TBS 日曜劇場「JIN -仁-」｜インタビュー

インタビュー

VOL.3 内野聖陽さん（坂本龍馬役）

はじめに、台本を読んだ感想を教えてください。

なによりもまず「幕末の江戸へタイムスリップしてしまう」という発想が面白いなと思ったし、現代においては“普通の人”である仁が、江戸で“スーパーマン”のように活躍する姿に魅入られました。道具もない、薬もない･･･現代とは全く違う環境に置かれた現代人がどんなことをできるんだろうって、先が非常に気になるストーリーですよね。恋や友情や別れ、江戸に生きる親子の情愛なども印象的に描かれていて、ヒューマン色の強い作品になっているなと感じました。

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誰もが知る幕末の英雄・坂本龍馬を演じてみていかがですか？

「いつかはチャレンジしてみたい」と思っていた役だったので、４１歳にして演じることができて非常に嬉しいです（笑）。幕末を象徴するような男ですから、現代からやってきた仁とは対照的に、その時代の感覚や背景を色濃く滲ませられたらいいなと思いますね。最初のころはあまり出番がなくて残念だったんですけれど、ドラマの脚本では龍馬と仁の関わり合いもよりいっそう強いものに描かれていくと思うので、今後の展開もぜひ楽しみにしていてほしいです。

この物語に登場する龍馬は、まだ脱藩して江戸に出てきたばかりという設定なんですよね？

特に最初の頃は、まだ自分の道を見出せていない、彷徨ったり悩んだりしている龍馬といった感じですね。ただ、その一方で「日本を変えたい」という異常なまでの情熱と希望に燃えていた時期でもあったと思うので、そういうエネルギッシュな部分も感じさせながら、物語に大きな揺さぶりをかけられればと思っています。今回は医療の話が中心に進んでいくので、どこまで龍馬の生き様が描かれるのかはわかりませんが、脚本の制約の中で許される限り、激動の時代を駆け抜けた男の志みたいなものもしっかり表現していきたいですね。今の日本も政権交代だなんだと揺らいでいて、当時と少し状況が似ているのかもしれませんが、幕末というのは鎖国から開国へと動いた節目の時代。江戸でたくましく生きる人々の姿から、エネルギーを感じ取ってもらえたら嬉しいです。

役作りにおいて、こだわっていらっしゃる点を教えてください。

ビジュアルはこういう顔のつくりなんで工夫のしようがないんですが（笑）、龍馬に関する文献を読んだり資料館を訪れてみると、彼があの時代にどれだけ奇跡的な存在だったかっていうのが伝わってくるんですよね。立ち居振る舞いもさることながら、一番大事にしたいのはやっぱり龍馬の人間性かな。龍馬っちゅうのは“額縁のない男”というか、既成の概念にとらわれない自由な発想や感性を持った人物だったと思うので、その“どこにも収まりきらない感じ”を意識して、型にはまらず伸びやかに、魅力的な龍馬になるよう心がけて演じています。

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南方仁を演じる大沢さんとのコンビはいかがですか？

まぁ、外見は･･･「爽やか男」と「むさい男」って感じ（笑）！？
大沢さんは芝居に対して本当にひたむきな方なので、一緒に芝居をさせていただく立場からしても非常に気持ちがいいですね。このドラマにおける龍馬は、現代からやってきて“歴史を変えてしまってもいいのか”と悩みつつも、庶民の力になろうと頑張る仁先生に触発されていくというふうに描かれていくのですが、僕には大沢さんのひたむきさが仁先生と重なって見えるというか･･･。ラブ（恋愛）の要素は、今後も龍馬以外のところでしっかりと描かれていくはずなので（笑）、それ以外の部分をいかに盛り上げていくかというのが、龍馬に課された役割なんじゃないかな。仁と龍馬の友情にも、注目してみてほしいですね。

他の共演のみなさんや、現場の雰囲気などはいかがですか？

「オレ独りだけ、芸風、浮いてないか？」って不安になるくらい（笑）、本当に素敵な人たちばかりで、毎日がとても刺激的です。セットも豪勢で、二階建ての遊郭をスタジオにドカンと建てちゃったりなんかして。気合の入り方つたわってきますよ（笑）。現場に入ると、スタッフたちの頑張りもひしひしと感じますね。

