INTERVIEW[インタビュー]

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三浦友和さん(清瀬直弘役)

(写真) ―― 演じられている「清瀬直弘」、その家族について、どうお考えですか?
清瀬直弘という人は、典型的な仕事人間で、家庭をかえりみなかったために、このような結果になってしまいましたが、これは「家族」がある限り永遠に続くテーマではないでしょうか。このストーリーも、下町情緒とは別次元の、日本の両親、子供という家族の問題があって、清瀬家は象徴的な一家だと思います。
お父さんが頑張って働いているのも、家族のためです。極端な話、家族のために一生懸命働く父親が忙しいのは、仕方がないと思うんです。ただ、このドラマの中での父親の反省点としては、何か、たった一言が足りなかったんですね。
誰でも必死で、まわりが見えなくなっているときがあります。言葉が足りなかったことの積み重ねで、理解してもらえず、息子にも妻にもいきなり出ていかれてしまうというのは、父親からすれば相当きついものがあります。もっと早くに言って欲しかっただろうし、家族もサインを出していたかも知れないけれど、お互いに言葉が足りなかったんでしょう。家族というのは、具体的に言葉をかけあうことが大切なんだと改めて思いますね。

直弘は現代の父親の典型で、子供のことを放っておけないんです。「道筋をつけてあげるから、大学へ行って就職しろ」と、まじめな顔で言ってしまう父親でしょうね。ぼくら世代の父親は、自分のことを棚に上げてしまいがちです。自分が若いころ何をやってきて、どんな青春を送って今に至っているのか、すっかり忘れてしまっているんです。自分の若いころはそれでよかったし、たまたま上手くいったけど「今は時代が違う」と切り捨ててしまうのは、よくないと思いますね。どんな仕事をしたって、大変なことには変わりないし、ぼくもこの仕事をしてきて思うのは、良い時も悪い時もあると分かった上で、本当にやりたいならやってみればいいと思いますよ。

(写真) ―― 原作をお読みになっていかがでしたか?
東野さんの小説は元から好きですので、発売されてすぐ読みましたが、まさか自分がこの役を演じるとは思いませんでした。
ぼくは、本を読むときに映像化するかどうかは関係なく「自分だったら、どの役をやるかな?」ということをよく考えますが、この「新参者」には、具体的にイメージがなかったんです。ぼくは刑事役が多くなってきていますから、実年齢を考えても、上杉刑事を演じてもおかしくないかな?と思いますよ。でも、泉谷さんの上杉刑事のインパクトが強すぎて、やっぱりぼくじゃないですね(笑)。

―― 撮影中の雰囲気や、共演者の皆さんについて教えてください。
泉谷さんは、「台本を覚えてきていない」とよくおっしゃいますが、本当はそんなことはないんです。とてもシャイな方ですから、そんなことを言っていますが、実際は柔軟な芝居を返してくれて、とてもやりやすい方ですよ。
でも撮影中、先の話をしていたときに「この先の展開は本当に知らないんだ」ということが分かりました(笑)。原作を読まずにご覧になっている方も、泉谷さんと同じように見てくれているのか、興味ありますね。

阿部寛さんは、まさにはまり役ですね。これまで、加賀恭一郎シリーズは読んできましたが、もう阿部さんの演じる加賀恭一郎のイメージでしか浮かばなくなりました。彼をおいて、この役はないでしょう!
原田美枝子さんとは、久しぶりの共演でしたが、とても素敵に年を重ねられた女優さんですね。母親世代をきちんと演じてくださって、不幸な結末を迎えた夫婦ですが、ご一緒できて嬉しかったです。
息子の弘毅役・向井くんとは、先日やっと芝居で絡めました。「あんな感じの息子がいてもいいのかな」と、素直に役に入れましたね。

―― この先のみどころを教えてください。
犯人を追う、という核がありますが、登場人物それぞれが容疑者であり、さまざまなものを抱えています。人間の関わり方、傷つき方が見えてきて、大きな流れになって真相に近づいていきますから、見逃さないでくださいね。

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