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毎週火曜よる7時

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2018年1月16日

(1)「そば湯はある」と「うどん湯はない」の差

(写真)

専門家:前島敏正(江戸ソバリエ協会事務局長)

この差は…
江戸時代、そばを食べてお腹を壊さないため。
現在では製麺技術も発達したため、「そば湯」がなくても、胃もたれすることはない。

〇なぜ「そば」にだけ、「そば湯」?
江戸時代、「そば」は、消化不良でお腹を壊す問題があった。そのため、「そば」は主食ではなく、農作物が採れなかった時の非常食として、しかたなく食べられていた。しかし、信州(長野県)では、大勢の人々が主食として「そば」を食べていた。

ある時、江戸の旅人が信州に訪れた際に、人々が主食として食べている「そば」を食べて、やはりお腹を壊したが、「そば湯」を飲むことで痛みがなくなった。その不思議な体験を『蕎麦全書』という本に執筆して世の中に広まった。

現在では製麺技術も発達し、麺に「そば殻」が入っていないため、「そば湯」がなくても、胃もたれすることはない。

ちなみに「そば湯」には、「ルチン(血液サラサラ効果)」、「食物繊維(整腸効果)」、「ビタミンB1(疲労の蓄積を防ぐ)」、「ビタミンB2(代謝を助ける)」などが豊富に含まれているため、飲むのはオススメ。

〇なぜ昔は「そば」を食べると、消化不良を起こしたのか?
当時の「そば」の作り方に問題があった。現在では、硬い殻に覆われた「そばの実」を石臼や機械等で細かくすりつぶし、その後、ザルでこすことで殻を取り除いた「そば粉」でつくっている。江戸時代、「そばの実」は杵で叩いて潰していた。そのため「そばの実」を細かくすり潰せなかった。さらにザルでこすこともしていなかったため、「そば」の中に殻が多く混ざっていた。その「殻」が原因でお腹を壊す人が多かった。

〇なぜ「そば湯」を飲むと消化不良が治るのか?
実は「そば湯」でなくても、「そば」を食べた後に温かいモノを飲めば、胃の消化活動が促され、胃もたれしない。信州は寒い地域なので、昔「そばのゆで汁」を見た村民が、温かく美味しそうだと思って飲んだところ、お腹の調子が悪くならなかったことから、「そば湯文化」があったと推定される。

(2)「浅草(あさくさ)」と「浅草(せんそう)寺」の差

(写真)

専門家:櫻井治男(皇學館大学 大学院 文学研究科 教授)

この差は…
「お寺(仏教)」は、中国から伝わってきたため「音読み」が使われることが多いため
「神社」は、日本由来のため「訓読み」が使われることが多い。

〇いつ頃から「せんそう(浅草)寺」と呼ばれるようになったのか?
平安時代以降。飛鳥時代の浅草寺が描かれているが、当時は名前が付いていなかった。平安時代に地名の「あさくさ(訓読み)」から「せんそうじ(音読み)」にした。

〇なぜ「音読み」にしたのか?
それは「お寺」だから。お寺は、仏様を祀っている所。仏様を祀る仏教は、中国から伝わってきたため、中国の漢字の読み方である「音読み」が使われることが多い。

奈良にある「東大寺」も、音読みの「とうだいじ」。長野にある「善光寺」も、音読みの「ぜんこうじ」。滋賀県にある「延暦寺」も、音読みの「えんりゃくじ」。

〇「清水寺(きよみずでら)」は、なぜ「訓読み」なのか?
「清水寺」は、元々「音読み」のお寺だった。江戸時代の小説『扶桑皇統記図絵』には「せいすいじ」と「音読み」で書かれている。

清水寺に行く参拝者の多くが、「音羽の滝の水」を飲む。昔、この滝がとても清らかな水で、それを飲むとご利益があると評判になった。そこで「清(きよ)らかな水(みず)のお寺(てら)」と多くの人から呼ばれるようになり、そのまま「清水寺(きよみずでら)」と呼ばれるようになったといわれている。

〇「浅草寺」の隣にある「浅草神社」は?
「浅草神社」は、「訓読み」の「あさくさ神社」。これは、神社が日本由来なので、神社の名前は「訓読み」が多い。

東京新宿区にある「花園神社」も、訓読みの「はなぞのじんじゃ」。京都にある「八坂神社」も、訓読みの「やさかじんじゃ」。

(3)水引が「下向きの祝儀袋」と「上向きの祝儀袋」の差

(写真)

