日立 世界ふしぎ発見!

毎週土曜日 よる9時〜

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2019年8月24日 よる9時から放送

第1525回

万葉集
千年の時を超える日本人らしさの秘密

ミステリーハンター

大倉 未沙都(おおくら みさと)

1992年8月28日生まれ、大阪府出身。室町時代から続く能楽大倉流小鼓方宗家の長女として生まれる。2013年に「世界ふしぎ発見!」1300回記念スペシャルのミステリーハンターに応募総数7714名から選ばれる。趣味は神社仏閣巡りから絶叫系マシンまで幅広い。特技は小鼓、乗馬など。ミステリーハンターは今回が2回目。

7世紀から8世紀にかけて編纂された日本最古の歌集、「万葉集」。そこには日本の四季折々の風景や心情が歌われています。今回はミステリーハンター・大倉未沙都さんが、その知られざる秘密をレポート!

今回のテーマは万葉集!

万葉集というと学校で習って何となく覚えている歌はあっても、実際に4500首の中にどんな歌があるのかと聞かれると…。初めはよく分からないことが多かったです。そんな万葉集を取材する中で、今回一番ビックリしたのが、現代の私たちが日々「こんなこと思ったよ」とか「こんなものを見たよ!」いうのと全く変わらない内容の歌がたくさんあることでした。

令和の新元号発表で脚光を浴びた太宰府天満宮

ただ最近の私たちは、歌を詠んでその情景を残すより、すぐに写真を撮りますよね。スタッフの方が「和歌は昔のインスタグラムだよね」と言われたのを聞いて、「確かに!」と思いました。歌を詠むためにたくさんの言葉の中から最適な一語を選ぶのは、インスタグラムでインスタ映えする場所を探して、究極の1枚を上げるのと近い感覚なのかなと。そういう見方をしたら、万葉集がすごく面白くなってきました!

森に集まる謎の集団!?

日本語を見直したくなる?

最近、自分のボキャブラリーの少なさを感じていたのですが、万葉集を通して「そんな表現の仕方が!?」と、日本語の持つ美しさを再発見しました。いつも何気なく使っている言葉の語源となるものも多くあって、例えば黄昏は、日が落ちて薄暗くなる中で「誰ですかあなたは?」という歌がもとになっているそうです。もうなんて素敵な発想なのかと思いました。だから美しい言葉を使おうと張り切りましたが、いざ撮影に入るとなかなか上手くいかずに「はあ、難しい…」とため息ばかり出てしまって(笑)。

日本の古典を元に数々の傑作を世に送り出す
映画監督の新海誠さん

雅楽師・東儀秀樹さんが登場!

万葉集にある歌は、実際に歌われていた可能性があることを取材しました。そこで雅楽師の東儀秀樹さんに、有名な和歌を音楽として実際に歌って頂きました!本当に素晴らしかったです。雅楽のゆっくりとしたところが当時の時間のスピードに思えました。音や響きによって、文字ひとつひとつがかみしめられて、歌の世界がより膨らんでいくような楽しさを味わって頂けると思います!貴重な2分間ですので、ぜひケータイなどは置いて(笑)、見て聞いて欲しいです。

万葉集の楽しみ方や面白さを色々発見?

昔のことを知ろうとすると「何百年も前に建てられたお寺を見にいく」といったアプローチになりがちですが、そこを万葉集で紐解いていくと…、全く違う見え方になると思いました。奈良の吉野へ取材に行った時に、「あの小さな滝を見て詠んだ歌があるんだよ」と聞いて、そのまさに同じ場所で奈良時代の人が感じた思いを自分と比べたり、同じように心を動かされたりするなんて、すごいことだと思ったんです。海外の有名な遺跡などを見て美しいと感じたことはありますが、今回のような体験は初めてでした!

天武天皇が歌を残し関わりの深い吉野
1300年の歴史を持つ吉野和紙を取材

見どころは?

万葉集をきっかけに当時の様子を知ると、「夏バテ気味の時、鰻を食べたくなるのって、1300年前から同じなの!?」とか、いろいろな驚きがあると思います。今あるもののルーツが見えてきて、「あ、こういうところに日本人らしさが出るんだな」という発見にも繋がると思います。令和の時代を迎えて、日本人として、日本のアイデンティティを探れるきっかけを、ぜひ見つけて頂きたいと思います!

歌に詠まれた吉野川

こぼれ話

奈良・吉野と能楽

私の家は能楽の小鼓方をしているのですが、この取材でとても驚いたことがありました。奈良の吉野を訪ねた時、かつて皇位継承争いによる暗殺を恐れた天武天皇がこの地に身を隠した、という伝承がついこの間の事のように語られていたことです。能楽の「国栖」というお話にも、天武天皇が吉野で一軒の家に匿ってもらったり、船の下に隠れたりされる場面が描かれています。「その元となった場所にいるんだ!」と深く感じるものがありました。

天武天皇の時代から続く吉野和紙の職人・福西さんと

また能楽が出来たのは室町時代で、そこからさらに時代を遡った天武天皇の偉業を伝えるツールとして、能楽は使われたのではないかと思います。読み書きの出来る人が少ない当時、ミュージカル的な能楽であれば、分かりやすかったのかもしれないですね。大和吉野は能楽の題材になっている場所が多く、他にも「吉野天人」や「船弁慶」「二人静」などがあります。今回の経験から、ゆかりの地を巡ってから能楽を観ると、面白さや深みが増すのを感じて、これは私的にも嬉しい発見でした!

小鼓から見えた日本人らしさ

京都・木津川の遺跡で発見された、万葉集の歌の一部が残っている木簡と、陶器の鼓の取材では、思わず鳥肌が立つほどの体験も!日本で作られた小鼓は、奈良の桜井市が発祥とされていて、今回鼓が出土された木津川と距離的にすごく近いんです。遠くアフリカが起源と思われる鼓が陸や海の色々なルートを通り、各地で様々に変化をしながら日本に伝来しました。現在の小鼓は桜の木や馬の皮を用い、胴には高価な漆蒔絵を施すなど、日本独特の進化をとげました。その日本での進化が始まる最初の現場に出会えた訳です!

東儀秀樹さんの小鼓

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