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活動報告
国際貢献

2020年12月22日

22nd DigiCon6 ASIA AWARDは16地域を結んでのオンライン開催
最高賞は香港の実力者によるサイバーパンク傑作アニメに
〜DigiCon6ASIA結果報告③ ASIA Grand-Prize&ASIA Gold〜

本年度のDigiCon6ASIAの最後を飾り、いよいよアジアの頂点が決定されるASIA AWARDが11月28日(土)“デジコンの聖地“丸ビル・ホールにて開催されました。デジコン史上初の無観客ではありますが、日本含む16地域を結んでのオンライン開催は壮観の一言。アジアの若者らの祭典の模様は是非、特設サイトからご覧ください(日本語版と英語版もあります)。


まず、歴史に残る授賞式で、
アジアの頂点ASIA Grand-Prizeに輝いたのは香港の

『Dragon’s Delusion〜序Preface〜』Kongkee

過去2作(2017、2018年)もそれぞれ香港のGold、Silverに選ばれている “幻惑のドラゴン”シリーズ(注:筆者が勝手につけた邦題です)。3作目でついに念願のアジアの頂点に立ちました。デジコン常連の作家は何人かいますが、一連のシリーズがいずれもが高評価を得る、というケースは他に例がありません。長年審査員を務めている塩田周三氏((株)ポリゴンピクチュアズ代表取締役社長)曰く「常連の作家の成長に喜びを感じるのはデジコンの良いところでもあり弱点でもある」が「このクリエイターの実力を前に情がからむ余地はなかった。」
これを機に過去2作も見直したところ、 “序”と銘打たれた今作はたしかに前2作の前日譚のようであり完結編のようでもあり、もしかすると仕切り直しての新シリーズ開幕なのか!?と(文字通り)幻惑(Delusion)されるなかなかの複雑系。今や古典の「AKIRA」「ブレイドランナー」から比較的最近だと「エクスマキナ」あたりまで数多くのSF名作の美味しいところが飲茶の如く饗されるサイバーパンクにして、過去とも未来ともつかない時制を行き来する壮大な歴史サーガとなっていてなかなか全貌を掴ませてくれません。
脚本・監督のコン・キーさんは香港では知られた漫画家(UKロックバンドBLURのコミック本も出しています!)で、日本のアニメとは一味違うサイケでオリエンタルな画風(ネットで見つけた映像で、作業場の本棚に丸尾末広の画集を発見!)もクセになります。



つづく第2席にあたるASIA Goldに輝いたのは韓国の

『MASCOT』 KIM Leeha

韓国映画といえば「パラサイト 半地下の家族」(もはや説明無用)から「はちどり」「82年生まれキム・ジヨン」など昨今話題になった諸作は共通して韓国社会の「生きずらさ」に正面から向き合った印象が強いのですが、この『MASCOT』もその系譜に連なる一作。人気者を目指すゆるふわなキャラクターが過酷な競争社会の中でいじらしい努力を続ける姿は比喩というよりむしろ現実そのもの。官僚を目指すエリートにもアイドルを目指す若者にも当てはまるに違いありません。審査員の安藤紘平氏(映画監督、早稲田大学名誉教授)の「マスコットという言葉そのものに“隷属”の含意がある」という指摘は痛切です。重たいテーマには違いないが、乾いたユーモアと深い哀愁、淡く滲んだようなアニメーションの美しさが相まって一流のエンターテインメントに仕上がっています。演出力の確かさは先に挙げた諸作に肩を並べんばかり。見終わると、暗闇の中に一筋の光を得たような気持ちになる一作です。

*権利の関係で全編お見せできないのは残念ですが、短い予告編からでも雰囲気はつかんでいただけると思います。



さ、いよいよ次回は<最終回> DigiCon6ASIA結果報告④は、
Gold以上にカッティングエッジな作品が揃うという噂の各国Silver。その中から選ばれたASIA各賞をご紹介します。例年以上にヴァラエティに富んだラインナップになっています。

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