日立 世界ふしぎ発見!

毎週土曜日 よる9時〜

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2021年11月27日 よる9時から放送

第1616回

地味にスゴイ!
ニッポン分水嶺紀行

ミステリーハンター

矢部 華恵(やべ はなえ)

1991年4月28日生まれ、アメリカ出身。6歳から日本で暮らす。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。小学6年生の時に『小学生日記』を出版して以来エッセイストとして活躍。また現在はラジオパーソナリティ、翻訳など活動の場を広げている。主な著書は、『小学生日記』(プレヴィジョン)、『本を読むわたし My Book Report』(ちくま文庫)、『華恵、山に行く。』(山と渓谷社)、『わたしの もりを ぬけたら』作:レイチェル・ウッドワース、絵:サン・ミャオ、訳:華恵(フレーベル館)。
ミステリーハンターは今回で3回目。

次回「世界ふしぎ発見!」のテーマは、分水嶺。山の方へ行くと聞く言葉だけれど、どんな所?と思われる方も多いのではないでしょうか。日本で最も有名な分水嶺へ赴き、その魅力を探ったミステリーハンターの矢部華恵さんにお話を伺いました。

その距離なんと5000キロ!
北海道から九州まで続く分水嶺

この石碑が示す通り分水嶺は水の流れが
太平洋側か日本海側かに分かれる分岐点

今回の取材で私も知ったことなのですが、分水嶺は北海道から九州まですべてにある水の分岐点です。分岐点ですが、ポイントではなくエリアと言った方がいいかもしれません。分水嶺を示した地図を見ると、日本列島を貫く境界線だということがわかりますが、地上だけでなく地下の地形や水脈も関係してくるので、目で見て「ここが分水嶺!」とわかる所はほとんどありません。また必ずしも標高の高い場所ばかりではありませんし、泉や川があるとも限りません。場所としてはちょっとイメージし難いのですが、分水嶺がわかりやすい所が日本に3箇所あって今回はその3つである乗鞍、栗駒、丹波を取材してきました。

実は昔の人たちも知っていた!
水の流れの分岐点

300年前松尾芭蕉が通った関所
そこは奥羽山脈の分水嶺

現在は地質学用語のような印象がある分水嶺ですが、昔の人たちはもっと身近に感じていたようです。物資などの運送を舟でしていた時代には、川がどこへ流れていくかとても重要だったこともあります。流れが変わるポイントは「水別れ(みわかれ)」とも呼ばれていて、丹波市の石生には水分かれ橋という橋もありました。二手に分かれ決して交わらないということから、結婚式にはその橋を渡っちゃいけないみたいな慣習もあったそうですよ(笑)。

トラブル続きの芭蕉の分水嶺越えを
演じてくださった藤井隆さんと矢部太郎さん

人が水の流れに心情を重ねるというのは、とても興味を惹かれましたね。それは今も昔も変わらないようです。栗駒岳の麓にある山形県の堺田分水嶺の旅ノートには「今自分は人生の分かれ道で迷っているので、ここでゆっくり考えたい」とか「ここで別れても、海でまた一緒になると思うと、涙が溢れた」なんて言葉が綴られていました。一見すると小川が分かれているだけなのですが、そこが分水嶺と知ることでこのような想いがわいてくる。素敵だなと思います。

芭蕉も宿泊した堺田市の名所
重要文化財に指定されている「封人の家」

兵庫県丹波市には、海抜95メートルと日本一低い分水嶺があります。日本一高い分水嶺の乗鞍岳も素晴らしい所でしたが、丹波はまさに地味にスゴイ所でした。ミュージアムもあって分水嶺がもたらすさまざまな影響を知ることができます。地形だけではなく、動植物の生態、人の流れや文化まで影響を及ぼしているとは驚きでした! 方言なども分水嶺の向こうとこっちで違ってくるそうですよ。

華恵さんが感動したという丹波の絶景

私は山登りが好きで、山の雑誌でお仕事をすることもあるのですが実はこれまで分水嶺を知らなくて…。分水嶺という視点を持って山を登ると道中の楽しみ方が豊かになることを実感し、山ガールたちにも広まったらいいなと思います。分水嶺巡りは、人間が水の恵を受けて生きていることを丁寧に見つめ直す旅でした。

こぼれ話

丹波分水嶺のこぼれ話をお楽しみください。

絶景あり美味あり学びあり!
分水嶺の魅力を満喫できる

この美しい丹波霧と呼ばれる大量の霧が
最高品質の松茸、小豆、黒豆、栗などを育む

「氷上(ひかみ)回廊水分れミュージアムでは、分水嶺についてさまざまなことを学ぶことができました。夏休みの自由研究にもってこいだと思いますよ。私は水の流れが、地形だけでなく動植物の生態や人の交流、文化にまで影響を及ぼしていると知って驚きでしたし、とても面白かったです。また丹波では、雲海にも感激しました。まさに雲の海、これほど現象にぴったりの名称はない!と思ったほどです。高台から雲海を見ると、とても濃い霧が町を覆って人工物が何も見えない幻想的な光景。でも電車や車が走る音は聞こえるのです。それも不思議な感じで印象的でした。雲海は秋から冬にかけて見られますが、ベストシーズンは寒暖差のある秋だそうですよ」(矢部華恵さん)

●氷上回廊水分れフィールドミュージアム
住所:兵庫県丹波市氷上町石生1155
開館時間:10時〜17時
休館日:月曜(月曜が祝日の場合は翌日)

※2021年11月現在
新型コロナウイルスによる営業状況等、最新情報は事前にご確認ください

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