2019年01月17日放送
#2550「どうなる?イギリスのEU離脱」
ゲスト :東京外国語大学 若松邦弘教授
ゲスト :みずほ総合研究所 吉田健一郎 上席主任エコノミスト
キャスター:上野愛奈
【テーマ】
今年3月29日に迫った「イギリスのEU離脱」。しかし今月15日、イギリス議会で離脱協定案が歴史的大差で否決されました。「合意なき離脱」となるのか、今後の影響などを考えます。
【放送後記】
1989年ベルリンの壁が崩壊し、東欧は西欧入りを目指し、ドイツ、フランスは通貨統合へ突き進みました。これにより欧州では統一への機運が一気に高まりましたが、サッチャー首相率いるイギリスはドイツが先導する欧州の統合を警戒したといいます。今回のイギリスの欧州連合(EU)離脱を巡る混乱は、イギリスがこれまで欧州諸国と向き合ってきた歴史があるからに他なりません。みずほ総合研究所 吉田健一郎さんのお話では、イギリスの離脱に伴い、銀行や工場などは他国への移転をすでに検討しているといいます。離脱強硬派は、関税同盟に縛られない自由貿易を実現し、経済回復を求めていますが、市場規模世界2位のEUを捨てて、恩恵が確実ではない新たな協定を結ぶ方が本当に良いのか考えさせられます。トランプ政権の掲げる「米国第一主義」が、国際関係におけるアメリカのプレゼンスを揺るがすことになっていることをみれば、この時代にイギリスが欧州内で孤立し続けることができるのか疑念を抱かざるを得ません。
(上野愛奈)