専門家:井垣利英(マナー講師)

この差は…
「何度あっても良いお祝い(下向き)」か「人生で一度きりのお祝い(上向き)」かどうか
水引を引っ張った際、「ほどけるか、ほどけないか」がポイント。

〇なぜ「水引」というのか?
祝儀袋につける赤と白の紐、「水引」。その由来は、「白い紐」を「赤い水」に半分浸して、引きながら染めたため、「水」に入れて「引」いて染めるから「水引」になったといわれている。

〇「下向きの祝儀袋」と「上向きの祝儀袋」の違い
それぞれに、正しい使い分けがある。その使い分けは、水引を引っ張ればわかる。

水引が下向きは、引っ張ると「ほどける」。水引が上向きは、引っ張っても「ほどけない」。この水引が「ほどけるか、ほどけないか」がポイント。水引が「下向きの祝儀袋」は、水引が引っ張ればほどけるので、何度でも結び直すことができる。そのため、「何度あっても良いお祝い」向けとなる。水引が「上向きの祝儀袋」は、水引が固く結ばれてほどけない。そのため、「人生で一度切りのお祝い」向けとなる。

〇水引が「下向きの祝儀袋」のお祝いとは?
「何度あっても良いお祝い」なので、「出産」、「七五三(男女ともに二度ある)」などとなる。

〇水引が「上向きの祝儀袋」のお祝いとは?
「人生で一度切りのお祝い」なので、「結婚」、「成人」などとなる。

〇「上向きの祝儀袋」の水引の色(赤と白・金と銀)の違いとは?
祝儀袋の中に入れる金額の違い。「赤と白」の場合は1万円以下、「金と銀」の場合は1〜3万円と、金額によって使い分ける。

ちなみに3〜5万円の場合は、「金色」の水引で袋に装飾がある祝儀袋を使う。5万円以上の場合は、鶴などでより豪華に装飾した祝儀袋を使う。

〇なぜ、中に入れる金額で袋を変えるのか?
結婚式のお祝いなどでは、たくさんのご祝儀を頂く。一旦、お金を取り出してしまうと、誰がどれぐらいの金額を入れていたかがわからなくなってしまう。しかし、袋の違いで中身がなくてもどれぐらい入っていたのか、おおよその目安を知ることができるようにするため。

(4)お返しが「必要なお祝い」と「必要ないお祝い」の差

(写真)

専門家:井垣利英(マナー講師)

この差は…
命のありがたみを神様に感謝していたお祝いかどうか
「お返しが必要なお祝い」は、「結婚」、「出産」、「七五三」、「還暦」など。

〇お返しが「必要なお祝い」とは?
「結婚」、「出産」、「七五三」、「還暦」などとなる。

〇お返しが「必要ないお祝い」とは?
「入学」、「成人」などとなる。

〇なぜお返しが必要なのか?
古墳時代、子どもが生まれた際、村中から祝いの品が送られた。そこで夫婦は、神様に「命のありがたみ」を感謝するために祝いの品をお供えした。そして、村人を集めて、神様へのお供えを食べながら宴を開いた。しかし、宴が終わるとお供え物が余ってしまっていた。このまま腐らせるのは神様に失礼と考え、神様にお供えした物を、村人に返したことで、「お返し」が生まれたと考えられている。

そこで、命が生まれるきっかけとなる「結婚」、そして「出産」、子どもが無事成長したことを祝う「七五三」、長く生きられたことを感謝する「還暦」など、「命のありがたみを感謝するお祝い」には今でもお返しが必要。

一方、「入学」や「成人」は、命のありがたみを感謝するわけではない、近年になってできたお祝いなので、お返しが必要ない。

(5)お祝いのお返しで「贈っていい物」と「贈ってはいけない物」の差

(写真)

専門家:井垣利英(マナー講師)

贈り物やお返しのマナーについては地域や世代などの違いによってさまざまな慣習があります。
また、番組でご紹介したのは「お祝いのお返しのマナー」であり一般的な贈答には当てはまらない場合もあります。

