2019年7月15日。札幌での安倍首相の応援演説で「安倍やめろ」とヤジを飛ばした男性が排除された。「増税反対」。そう声を上げた女子大生も同様だった。
あの日排除されたのは声を上げた人だけではなく、無言でプラカードを掲げる人もいた。プラカードを掲げられなかった女性はこう語る。
「無言でプラカードを掲げるというのは誰にでもある権利。弱者ができる唯一の一人でできることを奪う国は民主主義ではない」
排除した警察は、およそ7か月もの間、排除した法的根拠を説明していない。
明治・大正の言論の自由が抑圧されていた時代。戦時中に多くの市民を排除し、思想することさえも奪った治安維持法。声を上げる中身や無言で掲げるプラカードの内容で排除の対象になってしまう。
あの日、札幌では、どこか遠く感じていた昔のように民主主義が大きく制限されていたのではないだろうか。
制作:HBC北海道放送
ディレクター:長沢祐