あなたには帰る家がある

インタビュー

茄子田綾子役 木村多江さん

ストーリーについて

それぞれの登場人物が心の中で思っていることを表に出している作品なので、皆さまにも「本当はこうやって思っているのか」と感じていただける部分があるのではないでしょうか。ハラハラドキドキするお話ではありますが、コメディ要素もある作品です。
登場人物それぞれの人間らしい滑稽さが愛おしくなるようなストーリーだと思います。

最初に台本を読んだ感想

最初に読んだときは、”旦那さんが奥さんには言えない秘密を持つ”という所を大きく捉えていたのですが、読んでいくうちに、クスクス笑い「あるある!」と自分の中でツッコミながら読んでいたので、きっとご覧になる方にも、そう思っていただけるんじゃないかなと思っています。

妻の本音

「あるある!」と思いました(笑)。私自身は、言いたくても、一度飲み込んで「今言わない方がいいかな」とかいろいろ考えるので、100パーセントを全部口には出しません。おそらく皆さんそうなんじゃないでしょうか。

茄子田綾子について

綾子は抑圧されていて「私の幸せはここにしかない。それを信じよう」としている人。ものすごく孤独で、助け舟があれば、いつでもすがりたい状況のとき、たまたま秀明さんに出会って、縋ってしまった。これがもし、女友達や話を聞いてくれる人がいたらまた違ったのでは?と思います。「一人で生きて行く」という選択肢が自分の中にない女性なので「こんなことされて」と思うよりも「こんな風にしてもらっている」と思っている。一昔前の女性みたいですよね。綾子がそうなってしまった理由が今後描かれていくと思いますので、そちらもお楽しみにしていてください。

共演者について

ユースケ・サンタマリアさんは、夫婦役でご一緒させていただいたことが多く、俳優さんの中では共演が一番多い方かもしれませんね。
演じていらっしゃる茄子田太郎は、すごく綾子を愛してるんです。愛し方が少し歪んでいるだけで、すごく愛していて失いたくないと思っている。でも、彼の愛の形は、綾子が望んでいるものではないんです。不器用で愛おしい人だなと思います。
綾子は誰かに救って欲しいと思っているけど、太郎のことも大事だと思っている。
その間でどう揺れていくのか、私自身も楽しみです。

秀明について

真弓さんの気持ちもよく分かるけれど、秀明さんの気持ちもよく分かりますよね。真弓さんの友達の愛川由紀さんが言っているように、男性は「”家”に欲しいものがない場合、外にそれを求めにいく」んでしょうね。居心地が良い家であれば、そこに癒しがあれば、外には行かなかったのでは…と思います。秀明さんも飲み込んで我慢していることが多かったので、本音を真弓さんに言えていれば綾子に行かなかったのにな。綾子も秀明さんに抱きつかれなければ、ついて行かなかったのに!と思っています(笑)。
けれど、たまたま波長が合うとか、たまたまシンパシーを感じてしまうような状況があるのでしょうね。
秀明さんもまた人間らしくて愛おしい人です。番組をご覧になった男性の皆さんも「あるある!」と思いながら観てくださるのではないでしょうか。

真弓について

真弓さんも愛おしい女性です。でも不器用。私がいたら、もっと彼女にアドバイスしていると思います。「その言葉を一度飲み込んで、言い方を変えて、変換して言おう」と。思ったことをすぐに口に出してしまうと、夫婦は家族だけど血は繋がっていないので、”親しき中にも礼儀あり”じゃないと、いけないなと思います。「どうしてこうなの!?」と言われると、嫌になっちゃいますよね。私もそうやって言われたら嫌だなと思うので、「嫌だな」と思われることはしない方が良いですよね。
器用にやればばうまく転がせるのになあ(笑)と思います。
真弓さんは、とても正直で傷つき方もすごく切なくて…また愛おしい人です。

夫婦の在り方

綾子の立場からすると、孤独を抱えてしまったとき、共有出来る人がいないと辛いなと思います。夫婦で心の隙間を共有できたら上手くいったと思います。
一回、違う場所に立ってみると、「本当はこうだったんだ」と分かることもあります。例えば真弓さんが働いたら、秀明が働くことの大変さが分かると思うし、秀明さんは家事をやってみたら、家事の大変さが分かるでしょうし。

夫婦あるある

ドラマの佐藤ご夫婦は几帳面と雑の性格の組合せですけど、うちは賞味期限切れてても、切れても美味しいものがあるという発想なので、そこに誰も反応はしないのですが、「〜っぱなし」はあるかな…。電気付けっぱなしとか、脱ぎっぱなしとか、引き出し開けっぱなしとか。そうしたら「はっ!」って言いながら閉めます(笑)。
最初の頃は、苦言を言っていましたよ。例えば洗濯物を裏返しに脱いだときも、指摘をしましたけど「どうして裏返しで脱ぐの!?」とは言わなかった。「裏返しで脱ぐとね、私が表に返すんだよ。それって私を想いやってくれてないんだなって悲しいんだよ」と言います。そうするとちゃんとやってくれるようになるんですよ。

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