〇お祝いのお返しに送ってはいけない物はどっち!?
(1)「タオル」と「ハンカチ」
⇒答えは、「ハンカチ」。「ハンカチ」は、日本語では「手巾(てぎれ)」。そのため、手切れ金など別れを連想させるため。また「白いハンカチ」は、亡くなった人の顔にかけるため、贈るのは避けた方が良いと言われている。

(2)「緑茶」と「紅茶」
⇒答えは、「緑茶」。「緑茶」は、地域によってお葬式の時に手土産として使われることが多いため。
お葬式は突然のことなので前もって準備ができないため、自宅にいつでもある「緑茶」を最低限のお礼として渡してきた事に由来する。

(3)「靴下」と「手袋」
⇒答えは、「靴下」。日本では「下」の付く贈り物はよくないと言われている。その理由は「靴下」の様に「下」とつく品物を贈ると、「相手を見下す」と考えられ、お祝いのお返しとして贈るのは避けた方が良いと言われている。ほかにも「下」と付く「下着」や、「履物」や「マット」など「足で踏みつける品物」も、同様に「相手を見下す」意味になると言われている。

(6)○○代、○○賃、○○料とお金を表す「代・賃・料」の差

(写真)

専門家:神永曉(日本国語大辞典元編集長)

この差は…
「○○代」は、モノの代わりに支払うお金
「○○賃」は、人に何かやってもらったことと引き換えに支払うお金
「○○料」は、一定に決められた金額かどうか
それぞれどのように使われ始めたかによって意味が異なる。

〇「○○代、○○賃、○○料」の語源。
「○○代」は、「代金」。「○○賃」は、「賃金」。「○○料」は、料金」。

〇「代金」という言葉は、どのようにして使われ始めたのか?
江戸前期に使われるようになった。井原西鶴『日本永代蔵』には「代金」と書かれている。
「代金」とは、モノの代わりとして支払うお金、ということ。そこで、食事の代わりに支払うお金は「飲食代」、書籍の代わりに支払うお金は「書籍代」となる。

〇「賃金」という言葉は、どのようにして使われ始めたのか?
江戸中期に使われるようになった。「賃」とは、訓読みで「賃(やと)う」と読む。つまり、「賃金」とは、人に何かをやってもらったことと引き換えに払うお金、ということ。そこで、大家さんに家を貸してもらったことと引き換えに支払うお金は「家賃」、運転士さんに電車に乗せてもらったことと引き換えに支払うお金は「運賃」となる。

〇「料金」という言葉は、どのようにして使われ始めたのか?
明治時代に使われるようになった。郵便局が誕生したことで、初めて料金という言葉が使われた。それまでの飛脚は言い値で決まっていたが、郵便局になってから、重さや大きさで値段がきまるようになった。「料」とは、訓読みで「料(はか)る」と読む。つまり、「料金」とは、重さや大きさを料(はか)って、一定に決められている金額のこと。そこで、大人、子どもの値段が決まっている遊園地は「入園料」、授業を受けるのに決まっている学校は全員に一定に決められているため「授業料」となる。

(7)「手を体の横に置くお辞儀」と「手を体の前に合わせるお辞儀」の差

(写真)

専門家:岩下宣子(マナー講師)

この差は…
親しみやすさの表現を意識しているかどうか
それぞれのお辞儀の成り立ちに関係している。

〇「手を体の横に置くお辞儀」のはじまりは?
先に生まれたのは、「手を体の横に置くお辞儀」。室町時代に、第三代将軍 足利義満のある不満から生まれたといわれている。足利義満は背が低かったため、道の端によける従来のやり方の場合、背の高い家臣から見下ろされることを不満に思っていた。そこで、道の端によけるだけでなく、腰を曲げ、頭を下げ、相手より視線を下げて、敬意を表す「お辞儀」をさせた。その際、腰に付けていた刀が落ちないように「手を体の横に置いた」、と言われている。

〇「手を体の前に合わせるお辞儀」のはじまりは?
太平洋戦争後の1950年代、キャビンアテンダントの方がはじめたと言われている。当時、飛行機は敷居の高い乗り物で、キャビンアテンダントも親しみにくい存在であった。そこで、キャビンアテンダントが、お客様に親しみを持ってもらうために、体を小さく見せて柔らかい雰囲気にしようとして始めたと考えられる。その後、キャビンアテンダントが接客マナーの研修をいろいろな場所で行うようになり、接客業で「手を前に合わせるお辞儀」が広まったと言われている。

