
アフリカ大地溝帯の4000万年前に始まった地殻の変動は、今もアフリカの大地を、年に数ミリづつ引き裂き、そこには火山や湖・クレーターが帯状に連なる。中で最大のンゴロンゴロ・クレーターは、2400mの外輪山に囲まれ、直径およそ18km、ほぼ垂直に700m近く底へと落ち込んでいる。 |
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そこは、2万5千頭もの野生動物たちが暮らす「最後の楽園」だ。植物にはじまる食物連鎖は、一つの大きなエコロジー(生態系)のシステムをつくっている。人類の祖先も、かつてはその大自然の一員だった。私たちは、クレーターの底へと下る時、「世界の始まりに向かって、時を遡っていくように」感じる。 |
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タンザニア政府は、遊牧民マサイがンゴロンゴロで放牧することを、例外的に認めた。そこは、マサイが他の部族から守ってきた大地だからだ。牛の糞をこねて、家をつくるのは女たちの仕事。自然保護区は、野生動物と人間が一体となって共存する世紀の実験場になった。 |
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アフリカ全土で絶滅の危機にあるクロサイ。ンゴロンゴロでは、野生の姿を間近に観察できる。しかし、ンゴロンゴロでも、1960年代には100頭以上いたクロサイが、今わずかに14頭。角を売るために、密猟者に大量に殺された。2本の角は、毛の塊である。 |
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