内野さんは今回、土佐弁にも初挑戦されていらっしゃいますね。

土佐弁には、少々手こずっちゅう（笑）。これまで土佐の方と触れ合う機会がなかったもので、土佐弁にも全くなじみがなくて･･･。土佐は関西系ではあるんですけれど、関西弁ともやっぱりどこか違いますしね。語尾も「～しちゅう」「～ぜよ」「～するろう」とか聞きなれないものが多くて、イントネーションも微妙なのでなかなか手強いです。最近では、土佐弁を話すことが嬉しくてしょうがないです。徐々に土佐のにおいも出せてきているかなぁと自分では思っているんですけれど･･･実際にはどうなんでしょう（笑）！？
言葉を体得するのは大変な作業ですね。その土地の“におい”や“人”を感じないと理解できない部分もあるので、撮影に入る前には高知へも何度か行ってきました。龍馬のように桂浜に立って、土佐の南国気風や風土に触れて初めて気付いたことも多かったですね。土佐の言葉を聞いていると、乱暴にきこえることもあるんだけど、とても細やかで温かく、人懐っこかったり。敬語みたいなものもなくて、あまり上下関係を気にしないんですよ。そういうところも、龍馬の親しみやすさにつながっているのかなぁ、なんて。現地の方々とお酒を飲みにも行きましたが、もう本当に皆さん、土佐弁がお上手で･･･って、当たり前やろう！（笑）。

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この作品、どんな世代の人たちに見て欲しいですか？

あえていうのなら若者かな。仁がよく言っていることだけどほら、「神様は乗り越えられない試練は与えないぞ」ってね（笑）。南方先生もいろいろ悩みつつ江戸の中に飛び込んでいって、苦戦を強いられるんだけれど･･･。でも、窮地に陥ったときにも前を見ようとするパワーとかさ、幕末の揺らいでいた日本にも、龍馬のように夢や希望を持ちながら生きていたヤツらがいるんだぜっていうのは、今の若い人たちにも強いメッセージとして響くんじゃないかな。もちろん若い人だけではなく、さまざまな年齢の方が楽しめる作品になっていると思うので、ぜひ親子で見てもらいたいですね。江戸の人たちと現代人を見比べて、「日本人って本当に進化したのかよ」なんていう楽しみ方も、あるのかもしれません（笑）。

では、もしも内野さんが幕末にタイムスリップしてしまったら･･･！？

･･･現代に帰る手段がないのであれば、そこでなんとかして生きていくしかないですよね。仁先生みたいに医療の技術を身につけていたら僕も･･･やっぱりやっちゃうんじゃないでしょうかね、「しゅじゅちゅ」を（笑）。
龍馬を演じていると、本当に幕末に行ってみたいなと思うんですよ。龍馬が見た人や国、実際に黒船が来たとき日本人はどんな対応をしたんだろうとか、命がけで国を憂いていた攘夷の志士たちがどんな瞳をしていたのかとか･･･。知りたいことがたくさんあります。

会ってみたい歴史上の人物は誰ですか？

坂本龍馬と、彼に影響を与えた全ての人に会いたいです。武市半平太や人斬り以蔵、川田小龍に勝海舟･･･。鳥のように自由に羽ばたく龍馬を見守り、彼に夢を託した家族たちの存在も興味深いですよね。もちろん、乙女姉さんにも栄姉さんにも会ってみたいです！

最後の質問になります。もし、幕末の江戸で龍馬に会うことができたなら、彼に『暗殺』という史実を伝えますか？

うーん、難しい質問ですね･･･。でも、実際に自分が現代人として龍馬に影響を与えられるのだとしたら、やっぱり放っておけないかもしれないなぁ。「近江屋には気をつけろ」とか「誕生日には注意しろ（※龍馬は３３歳の誕生日に暗殺されたといわれている）」なんて、遠まわしに注意を促すかもしれませんね（笑）。

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TBS 日曜劇場「JIN -仁-」

2009年10月11日スタート 日曜よる9時

インタビュー

VOL.3 内野聖陽さん（坂本龍馬役）

2009年10月11日スタート日曜よる9時