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2006年03月20日
 フリー百科事典「ウィキペディア」〜信頼ベースの巨大プロジェクト

今朝のリポートは泉貴子が担当しました。

ウィキペディアとは?
ウィキぺディア・メインページ最近何か調べものをするとなると、辞書や事典をひくよりもまずインターネットで検索してみることが多いですよね。そんな時に便利なのが「フリー百科事典・ウィキペディア」http://ja.wikipedia.org/wiki/)です。ウィキペディアはもともと2001年にアメリカで始まったプロジェクトですが、2002年には日本語版もスタート。2006年3月20日現在、日本語版の項目数は19万項目を超えている巨大なネット百科事典です。グーグルなどで検索した時に検索結果として挙がってくることも多く、意識せずに使ってる方も多いかもしれません。ある程度ネットを活用されている方であれば、画面の左上に表示される地球儀のようなマークに見覚えがあるのではないでしょうか?


利用者も急増中のウィキペディア
ビデオリサーチのリリース では、実際にどれくらいの人がこの「ウィキペディア」を利用しているのでしょうか?インターネットの利用動向を調査しているビデオリサーチ・インタラクティブの五十嵐達さんによりますと...



ビデオリサーチ五十嵐さんと泉 「当社の調査によりますと、今年2月の1ヶ月間でウィキペディアの訪問者数はのべ483万人。前年同期と比べるとおよそ3.3倍と急増しています。ちなみにテレビ局のサイトで最も訪問者数が多いのはNHKのホームページですが、それよりも100万人ぐらい多いことになります」

NHKよりもはるかに多いとは!恐るべしウィキペディア。しかも1年前に比べて3倍以上の伸びというですから、勢いがありますね。


「ウィキペディア」を作っているのは誰?
さてここでふと疑問に思うのは、いったい誰がこのウィキペディアを書いているのか?ということです。現時点でおよそ19万項目、しかも1日200件ぐらいのペースで項目が増えているというのですから尋常ではありません。いったいどこの誰が書いているのか、ウィキペディア日本語版の管理者、今泉誠さんに聞いてみました。



ウィキ日本語版の今泉さんと泉 「どこの誰が?という質問は本当によく受けるんですが、まったくわかりません、としか答えられません。わかっているだけでも日本全国、さらに海外からも、また年齢的にも50代から小学生まで書いているようです。ただ、それが具体的にどこの誰なのかということはわかりません」

どこの誰だかわからない...つまり、このウィキペディアは不特定多数の一般の人が自由に参加して作り上げている百科事典だというわけです。ネットを通じて基本的に誰でも自由に書き込んだり、編集したりすることが出来ますから、どこの誰がということはわからないんですね。書き込み内容のチェックなどを行っている、今泉さんのような「管理者」の立場の人が35人、月に100回以上書き込みや編集を行っている特に積極的参加者が数百人、その他たまに書き込むとか、1回だけ編集したことがある、なんていう人は何人いるのかわかりません。本家の英語版ではすでに100万項目に達していますが、大勢の人が参加しているからこそこれだけ多くの情報を集めることができるわけです。


ひとはなぜ「ウィキペディア」に参加するのか?
さて、ウィキペディアは「フリー百科事典」とあるとおり、利用は無料ですし、広告なども掲載されていません。サーバーなどにかかる費用もすべて寄附でまかなっています。まったくの非営利プロジェクトですから、どんなにたくさん執筆しようと何の見返りもありません。管理者の仕事も大変ですが、こちらもまったくのボランティアです。何の報酬もないのに多くの人が「ウィキペディア」に参加しているのはなぜなのでしょうか?その動機を今泉さんに聞いてみました。

「やっぱり楽しいからでしょうね。自分が書いたことが残る楽しさと、自分が書いたものに他の人が手を加えていく楽しさ。自分が知らなかった知識が書き加えられていくのを見るのってすごく楽しいんですよ。」

