高齢化などで深刻な人手不足が問題となっている日本の農業。
その救世主として、農作業の省力化を目指し「無人で動くトラクター」を開発してきたのは、北海道大学農学研究院の野口伸教授。
2010年から5年の期間で進められている農林水産省の委託プロジェクト研究として、折り返しとなった2012年。野口教授は新たな取り組みとして、無人トラクターと並走する有人のトラクターから監視や操作をしながら共同作業を2台で進め、安全性を確保しながら作業の能率を向上させるシステムを発表。コストも抑えられることから完全に無人で行う農作業の前段階として、実用化も近いといいます。
より精度の高い作業を可能にする日本独自の測位衛星「みちびき」を利用した実験として、実用化を視野に入れた夜間の作業にも挑戦。5時間かけ広さ3ヘクタールの農地を耕すなどの試験を成功させています。
またトラクターだけでなく収穫を行うコンバインのロボット化も進められ稲・麦・大豆などを無人で刈り取ることができるようになり、今後は北海道の広大な農地を使った年間を通した耕運から収穫までの一通りの農作業に取り組む実証実験に入る段階で、実用化に向けた研究の進展が期待されています。
取材:津賀 英司