」自体がアワビの殺生したモノのため、出さない。お葬式では、「のし」が付いていない紙を使用し、これを「掛け紙」という。

〇最近、「お見舞い」で「のし」をつけなくなっている理由は?
従来、「お見舞い」には「のし」をつけていたが、今では「病気を延ばす」「入院を延ばす」という意味合いから「のし」を付けないようになってきている。そのため、気になる方は「掛け紙」で贈り物を準備することをオススメ。

(3)「片方の身にだけ骨がついている干物(アジなど)」と「両方の身に骨がついている干物(ホッケなど)」の差

(写真)

専門家:山田満(株式会社山安 常務取締役)

この差は…
魚の背骨が細い(アジなど)か太い(ホッケなど)かどうか
骨が付いている身の方が旨味・水分が多く、美味しい。

〇なぜホッケは両方の身に骨を残している?
片側の身だけではなく、両側の身をどちらもより美味しく食べられるようにするために、両方の身に骨を残している。

〇なぜ骨を残すと美味しく食べられるのか?
開いた魚の表面を見ると、「骨」と「身」が一体となった「膜」になっているのがわかる。この「膜」が脂などの旨味・水分が出るのを防いでくれるフタの役割を果たしている。そのため、骨が付いている身の方が旨味・水分があり、美味しい。そこで、「ホッケの開き」は、背骨を真っ二つに切って、両側の身に骨を残すことで、片側だけでなく、両側に「魚の旨味」を閉じ込めた状態にしている。

〇なぜ「アジの開き」は背骨を切っていない?
「アジ」は「ホッケ」に比べて、背骨が細く、機械でキレイに切断できないため。

(4)意外と知らない!?謝罪の時の手土産にまつわる差

(写真)

専門家:諏内えみ(マナースクール ライビウム代表 マナー講師)

この差は…
(1)謝罪の時の手土産は、「後に残らない少し重さのあるモノ」がオススメ。
(2)「のし紙」に書く、ふさわしい表書きは、「粗品」。
(3)手土産を渡すタイミングは、「帰り際」。

手土産は、中身だけ渡して、紙袋は必ず持ち帰るのがマナー。

〇どんな手土産を持っていけばよい?
「羊羹」はふさわしい。「ケーキ」、「グラス」、「現金」はふさわしくない。
まず後に残るモノは良くない。見るたびに嫌なコトを思い出してしまうと考えるため、「グラス」はふさわしくない。そこで、食べてなくなる消えモノがふさわしい。ただ、食べ物であれば、何でも良いわけではない。「非常に重く事態を受け止めております」という思いを表すためには、少し重さがあるモノが良いため、生ケーキだと重さが足りない。またケーキはすぐ冷蔵庫に保管しないといけないため、手間がかかることを考えると、あまりふさわしくないといえる。「フルーツ」も手間がかかるので、ふさわしくない。最後に「現金」は、「お金で解決しようとするイメージ」があり、気持ちが伝わらないので、ふさわしくないといえる。

マナーには様々な観点からの考え方があります。
今回は「先方に手間をかけさせない方がのぞましい」
という点からご紹介しています。

〇謝罪の時の手土産として、「羊羹」意外にふさわしいモノとは?
謝罪の時の手土産として、「羊羹」意外にふさわしいモノとしては、「もなか」、「どら焼き」、「バームクーヘン」、「カステラ」など。重さがあり、常温で約1週間程度、日持ちするモノがオススメ。

〇「のし紙」の表書きには何と書けば良い?
「のし紙」の表書きには、「粗品」と書くのがふさわしい。ちなみに「寸志」は「ちょっとした気持ち」という意味。失礼をして怒っている方に、「ちょっとの気持ちですよ」は、失礼になる。さらに「寸志」は目上の人から目下の人に使う言葉でもある。一方、「粗品」は「立派なモノではない」という意味。気持ちは入っているが、立派なモノではないということで、「粗品」の方が合っている。

〇「のし紙」の表書きに一番気持ちが伝わる表書きとは?
「粗品」よりも謝罪に適した表書きが「深謝(しんしゃ)」。「深いお詫び」という意味。

〇「手土産」を渡すタイミングとは?
「手土産」を渡すタイミングは、「帰り際」。早めに渡してしまうと、「これで許して下さい」、「どうかこれで勘弁して下さい」という風な取られ方をするので、完全にお詫びが済んで、「帰り際」に「心ばかりのモノ」という意味で、置いて帰るのが正しい。

〇「手土産」を紙袋に入れたまま渡すのは良い?
手土産を紙袋に入れたまま渡してしまうのは、やってはいけない。袋から出して「中身だけ」を渡すようにするのが正しい。そして紙袋は必ず持ち帰るのがマナーとなる。

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