過去の放送
- 2012年5月6日放送
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- BS-TBS:5月10日よる11:00〜
- TBSニュースバード:5月12日よる9:00〜
ナレーター:中井貴一
痛くない注射針をつくれ!カギを握るのは“蚊”のメカシステム
〜工学博士が生物本来の能力を徹底解析 奇跡の技術を目指す〜
- ドリームメーカー:
- 関西大学システム理工学部 教授/
青柳誠司 さん
『蚊に血を吸われている時、なぜヒトは痛みを感じないのだろう?』
この素朴な疑問に真正面から挑み、“痛みを極限まで減らす注射針”の開発に力を注ぐ男がいる。医療従事者ではない。関西大学システム理工学部教授、青柳誠司・49歳だ。大学時代からロボット研究を続け、究極のロボット開発に没頭してきたが、研究すればするほど、人間本来の動きや知能に追いつけない現実を突きつけられた。そこで青柳は、生物が本来持つ能力を解析し、そのエッセンスを技術に応用することに情熱を傾けるようになる。コウモリの超音波、タコの吸盤・・・。そして、目をつけたのが“蚊”だった。
なぜ、痛みを感じさせずに吸血できるのか? 蚊を“究極のメカシステム”と位置付けた青柳は、蚊の動きを徹底解明して、“限りなく痛みのない針”を作ることを考えつく。まず、蚊取り線香のメーカーから実験用の蚊を提供してもらい、1秒間に1000枚撮影できる超高速カメラで、蚊が刺す瞬間を捉えることに挑戦。しかし、なかなか蚊が刺さない。刺してもその瞬間にピントを合わせられない・・。失敗の連続だった。そして数週間後、ついに蚊の吸血システム撮影に成功!なんと蚊の針は1本ではなく3本で、それを連動させて刺していた。そこに痛みを感じさせないカギを見つけ出した青柳は、昨年11月、微細加工ができる機械で作った0.1mm以下の針3本を、蚊と同じように連携させて動かすことを実現した。
『痛みの少ない注射針は、多くの人が必要としているはず・・・』 そして今、青柳が挑戦するのは、注射針と同様に液体を吸入できるよう、0.1mmの針に“穴を貫通させること”。一体、どうやって・・?未知の領域ゆえ実験は困難を極める。しかし青柳はあきらめない。「新たな技術は閉ざされた世界に留まっていてはいけない。自分の技術を活かして、究極の注射針でそれを求める人の役に立ちたい」 果たして、“世界で一番痛みのない注射針”の実現に向けて道は拓かれるのか―。
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