日立 世界ふしぎ発見!

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2019年6月29日 よる9時から放送

第1518回

新発見! ポンペイ最後の日の真実

ミステリーハンター

華恵 (はなえ)

1991年4月28日生まれ、アメリカ出身。6歳から日本で暮らす。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業。小学6年生の時に『小学生日記』を出版して以来エッセイストとして活躍。また現在はラジオパーソナリティ、翻訳など活動の場を広げている。主な著書は、『小学生日記』(プレヴィジョン)、『本を読むわたし My Book Report』(ちくま文庫)、『華恵、山に行く。』(山と渓谷社)、『わたしの もりを ぬけたら』作:レイチェル・ウッドワース、絵:サン・ミャオ、訳:華恵(フレーベル館)。
ミステリーハンターは今回初めて。

およそ2000年前のヴェスビオ山大噴火によって封じ込まれた街を今に残すイタリアのポンペイ遺跡。発掘が始まって300年近く経ちますが、今も調査は続いています。そして昨年、これまでの説を覆す大発見が相次ぎました。世界中の観光客で溢れるポンペイ遺跡の発掘調査現場をレポートした華恵さんにお話を伺いました。

古代ローマのタイムカプセル!
およそ2000年前の繁栄を
つぶさに感じることが出来るポンペイ遺跡

ヴェスビオ山の大噴火により
街がまるごと封じ込められた

ポンペイは、さまざまな感情や想像が沸き立つ遺跡でした。建物だけでなく、街そのものが残っているので、そこで生活している人たちの動線が描きやすく、古代ローマにタイムスリップしたような気がしました。特に早朝の撮影で人がいない時や、路地で自分一人になった時などは、当時の人たちの息遣いが感じられるような感覚になりました。2000年前の人びとの暮らしをつぶさに感じられる稀有で貴重な遺跡だと実感しました。そして遺跡や遺物が展示されている博物館を見ていくと、2000年前のローマの人びととその暮らしは、現在とそれほどかけ離れていないどころか、ほとんど変わらないのでは?と感じました。

ドローンカメラマンの
マティアさん、マルコさん兄弟

今回は、現地のドローンカメラマンにも撮影をして頂いたのですが、PCで映像を見せて頂いた時、絶景を見た時に絵葉書のようと感じるように、CGみたいと感じたのです。なぜかと考えてみたら、ゲームの背景でよく見るものと似ているからだと気付きました(笑)。現代の人から見ても憧れるような美しさやかっこよさがある街を築いた古代ローマの人びと。改めて凄いと感じました。

その一方で、贅を尽くした建物などを見て当時の暮らしぶりを知ると、栄華を誇りとどまることを知らない欲望や野心も感じられ、思わず眉をひそめたくなることもあったのですが…。現代を生きる私たちだってそうだろう、と突きつけられているようでもありました。

ヴェスビオ山にまつわる名曲を
ピアノで披露!

ヴェスビオ山の火口

海外メディア初取材!
発見が相次ぐ最新発掘現場へ

今回は特別に許可を頂き見せて頂いたものが多かったですが、なかでも見所は、2018年に掘り始められたばかりという発掘現場「REGIO V(第5地区)」です。そこは最も被害が大きい場所だったのであえて保存のため今まで掘られていなかったそうです。これまでの説を覆す発見があった場所も見せて頂きました。詳細は番組で楽しんで頂きたいと思いますが、それが壁に記された「走り書き」のようなものだったことが興味深かったですね。生活者のメモや落書きは、すごく真実味があると私は感じました。

宮殿のようなこの建造物は
ポンペイの繁栄を支えたもの

遺跡で案内をしている方とおしゃべりをしていてとても印象的だったことがあります。彼女は、大噴火で亡くなった方たちを「私の先祖」と言うのです。そういう捉え方もあるのかと心に刺さりました。先祖と思えばその人たちの喜びも悲しみもごく自然に想像したくなりますし、もっと知りたいと思う。昔の人は凄いと感心するだけではない、遺跡の味わい方を教えて頂きました。

そしてポンペイを古代ローマのタイムカプセルという面ではなく、歴史的大災害の跡として見る時、2011年以降に行く機会を頂けてよかったと思っています。東日本大震災から毎年のように日本では日常の風景が一瞬にして破壊される災害が起こっています。ポンペイで起きたことは、遠い昔の出来事、自分たちとは関係ないとは思えません。ポンペイは、今日本で暮らしている私たちだからこそ感じられるものがある遺跡ではないかと思います。

こぼれ話

イタリア・ポンペイの取材でのこぼれ話を担当ディレクターに教えてもらいました。

やっぱりイタリアは 2000年前も美味の国だった!

2000年前の料理を
再現してくださったシェフ

ポンペイの遺跡を巡ると、2000年前のローマの人びとがいかに豊かな暮らしをしていたか実感できます。そんなローマの人たちは、一体どんなものを食べていたのか?気になりますよね。残念ながら番組ではご紹介できなかったのですが、その再現にご協力してくださったのが、リストランテ・プレジデントです。プレジデントはポンペイのイタリア料理店で、料理の美味しさはもちろん、フレンドリーな店員のサービスも評判の、地元の人たちや観光客で賑わう人気レストランです。
そして2000年前の料理ですが、とても美味しかったです!2000年前の古代ローマ時代には、現在のイタリア料理の代表的食材とも言えるトマトとニンニクがありませんでした。ですがレモンやオレンジなどの柑橘類や魚醤(ぎょしょう)を使って、味わい深い美味しさを追求していたのです。柑橘類の爽やかな酸味と甘み、魚醤の複雑な塩味とコク、さすがですね。トマトとニンニクがない2000年前もやっぱりイタリアは美食の国でした。(担当ディレクター)

魚醤を使って調味し
オレンジとレモンのソースをかけた魚料理

●店名:Ristorante President(リストランテ プレジデント)
●住所:Piazza Schettini 12, 80045 Pompei, Naples, Italy

※この情報は2019年6月のものです

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