2019年06月12日放送
#2556「失われゆく香港の自由」
ゲスト :民主派政党「香港衆志」周庭さん
解説 :「報道特集」日下部正樹キャスター
キャスター:河野千秋
【テーマ】
香港で6月9日、刑事事件の容疑者を中国本土に引き渡すことを可能にする「逃亡犯条例」の改正案に反対するデモが行われ、100万人以上が参加しました。さらに12日には若者らが議会周辺の道路を占拠し、警察が催涙弾を発射するなどして排除するなど衝突も起きました。イギリスからの返還後50年間は「一国二制度」のもと高度な自治が認められている香港で今、何が起きているのか。2014年の民主派デモ「雨傘運動」の主要メンバーである周庭さんとともに考えます。
【放送後記】
ひとりひとりの小さな声が、こんなにも大きなうねりとなり、政府を動かそうとしている。膨れあがっていく抗議活動の中継映像を見ながら、香港の人々の“覚悟”を肌で感じた時間でした。今回のゲストは民主化運動「雨傘運動」を主導した団体のメンバーで、現役大学生の周庭さん。彼女が語る香港の現状は、日本で生活する私にとって想像すらできなかったもので、大変驚きました。
収録した日は、まさに立法会で審議が行われる日(結果、審議は行われませんでしたが)。周庭さんは「日本をはじめ、国際社会に広く現状を知ってほしい」と来日していたのですが、中継映像を確認するなり「いますぐにでも帰りたい、(抗議活動に)加わりたい」と悔しそうにつぶやいていたのが印象的でした。周庭さんは、かつての「雨傘運動」は「“無いもの”を勝ち取る運動」。今回は「“失うこと”を止める運動」だとも語ってくれました。
状況はまだ流動的ですが、彼女たちの戦いは、これからも続くのだと感じました。日本でも人気の観光地である香港。認められているはずの「高度な自治」が、そして「自由」が、守られていくことを願ってやみません。
(河野千秋)