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活動報告
国際貢献

2023年5月8日

24th DigiCon6 ASIA Awards 開催&結果報告

24th(2022年度)DigiCon6 ASIA Awards が開催

11/19 丸ビルホールにて
24th(2022年度)DigiCon6 ASIA Awards が開催されました。

<MC3人 喜入友浩 ・サヘル・ローズ・出水麻衣>

3年ぶりに海外からゲストを招いてのアワードセレモニーが行われました。
アジア16の地域から応募のあった1439本のなかからアジアの頂点であるグランプリ、ゴールド、シルバー他各賞の受賞結果を、授賞式の報告を兼ねてお伝えします。

今年のテーマ

テーマは「おかえり」「ただいま」丸ビルホールにはキービジュアルのイメージをふくらませたセット(デザインセンター若尾陸利・王怡文)が組まれた。

<セットに組み込まれたDigiConのシンボルマークDizzy>

ちなみに授賞者全員に手渡されるトロフィーと表彰状は今年だけのオリジナルデザイン

<左:トロフィー 右:表彰状とデザイナーの若尾陸利(デザインセンター)>

この日のためのスペシャルユニット4人のミュージシャンが授賞式を盛り上げてくれました。

<左から翔馬、天野恵、大嵜慶子、Juny-a>

今日の主役

アジア15の地域(中国は参加できず)のクリエイターたちがステージで、華やかなライブ演奏と客席からのあたたかい拍手に迎えられました。

審査員

アジアの映画、アニメーション界を牽引する、多彩でパワフルな審査員の皆さまを紹介。

DigiCon6 ASIAを統括する井田チェアによる開会宣言

<井田重利チェアパーソン>

「皆さんの作品には、夢と希望、情熱があふれています。
世界には多くの対立がありますが、文化の力が世界に平和をもたらすと信じています」

去年のグランプリ受賞者「骨嚙み」矢野ほなみさんが作ったOPアニメーション

各賞の発表

Rising Star賞(2作品)

台湾アニメーション協会の初代会長ダン・ユーリン財団によって設立された、アジアの若い、有望な人材を讃える賞

モンゴル<I am a Leader> Nomin Delger

プレゼンター犬童一心のコメント
「コロナ禍の孤独をユーモラスに扱ったユニークな作品。独特な間があり、コメディを作るセンスがある監督だと感心した」

<モンゴルNomin Delgerと犬童氏>

ラオス<Sound Wave> Silliyoupha KEOSAVANG

プレゼンター犬童一心のコメント
「シンプルなアニメーションだが、構成がきちんとしていてテーマが明確で、魅力的な作品に仕上がっている」

<ラオスSilliyoupha KEOSAVANGと犬童氏>

丸の内賞

多様性にあふれ、新しい価値を見出せる作品に授与
協賛企業である三菱地所が設定した賞

日本<音楽劇:救世主うたのお姉さん>大柴 拓

プレゼンター 服部創一(三菱地所コンテンツビジネス創造部)のコメント
「ご本人ミュージシャンである大柴さんにしか描けない、コロナ禍で生きるアーティストの思いを切実に斬新に、音楽とアニメーションで表現、唯一無二な印象を受けました」

<受賞者 大柴 拓 さん>

That’s Entertainment!賞(2作品)

<Everywhere>N G Kai Chun & Step C

プレゼンター松本紀子のコメント
「かわいらしいキャラクター、見やすいアニメーションに織り込まれた悲しみと喪失、巧みな演出、実は骨太なドラマに身体ごと持っていかれました」

<飛行機雲と流れ星の下>中山 莉佳

プレゼンター松本紀子のコメント
「アニメーションの制作は時間がかかる。この作品はロケーションでコマドリに挑戦している。膨大な時間と覚悟がないと手が出ない。主人公は作者の分身、愛しい作品でした」

<松本氏とN G Kai Chun & Step C、後ろの映像はアメリカ留学中の中山莉佳さん>

Next Generation

<ときめく良太>木原 正天

プレゼンター塩田省三のコメント
「とにかく好きな作品。18歳の頃の野性的な衝動、解放された時のカタルシスを4分13秒で余すところなく伝わってくる。フレーミング、音楽も含めたカッティング、全てが物語に不可欠で完璧なチョイス。とんでもない才能に出会った」

<木原正天さん>
<塩田氏と木原さん>

過去のグランプリ作品の振り返り

今回で24回を迎えたDigiCon6 ASIA これまでのグランプリ作品を振り返り

ASIA Silverの発表

Silver/Innovative Art

韓国<Persona> MOON Sujin

プレゼンター樋口真嗣のコメント
「私たちは悪意なしで生きることはできない。悪意を隠しながら、上辺だけの可愛さを競い合い、上辺だけの友情を築き上げる。本当の姿を隠蔽するため身に纏う仮の姿の歪んだ可愛さはもはやグロテスクだ。現代を生きる上での歪みを最大限に誇張して描けるのはアニメーションの性能、表現力の証左であり、その想像力、技術力の高さに驚嘆しました」

