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活動報告
国際貢献

2019年12月25日

開催地香港3冠!!! 初出場ウズベキスタン2冠!!
21回目にして初めて海外で開催された
DigiCon6ASIA AWARDSを振り返る

史上初!東京を離れた今年のDigiCon6ASIA AWARDSが11月30日、香港・大館(写真↓)で開催され、14の国と地域(日本、カンボジア、中国・台湾、香港、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、シンガポール、スリランカ、タイ、ウズベキスタン、ベトナム)のRegional AwardでGOLD、SLVERに選ばれたクリエーターたちが集結。その中から別途現地で開かれた審査会で決定したばかりのGrand Prize(最高賞)・ASIA GOLD(第2席)はじめ各賞の発表と表彰が行われました。

日本でもさかんに報道された区議会議員選挙の直後だったことも幸いしてか心配されたデモや集会の影響を受けることもなく4日間にわたる全プログラムは平穏のうちに幕を閉じました。

DigiCon6ASIA AWARDSが開かれた大館は、英国統治時代 の裁判所・刑務所をリノベーションした香港の最新文化 スポット

AWARD全体を見渡すと、

*香港が最高賞ASIA Grand Prizeはじめ3部門受賞

*ウズベキスタンが第2席にあたるASIA Goldはじめ2部門受賞

と、開催地(香港)と初参加国(ウズベキスタン)の大躍進が目立つ結果となりましたが、これはもちろん忖度なしの厳選な審査の結果です。

ここではアジア各国から集まった応募総数1400作品の中から厳選された個性豊かな傑作をご覧いただきたいと思います。(途中たまに?筆者の主観が混じることお許しください。)

以下ネタバレなしです念のため。

まずは、
最高賞ASIA Grand Prizeに輝いた香港の
『Another World』 Point Five Creations
日本アニメに特徴的な2Dの手法を中国的な題材に見事に昇華したファンタジーです。
見る前の印象では、中国の歴史や故事を知らないととっつきにくい?という先入観を持つ人もいるようですが心配無用です。ヒロインの例えようもないくらい深い悲しみにうちのめされ、絶望の淵から再生するプロセスに心揺さぶられます。壮大で深遠なテーマを描き切った表現力に高い評価が集まりました。
ちなみにヒロインの弟の名前が「健次」なのですが、中国にもある名前だそうです。

続いては、開催会場が提供するTai Kwun Prize(大館賞)に輝いた同じく香港の作品
『“The So Sad Show” – from Six Paths of Samsara』Vincent Yip
こちらも絶望…というよりは文字通り“地獄の底”からの再生がテーマ。
悪意に満ちた(?)笑いのセンスが秀逸なブラック・コメディなんです。
フルCG作品ですが“あえて”の80年代タッチです。

もう一本、香港作品を。
Silver-Best Techinique(最優秀技術賞)に輝いた
『LIONVERSE』Mok Chun Hei Hayden
写真家Fan Hoの作品を参照しつつ郷愁あふれる映像で香港の生活・歴史・風俗を再現。香港人のアイデンティーを高らかに歌い上げています。

一方、
北京からやってきた中国の作品もエモさでは負けません。
Silver-Asian Perspective(アジアの視点)に輝いた
『Me and my magnet and my dead friend』Liu Maoning
大きな時代のうねりの中で家族史〜自分史が郷愁いっぱいに描かれます。一人っ子政策の裏側が垣間見られるなど中国現代史の貴重な証言としても一見の価値ありです。

TBSともかかわりの深い中国伝媒大学の卒業制作作品である、という点も付け加えておきます。

そして今回、旋風 を巻き起こしたのが、
初参加国 ウズベキスタンの2作品。

まずはASIA Gold(事実上の第2席)に輝いた
『TEA』 Shokir Holikov
おじいさんの部屋の中とその窓から見える範囲の中だけで展開されるドラマですが、美術が素晴らしく、多くの日本人にはまだまだなじみの薄いウズベキスタンの歴史や風土に触れることができます。

もう一作、
ウズベキスタンからASIA NEXT GENERATION(新人賞)に選ばれたのは、
『GIFT』Uzbekistan state Institute of arts and Culture
弱冠21歳の女性監督が、いかにも武骨な中年オヤジの心情を繊細に描いていることに驚きの声があがりました。地方と都会の生活ぶりの違いも窺えます。

表彰セレモニーでは、当日が誕生日だったTEAの監督シャキールさんへ会場から沸き起こったハッピーバースデイ合唱やGIFTの監督マヒーリョさんの可憐な涙など、ウズベキスタン旋風が巻き起こりました。

ハッピー・バースデイ♪この日が27歳の誕生日だった ASIA Gold「TEA」のシャキール・ホリコフ監督(左)。 右はウズベキスタンのオーガナイザー:マリア・ムスコ ヴァさん
ASIAN NEXT GENERATION受賞「GIFT」のマヒ ーリョ・アスカラリイェヴァ監督(右)とプレゼンタ ーの大山寛恭ジェネラル・プロデューサー(左)

さて(ここで筆者の個人的な“推し”も若干入ってますが…)
昨今毎年のように水準の高い作品をデジコンに送りこんでいるインドネシアからThat’s Entertainment!(娯楽賞)を受賞した
『TERRORVISION3000』Percolate Galactic
クリエイター本人はデヴィッド・クローネンバーグの影響に言及してましたが、いやいやどうして他にも名作SF映画へのオマージュがちらほら…映画ファンにはこたえられない作品です。毒あるユーモアに上映中客席から笑いがたえませんでした。


インドネシアからの応募作は全般的に、欧米文化を完全に消化した上で、彼の地ならではのテーマに果敢に挑んでいる印象があります。

この作品だけでなく香港のSo Sad Showにも言えるのですが、挿入歌やエンド曲の哀愁のメロディに反してのなんとも人を食った歌詞…
今大会の顕著な特徴としてオリジナル楽曲のレベルの高さがあげられます。

そんな中、劇伴音楽の使い方に卓越したセンスを感じたのがこちら。
三菱地所提供のMarunouchi (丸の内賞)を受賞したシンガポールの
『Balance』Raymond Limantara Sutisna
往年のハリウッド映画を思い起こさせるサウンドトラックと見事にシンクロした色彩溢れる映像が楽しい作品です。

*トレイラーのみ

2019〜20年の年末年始、東京・丸の内に設置されているおよそ100のモニターMarunouchi Visionで全編を見ることができます(2020年1月16日まで)。丸の内にお越しの際はぜひ探してみてください。

さて最後に、気になるわれらが日本からは、
『鬼とやなりHouse Rattetr』 副島しのぶ
silver-Innovative Art(革新的芸術賞)
副島さんはもともとファイン・アートを出発点とするクリエイター。造形の見事さには以前から定評があったのですが、近年ストップモーション・アニメに軸足を移し、デジコン挑戦2作目にしてぐっとストーリー性を高めた作品を出品してきました。東京芸大から現在、英国王立芸術院に留学中という俊英にして鬼才。今後も目が離せません。


20代ならではの古い日本家屋に寄せる思いも伝わります。

いかがだったでしょうか?
もっと詳しい情報はDigiCon6ASIAホームページで
お気に入りの作品を是非見つけてください。

DigiCon6ASIA事務局
東 信弘

SEE YOU IN TOKYO 2020!

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