banner_AD
コンテンツへジャンプ

ここからコンテンツです

2009年1月24日(土)よる7時スタート(初回2時間スペシャル)

インタビュー

Vol.11 石橋凌 (芹沢忍 役)

『RESCUE〜特別高度救助隊』をご覧になった感想を教えてください。

今、世の中で一番必要とされているものを、見事に描いたドラマだと思います。
この企画をいただいたとき、加藤章一プロデューサーと話をしたのですが、今、人々が一番求めているものは 『切実さ』 だろうと。
このドラマは毎回、人の 『切実さ』 を再認識させられたり、人と人との絆の温かさに気付かされたりするシーンがありますが、そういうテーマは一歩間違うと押し付けがましくなってしまう。でもそこに若者の青春群像や、組織に所属する者の苦悩、人命救助という仕事をうまく絡めて表現しているところが、このドラマの魅力でしょう。
あと個人的に好きなのが、目標に向かってがむしゃらに突進していく若者特有の熱い魂。
ストーリーにも画面にも、彼らの熱い想いがストレートに表れていて、素直に 『良いドラマだなぁ』 と思っています。

演じている芹沢忍の人物像について教えてください。

名前のとおり 『耐え忍ぶ』 人間ですね (笑)。
芹沢の人物像についても、加藤プロデューサーとじっくり話し合いましたが、加藤さんいわく 「芹沢忍は、いわゆる中間管理職」 だと。
下からは突き上げられるわ、上からは嫌味を言われるわ、まさしく板ばさみのポジションです (笑)。
今まで私は、このドラマでいうところの本間雄彦 (矢島健一さん演じる司令本部長) のように、上からガーガーうるさく言う威圧的な役が多く、今回のようにすべて自分の中に抱えて耐える役は珍しいんです。
しかも芹沢は、人の生き死に関する決断を迫られる立場ですから。中間管理職としてもずいぶん責務が重いと思います。
また彼は人一倍責任感が強い。このドラマの登場人物のなかで一番ストレスが多いんじゃないでしょうか。いつも眉間にシワを寄せていますからね (笑)。
ただ、かつての SR の部下・徳永 (石黒賢さん演じる SR 隊長) と2人でいるときだけは、彼も笑顔を見せる。それぐらい徳永は、芹沢にとって気を許した仲間というか、唯一素に戻れる相手なんですね。
あくまでも上司と部下なんですが、芹沢の SR 現役時代に一緒に危険な場所で救助に携わったり、仲間 (山本耕史さん演じる宮崎志郎) を目の前で亡くした悲しい想いを共有してきたからこそ生まれた “絆” なんでしょう。
私も徳永とのシーンでは、いつもと違う笑顔やしぐさで、プライベートの芹沢を表現するようにしています。

スタント無しで撮影に臨んできた中丸雄一さんたち若手の演技について感想を教えてください。

私も数年前に消防士を演じたことがあり、そのとき役作りで実際の訓練を体験しました。重たい装備を着けて演技もしましたし、防火服で火炎のなかに突入していくシーンも撮りましたから、肉体的にとてもキツイのはよくわかります。
特に今回は消防士のエリートである SR 役ということで、求められるレベルも高く、肉体的にも精神的にも本当につらい撮影でしょう。
だから中丸くんをはじめ、若手俳優陣がけっして弱音を吐かず、真摯に撮影に取り組んでいる姿を見ていると 『よく頑張っているなぁ』 と感心します。
特に中丸くんは、第一話のころと比べて、ぐんと表現力が伸びましたね。
私が司令センターで無線連絡を受けているような、声だけの芝居が多いんですけど、中丸くんの声がスピーカーから流れてきただけで、映像を観なくても 『今、すごいのってるんだな』 と、ピンときます。とことん北島大地という役にはまり込んでいるのが、声だけでわかるんですね。
『面白いセンスを持った若手が出てきた』 とうれしく思いますし、彼の頑張りやエネルギッシュさを頼もしくも感じました。
それと私は若手俳優と共演するとき、いつも 「演技するときは、絶対に遠慮をするな」 と伝えています。
これは私の経験も踏まえてのことなんですが、遠慮や萎縮している気持ちは、不思議と画面に現れてしまうんですよね。
確かに自分より年長の方に礼儀正しくするのは当然ですし、普段の挨拶もきちんとすべきですが、カメラの前に立ったら、先輩後輩関係なく役者同士対等です。
だから、芝居に関して遠慮するのは絶対に駄目だと、いつも言っています。
あと若手俳優に伝えたいのが、もっと 『アク』 だとか 『エグミ』 とかを、恐れずに出してほしいということ。
最近の若い子は、礼儀正しい子が多く感心しますが、俳優である以上人間の陰陽を表現していかなくてはいけないわけですから、自分の陰の部分を出すことを恐れてはいけないと思うんです。陰の部分を見せられないと、無味無臭な芝居しかできなくなってしまう。  中丸くんたちのように魅力的な若手俳優は、『アク』 を出すことを恐れず、どんどんキャリアを積み重ねていってほしいです。

視聴者へメッセージをお願いします。

政治経済をはじめ社会全般を見渡してみると、責任の所在がはっきりしない無責任な社会になってしまっているように思います。
責任を取れる大人が居なくなってしまったというか…… そう言う私自身も普段はいい加減な男なんですが (笑)。
こんな社会でありながら、職務に正面から向き合い、絶対に責任から逃げない芹沢忍という男を、私は尊敬しています。
あと残り1話ですが、SR メンバーの活躍はもちろん、“徳永班”という問題の多い部隊を抱え、上からの圧力に一人耐える芹沢の運命にも、ぜひ注目していただきたいと思います。

(photo)