〇「手を体の前に合わせるお辞儀」でも「右手」を上にした場合とは?
「手を体の前に合わせるお辞儀」でも、「右手を上にする」か、「左手を上にする」かで、違う意味が込められている。

「右手を上にする」お辞儀は、利き手である右手を上にすることで、瞬時にお客様の要望に応え、「お役に立ちます」という意味がある。レストランでの接客や客室を訪ねる際など、「右手を上にする」お辞儀が基本。一方、「左手を上にする」お辞儀は、はじめて来店されるお客様に対して、左手で利き手を押さえつけることで、「あなたに危害を加えません」という意味を込めている。

(8)「目が疲れやすい人」と「目が疲れにくい人」の差

(写真)

専門家:梶田雅義(梶田眼科院長)

この差は…
目を閉じた時に黒目が外を向いているかどうか
目が疲れやすい人は、目を閉じた時に黒目が外を向いている

〇なぜ疲れやすいのか?
目を閉じたリラックス時に黒目が外を向いている方は、目を開けて正面を見た場合、目の筋肉を動かしていることになる。そのため、夕方ごろになると、筋肉が疲労して、震えがでることで、焦点が合いにくくなり、ぶれて見えてしまうといった症状がでてくる。

〇黒目が外を向く日本人の割合は?
日本人では、2人に1人といわれている。

〇今すぐできる!自分で「黒目が外を向いているか」をチェック方法とは?
用意するのは、「鉛筆」と「目隠し」だけ。「目隠し」は、スプーンなどでも代用できる。まずは、「鉛筆」を片手で持ち、目からおよそ20センチのところまで離す。そして、「鉛筆」の先端を両目で見ながら、片方の目を「目隠し」で隠す。続いて、5秒数えながら、鉛筆を左右へ動かす。この時、見えている方の目で、「鉛筆」の先端を追いかける。その後、「目隠し」を外した際に黒目が動くかどうかを確認する。

ご自宅でチェックする際は、黒目が動いたかどうか?周りの方にスマートフォンなどで録画してもらい確認するとわかりやすい。

〇疲れ目を治す方法とは?
1時間おきに1分間、目を閉じる。これにより、筋肉の緊張をほぐし、リラックスできる状態にすることができる。

(9)乾燥肌ではないのに、冬になると「体がかゆくなる人、かゆくならない人」の差

(写真)

専門家:髙瀬聡子(ウォブクリニック中目黒総院長)

この差は…
血行が悪いかどうか
血管が神経にふれることで、体がかゆくなる

〇なぜ「保湿クリーム」を塗っても、体がかゆくなるのか?
「保湿クリーム」を塗っても、体がかゆくなってしまうのは、実は「血行が悪い」から!血行が悪いと、寒いところから暖かいところに移動した時に、血管が大きく膨らんでしまう。この時、血管が神経に触れてしまい刺激することで、体がかゆくなる。このように、「かゆみの原因」が「体の内側」にあるため、「保湿クリーム」をどんなに塗っても、かゆみが収まらない。

〇「かゆみ」が出たら、どう対処すればよいのか?
答えは、「水」で冷やす。「水道の水」を「かゆみ」を感じた部分にしばらく当てることで、「かゆみ」が収まる。「水」で冷やすことで、血管が元の太さに戻り、神経を刺激しなくなり、「かゆみ」が収まる。水で冷やしづらい場所(二の腕や足など)は、冷やした「ペットボトルの水」を「かゆみ」を感じた場所に当てる。ただし、これはあくまでも、一時的な対応なので。

冬になっても体がかゆくならない様にするには、根本的に血行を良くすることが必要。

〇血行を良くする食材とは?
答えは、「シナモン」。スプーン1杯(0.6〜3グラム程度)を、トーストにかけたり、ミルクティー等にいれて摂取することで、血行を良くする効果が期待できる。

〇血行を良くするマッサージ方法とは?
マッサージする場所は、「太もも」。「太もも」は、体の中で、最も大きな筋肉があり、大きな血管も通っているので、効率よく血行を良くすることができる。

(1)両手で、太ももの付け根を握る(※力加減は、スポンジが潰れる程度)。
(2)握った手を前後に10回。
(3)次に、ねじる様に、左右に10回。
(4)反対の足も同様に、朝と夜の2回行う。
このマッサージを習慣的に続けることで、血行が良くなっていく。

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