ショーケンこと萩原健一が、約1年の活動休止を経て挑んだ俳優復帰第1作。当時ベスト64キロの体重を、60キロまで減量して再起に賭けた萩原健一の熱気が画面に溢れる。萩原健一が演じたのは、将来を嘱望される秀才でありながら殺人を犯した死刑囚・楠本他家雄。彼はなぜ事件を起こしたのか。そしてどのような思いで処刑のときを待つのか。全編の半分以上が壁厚き独房の中という異色作。1984年作品。

【ストーリー】
死刑を宣告され処刑の時を待つ殺人犯たちは、静まりかえった独房の中で、刑務官の足音が近づく度に「今こそ、自分の番か」と恐れおののく。冷静な顔をした楠本他家雄（萩原健一）もそうした死刑囚の一人だった。他家雄は、秀才と呼ばれ将来を嘱望されていたが、自分が結核にかかり、大学卒業後の就職、また愛する女性を失う恐怖から、酒に溺れるようになった。やがて大金を手にしたいという一心から、土地建物を担保に融資するという商談で釣り出した男を殺害し、持ってきた現金を奪い取り逃亡した。他家雄はその後すぐ逮捕され、裁判の結果は死刑だった。そして最後の日は刻々と近づきつつあった…。

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