やっぱり楽しいというのが重要なんですね。自分が執筆したり編集したものが、多くの人の参考になるというのは何だか嬉しいし、他人が書いた記事を直したり書き加えたりすることが出来るので、共同作業で理想の百科事典を作り上げていく楽しさもありますね。僕も自分が好きなバンドについての項目などに補足記事を書いてみましたが、「これで少し完成度が上がったな」と妙に満足感を覚えました。


既存の百科事典にはない「ウィキペディア」の強み
いろんな人が自由に項目を作成したり記事を直せたりするということは、常に最新の情報が反映されやすいというということを意味します。既存の書籍の百科事典の場合、情報が更新されるのは改訂版が出たときに限られてしまいますが、ウィキペディアはリアルタイムの更新が可能です。

ウィキペディア・「森本毅郎スタンバイ」例えば、「森本毅郎スタンバイ」もちゃんと項目として立てられていますが、ニュースズームアップについての記事を見ると、最近月曜日のレギュラーに加わった渡部恒雄さんの情報がちゃんと掲載されています(それどころか、この放送の直後には「2006年3月20日放送分では、Wikipediaについて紹介された」なんて記述まで追加されていました!)。また、「量的金融緩和」の項目を見ると「3月9日〜(中略)〜約5年ぶりに解除されることが決定した」と最新の情報が追加されています。最新の情報に更新されるというのは、既存の百科事典にはないウィキペディアの強みと言えるでしょう。つまり、常に改訂されつづける永遠の未完のプロジェクトなのです。


「ウィキペディア」はどこまで信用できるか?
今までウィキペディアのポジティブな面ばかり強調してきましたが、やはり「誰でも自由に執筆し、編集できる」となると、果たしてウィキペディアの記事はどれくらい信用できるのかということが心配になってきます。実際調べてみるとやはりかなり間違いなどもあり、項目によってかなり記事のレベルにばらつきがあるようです(※ですから、ウィキペディアを利用する際には記事を鵜呑みにせず、重要な調べものをする際には別のソースにあたって裏を取ることをお薦めします。身近にいる物知りのお兄さんに聞くぐらいの感覚で使うといいかもしれません。無料ですし)。また、政治的な要素のある記事については異なった立場の陣営が対立し、削除&書き込み合戦になってしまうケースなどもあります。やはりウィキペディアが様々な問題を抱えているということは否定できないようです。しかしもう何年もウィキペディアに関わっている今泉さんは、次のような思いを抱いているそうです。

「すごく不思議なことなんですけど、人の目が集まる記事は最初どんなに酷くてもどんどん良くなっていくんですよ。間違いを見つければ直したくなるものだし、自浄作用が働いているのを感じます。最初は僕も半信半疑でした。誰でも書くことが出来るなんてシステムが果たして成り立つのだろうかと。でもやればやるほど大丈夫、悪い方向に働く力よりも良い方向に働く力のほうが微妙に強いんだなという確信が強くなってきます。いろんな人が関わるとおかしくなるというのは逆だと思うんですよ。いろんな人が関わって、多くの人の目があるからこそ良くなるんだと思います」

これまでの百科事典には「無謬性」が求められていて、できうる限り間違いのないものを作った上で出版するべきものでした。しかし、ウィキペディアはまったく考え方が異なります。「間違いを犯さないこと」よりも「間違いを直しやすくする」のがウィキの哲学。ですから注目度が高く、多くの人の目にふれる記事は結果としてどんどん良くなっていくはずだというわけです。もちろん人間は間違いを犯すものだし、悪意をもって虚偽の記事を書く人もいるでしょう。しかし同時に人間は間違いを見つければ直したくなるし、より良くしたいという気持ちを持っているものです。そしてウィキペディアは、後者の力の方が強いということを前提にしている、すなわちユーザーを信頼することで成り立っているプロジェクトなんですね。性善説で楽観的にすぎると感じる方も少なくないと思いますが、果たしてウィキペディアは理想の百科事典に近づいて行くのか否か、今後も注目していきたいと思います。

担当ディレクター 長谷川裕
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