A：ビルバオだけでなく、スペインの北にあるバスク地方は、近頃美食の街としてヨーロッパの2星3つ星シェフ、日本人シェフもこぞってレストランを開いているという今注目の街です。でも、美食の街と呼ばれているのは昔からで、厨房に入るのは男性という日本からすると少し変わった習慣がありました。女人禁止の美食会というのも伝統的に行われていて、調理スペースと食事スペースのある専用の部屋が街に何箇所かあります。個人のロッカーもあって、中にはマイ包丁やマイエプロンをしまってあったりもします。今回僕達が撮影させてもらったのは、たまたま平日のお昼でしたが、お昼休み14時頃になると、普通に働いている新聞記者だったり、広告の営業マンだったりがスーツのままやって来てプロ並の料理を作り始めるんです。もちろんワインも飲む！取材していた僕達からすると「これじゃこのあと仕事にならないよな…」なんて。でもちょっとうらやましかったです。お昼ごはんってなんか急いで食べがちでしょ？　食後はこれをやらなきゃとか電話しなきゃとか仕事のことを考えたりして。でも彼らはその時間、全く仕事を切り離している。それが何かいいな…なんて。

他にもビルバオは建築界でも注目されています。ビスカヤ橋の建築を筆頭に、イバイサバル川沿いには斬新な建物が次々とできるようになりました。最近なら2006年に完成した「グッゲンハイム美術館」などもそのひとつです。それだけでなく街の中にエスカレーターなんかも作ってしまう勢い。でも、ビスカヤ橋と同様に斬新かつ機能的で人々の生活に役立っているんです。

この斬新さを受け入れる姿勢は伝統的なのかはよく分かりませんが、街自体にそういう気質がなければ、あのビスカヤ橋のデザインも採用されなかったのだろうから、元々あったものなのかもしれませんね。そんな斬新さが世界にも受け入れられたのか、今では建築家の間でビルバオに建物を建てるのが一種のステイタスになっているらしいです。
こんな感じで世界遺産がある街としてだけでなく、街全体として流行の発信地的な存在になりつつあるビルバオ。その内、ビルバオ発の物が色々出てくるかもしれません。橋が出来たから街が発展して有名になったというわけでなく、もともと活気のある元気な街だからこそこういう橋もできた。それが他の遺産とは違うビルバオの魅力ですね。