<樋口氏>

MOON Sujinさんのコメント
「日本のイラストレーションから発想を受けた作品なので日本で受賞できたことが嬉しい。アジアの皆さんの作品を見て次回作への新たなアイデア、発想を得ることができた」

<樋口氏・MOON Sujinさん>

Silver/Best Storytelling

韓国<The Art in the desert> Kim Areum

プレゼンター伊藤有壱のコメント
「穏やかでチャーミング、深く、悲しい。人間の闇を描いた作品が多いなか、まるでオアシスのような作品。フレームの中でそれぞれの時間と動きが変化して、何重にも重なるイメージで物語のディテールが描かれていく様は美しいタペストリーのよう。テーマは人の命の巡りと終わりであり、<小舟>の役割は観客の胸に刻まれることでしょう」

Kim Areumさんのコメント
「8か月かけて作った作品、こどもが寝ている時間だけ作業していた。激励のことばをいただいて、これからも作り続けていきたいという意欲が湧いた」

<伊藤氏>
<Kim Areumさん>

Silver/Asian Perspective(アジアからの視点)

インドネシア<Ride to Nowhere> Khozy Rizal

プレゼンター本広克行のコメント
「15分間のなかにインドネシアの日常生活や女性の地位、様々な社会問題が盛り込まれていた。主人公の女性がリアル、彼女の人生を描いた長編を観たい。深い余韻のある、映画らしい映画でした」

<本広氏>
<Khozy Rizalさん>

Gold授賞作品表彰

アジアゴールド

香港<My Dear Sun> Wing Yan Lillian Fu

プレゼンター エドモンド・ヨーのコメント
「つらい状況下で創り続けた皆さんを讃えます。審査に関わり、アート、物語のパワーを改めて感じた。<My Dear Sun>は母性、子育てという普遍的なテーマを描いた作品。母と子が互いに学び、傷つけ、やがてありのままでいいということに気づく。コラージュという手法が実に効果的でユニーク。自分の体験を元にストーリーを紡ぎ、5年かけてこの作品を完成させたいう作者に心から敬意を表します」

<エドモンド・ヨー氏>

Wing Yan Lillian Fuさんのコメント
「非常に光栄です。5年以上、息子と家にこもっていました。今この場にいることが夢のよう。自分の作品を大きなスクリーンでみんなで観て、気持ちを伝えることができて、アジアのクリエイターたちに出会えたことに感謝します。この作品を、子育てをしながら働いているひと、みんなに捧げたい」

<エドモンド・ヨー氏・Wing Yan Lillian Fuさん>
<Wing Yan Lillian Fuさん>

グランプリ

日本<Magnified city>

プレゼンター杉野希妃のコメント
「すばぬけた筆力と余白のある映画らしい作品。一コマ一コマどこを切り取ってもアート、唯一無二な独特な世界観。永遠に見続けていたい美しい物語でした」

<杉野氏>

金子勲矩さんのコメント
「4年前初めての作品がネクストジェネレーションを受賞、2年前<TheBaloonCatcher>がJapanGold、3作目でここまでたどり着くことができました。支えてくれた皆さんに感謝を捧げます」

<杉野氏・金子さん>
<金子勲矩さん>

エンディング

エンディングは、ミュージシャンたちによる陽気でダンサブルな生演奏、ミラーボールが回りダンスホールのような照明、客席では事前に配られたサイリウムスティック(折るとキラキラ輝く)で参加型の演出、最期はクリエイターも審査員もみんなステージに上がり盛り上がり、MC3人たちの「See you Next Year!」で終了。

<出水、喜入、サヘル・ローズ>
<エンディング>

終わって思うこと
9月に通常開催を決定してからもコロナは収まらず、航空運賃は跳ね上がり、VISA取得など招聘作業は困難を極めた。中国の参加は叶わなかったが、自費参加も含めて70名ほどの海外ゲストが無事に入国できて、天気に恵まれ、みんな笑顔で帰国できたことに安堵している。作品の傾向は時代を映し出すが、今年は実写もアニメーションも、直接あるいはメタファーとしてコロナをテーマに描いた作品が多かった。3年経ってようやく渦中から離れ客観的に題材にできるくらい心の整理がついたということかもしれない。同時に、ひととのつながりや家族をテーマにした作品が多かった去年と比べて、今年は生きづらさや虚無を感じる作品の印象が強かった。

不安定な状況での開催を支持、サポートしてくれた皆さま、質の高いコンペティション、映画祭を成功に導いてくれたクリエイター、審査員の皆さまに心から感謝します。
ありがとうございました。

DigiCon6 ASIA フェスティバルディレクター
山田亜樹

すべての写真撮影
井上修二(プロモーションセンター/竜カンパニー)

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