2019年12月22日放送
#2564「今年の映画を振り返る」
ゲスト :アナウンサー 宮内鎮雄さん
解説 :「報道特集」金平茂紀キャスター
キャスター:米澤かおり
【テーマ】
2019年もあっというに終わろうとしています。今回もアナウンサーで年間600本以上もの作品を鑑賞するという映画通・宮内鎮雄さんと、「報道特集」の金平茂紀キャスターとともに2019年下半期公開の映画を振り返ります。
▼宮内さんの下半期ベスト作品
(1)「存在のない子供たち」/(2)「国家が破産する日」/(3)「火口のふたり」/(4)「帰れない二人」/(5)「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」
▼金平キャスターの下半期ベスト作品
(1)「家族を想うとき」/(2)「存在のない子供たち」/(3「工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男」)/(4)「ジョーカー」/(5)「ひとよ」
▼宮内さんの2019年ベスト作品
(1)「存在のない子供たち」/(2)「ビリーブ 未来への大逆転」/(3)「国家が破産する日」/(4)「火口のふたり」/(5)「帰れない二人」
▼金平キャスターの2019年ベスト作品
(1)「家族を想うとき」/(2)「存在のない子供たち」/(3)「金子文子と朴烈(パクヨル)」/(4)「主戦場」/(5)「RBG 最強の85才」
【放送後記】
2019年下半期も様々な映画が公開されました。恒例となった宮内さん・金平さんのお二人による作品の振り返りです。12月上旬時点での年間興行収入ランキングでは「天気の子」を筆頭にアニメ作品が多く並びましたが、今年も例年通りお二人のランキングとは全く被らない結果となりました。紹介した作品の中で目立ったのが「貧困」や「格差」をテーマにしたもの。特にお二人ともが上位にあげた「存在のない子供たち」は、中東の貧民街で暮らす人々の厳しい暮らしとその過酷な現状を子供たちの視点から描いたものです。
両親が出生届を出していなかったために自分の年齢すらもわからない主人公。不法移民の母親が拘束され、行き場をなくした赤ん坊の面倒を見ながら、生き抜こうとします。驚きなのが、ほとんどの出演者が役柄と似た背景を負っているということ。悲しみや苦しみが表情からもにじみ出ていて、大人や社会に向けられた怒りの強さを感じました。
また主演のホアキン・フェニックスさんの演技が注目された「ジョーカー」もまた、越えられない社会格差を痛烈に風刺した作品です。賛否を含め世界的なムーブメントを巻き起こしたことからも、人々の関心と危機感に「貧困」や「格差」が根強くあるのだと感じました。すでに来期も注目の作品が出てきています。ゆっくりと鑑賞していきたいと思います。(米澤かおり)


2019年12月19日放送
#2563「日本が見据えるグローバルヘルス」
ゲスト :外務省 塚田玉樹さん
武田薬品工業 平手晴彦さん
キャスター:島津久美子
【テーマ】
日々進歩し続ける医療の世界。中でも日本は医療大国と呼ばれるほど医療が進んでいます。
「医療大国日本」は保健医療の分野で今後、どのような国際貢献をしていくべきなのでしょうか。
【放送後記】
世界では、医療費を払うことによって極度の貧困状態に陥っている人が1億人もいるといいます。その数字、現状に驚くと共に、私たちは具合が悪くなったら病院に行き、お医者さんに診断してもらい、薬をもらうということが当たり前のように出来ているのは、日本の保健医療サービスが充実しているからこそと改めて考えさせられました。私たちが、こうして安心した暮らしが送れるのも長年維持されている国の制度に加え、医療大国と呼ばれるほど医療が進んでいる日本で暮らしているからこそ。国連で採択された世界共通の目標であるSDGsのひとつに「すべての人に健康と福祉を」という目標もあります。保健面でも医療面でも日本がリーダーシップをとることができる目標であり、官民一体となってそれぞれの目標達成に向け活動が広がっている中、10年後の2030年にはどのような結果が出ているか楽しみです。そして、2020年はいよいよ東京オリンピックが開催され、日本への注目度が高まることは必至です。そんな年に「東京栄養サミット2020」も開かれ、栄養課題について議論が行われます。2020年はスポーツだけでなく、健康の面でも日本に注目が集まることが期待されますが、スポーツや食・文化とあらゆる面で健康長寿国をアピールできるチャンスの年に、海外の方がどんな印象を持たれるのか注目したいです。(島津久美子)
2019年12月10日放送
#2562「クルド人少女から“大きい人”へ」
解説 :フォトジャーナリスト 安田菜津紀さん
キャスター:金井憧れ
【テーマ】
10月上旬、シリア北東部をめぐり大きな動きがありました。トルコがシリア北東部を実効支配するクルド人勢力の撤退を求め、軍事作戦を展開。人道的な危機が高まるなか、シリア国境地帯からのクルド人勢力の撤退で、トルコとシリアのアサド政権の後ろ盾となっているロシアが合意。クルド人勢力はアメリカの支援を失ったことで撤退を余儀なくされました。故郷を追われたクルドの人たちはどういった状況に置かれ、何を思っているのか。現地を取材したフォトジャーナリストの安田菜津紀さんに話を聞きます。
【放送後記】
安田さんがカメラに捉えた映像や写真には、トルコによる砲撃で大きな被害を受けた国境地帯にあるシリアの小学校が映されていました。壁には穴が空き、窓ガラスが散乱した建物。剥がれ落ちた黒板やなぎ倒された机や椅子などで、かろうじてここが教室だったことがわかります。一方、廊下の壁にはカラフルなマーカーで描かれた色鮮やかな赤や黄色のお花や蝶などの絵。その落書きだけが、とても綺麗に残っていました。数日前まで確かにここにあふれていた子どもたちの笑顔が見え、笑い声も聞こえるような気がして、心が締め付けられるようでした。小学生や、生まれたばかりの赤ちゃんまでもが被害にあってしまっている現状。遠い国の話として人ごとにせず、国際社会全体の“大人”として何ができるか、それぞれが考える必要があると痛感しました。(金井憧れ)