日立 世界ふしぎ発見!

毎週土曜日 よる9時〜

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2020年9月12日 よる9時から放送

第1568回

世界が注目!北陸が生んだ伝統美

ミステリーハンター

村雨 辰剛(むらさめ たつまさ)

1988年7月25日、スウェーデン生まれ。日本に興味を持ち日本語を勉強。来日して語学教師などを経た後、日本の伝統的な仕事を求め造園業の道へ。日本国籍を取得し現在は庭師とタレント業をこなす。趣味は筋トレ、盆栽。ミステリーハンターは今回で2回目。

次回「世界ふしぎ発見!」の舞台は北陸。そして今回番組でスポットを当てるのは、世界からも注目されている使い勝手と美しさを兼ね備えた伝統工芸品。富山、石川、福井、新潟を巡り伝統工芸品を生み出す職人を訪ねレポートするのは、自身も庭師として活躍している村雨辰剛さん。村雨さんが感じた用の美の神髄とは?

北陸のダイナミックで美しい自然
その環境から生まれた伝統工芸

今回は、とても楽しくそして勉強になる取材でした。さまざまな職人の方の技を間近で見せて頂き感動しましたし、お話を伺って共感したり、感銘を受けたり、勇気や元気を頂きました。僕自身、職人ですのでとても刺激を受けることの多い貴重な体験をさせて頂いたと思っています。北陸4県、富山、石川、福井、新潟を巡りましたが、福井と石川は初めてでした。どこの地も素晴らしく、そして素晴らしい伝統工芸がありました。

国の重要伝統的建造物群保存地区に
選定されている石川県金沢市の茶屋街

北前船により栄えた廻船問屋が建ち並ぶ
富山県岩瀬地区の森家

僕が特に心打たれたのは、訪れた所いずれも、そこに暮らす皆さんが地元を愛し、誇りに思っていることです。富山で取材をさせて頂いた所では、ほとんどのお宅に立山連峰の写真やポスターが飾ってありました。残念ながら取材をした時は、とても暑くモヤではっきりと立山連峰を望むことができなかったのですが、そのおかげで素晴らしい立山を何度も見ることができました(笑)。また日本伝統建築が残る岩瀬地区では、街並みの美しさにも感動しましたが、この街並みを守ろう、残そうと思った町のみなさんの気持ちにも感銘を受けました。

彫刻の町として知られる富山県井波
見事な龍の彫刻!

心に残る言葉もたくさんありました。なかでも特に身に染みたのは、越前打刃物(うちはもの)の職人、岡田さんの「私の仕事は職人に合わせた道具を作ること」という言葉。これは当たり前のようですが、実際には職人が道具に合わせていることが多いのです。かつての僕もそうでした。今は安価な道具がたくさんありますから、それを使って何とか仕事をこなせるようにしている人が多い。でも本来職人にとって道具は、自分が納得できる仕事をするためのもの。改めて道具の重要性を感じましたし、ケアを含めてもっと道具を大切にしようと思いました。実は取材の時に岡田さんの鋏を購入しました。軽くてとても手に馴染みます。まだ使っていませんが、切れ味を想像しただけでニンマリしてしまいます(笑)。

越前打刃物の名工・岡田政信さん

京都と福井県若狭を繋ぐ鯖街道
越前打刃物の技術は京から伝わった

また、時代のニーズが変化していく中で、どのようにして伝統文化や技術を受け継ぎ守っていくのかということについても、いろいろ勉強になりました。新たなアプローチで技術を活かしていくことも素敵だと思いましたし、1300年続く旅館、法師のご当主がおじいさんに言われたという「できるだけ変えないように」という言葉も印象的でした。

雨の多い金沢の気候から生まれた
金沢和傘

取材前、僕の北陸のイメージは、美味しい(笑)。日本酒とカニなどの日本海の幸ですね。そして雪がたくさん降る寒い地域。でも今回取材をして、夏もめっちゃ暑いことを実感しました(笑)。四季がはっきりしているのが北陸の魅力だと思いましたし、だからこそ今回取材したような美しい伝統工芸が生まれたのだと知ることができました。たくさんの魅力を味わうことができたので、それが番組をご覧の皆さんにもお伝えできれば嬉しいです。これまでちょっと遠いと思っていたエリアも、新幹線の開通で日帰り取材も可能なアクセスになったことを身をもって体験しましたので(笑)、また是非訪れたいと思っています!

石川県小松市にある北陸最古の旅館・法師
「温泉気持ちよかったです!」(村雨さん)

こぼれ話

北陸の旅、村雨辰剛さんのこぼれ話をお楽しみください。

職人を目指す学生たちに
元気と勇気をもらった職藝学院

僕が親方の元で庭師の修行をしている時、同世代や年下の職人とはほとんど会いませんでした。ですから職藝学院で学んでいる若い学生さんたちにお会いして、日本伝統の建築や造園の職人を目指す若者がこんなにいるんだ!と驚きました。そして同時に嬉しかったですね。
また職藝学院で学ぶ内容の素晴らしさにも驚きました。一般の個人企業には滅多に発注がこないような作業を、学院では実際に学生さんたちが体験できるのです!僕は徒弟制度によって技術を学び、それが職人として技と心を磨く一番の制度だと思っていましたが、職藝学院の素晴らしさがよくわかりました。職藝学院で学んだ学生さんの将来が楽しみですね。そしてこのような学校が全国各地に増えるといいなと思います。

大工と庭師の専門学校・職藝学院

美しく着心地も抜群!
越後上布・小地谷縮

夏織物の最高峰と呼ばれてきた
越後上布

新潟県の越後上布や小地谷縮は、北陸ならではの四季、環境によって生まれた伝統工芸だと思いました。職人さんたちの緻密で丁寧な作業にも感動しましたし、新潟の雪深い地方で夏の着物を作る伝統があるというのも興味深かったです。
そして越後上布と小地谷縮の着物も着させて頂きました。とても軽く、涼しくて着心地がよかったです。着物ですから襦袢を着ているのに、浴衣より涼しい印象でした。まさに用の美ですね!

越後上布の技術をベースに発展した
小千谷縮

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