明るく優しい、“テイラー先生”は、子供たちの憧れだった。
宮城県石巻市の小・中学校で英語を教えていた、アメリカ人女性のテイラー・アンダーソンさん(当時24)は東日本大震災で亡くなった。幼い頃から憧れた日本で、教師の夢を叶えたばかりだった。
「テイラーが死んだのは日本のせいじゃない。テイラーは日本の人たちを愛していたから…」。テイラーさんの両親は、その意思を継ごうと石巻の子供たちへ本を贈り続けている。それは「テイラー文庫」と名付けられ、10年近くの間に2万冊に達した。
その「テイラー文庫」の本棚を作ったのが木工作家・遠藤伸一さん。テイラー先生の教え子だった3人の子供たちが、津波の犠牲になった。絶望の中、生きる希望となったのが、本棚を作ることだった。
「テイラー先生が未来へ導いてくれた」と語るのは、当時の教え子の1人で、東京の大学に進んだ佐々木えりこさん。この春、アメリカに渡り、出会ったのは ― 。
あの震災から、もうすぐ10年。海を越え、テイラーさんが遺した、“人のつながり”。深い悲しみを生きてきた人たちの、背中を押し続けるものは ―
制作:TBSテレビ
ディレクター:原田真衣