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2005年10月03日
 キズ治療の常識が変わる!?

今日はキズの治療法に関する新常識「湿潤療法」についてご紹介しました。
リポート担当は宮脇花織です。

塩谷信幸先生と一緒に「消毒して乾かす」は間違い!?
本番、行楽の秋、スポーツの秋、遠足に運動会とスリ傷、切り傷の出来やすい季節です。傷を早く治す方法というと、何と言っても「消毒して乾かす」、これですよね。僕も子供の頃は赤チンやヨーチン、オキシドールなどをつけて(沁みるんですよねえ)、涙目になりながらフーフー吹いて乾かしたものでした。ばんそうこうなどを付けるとジクジクしてしまうので、できるだけ我慢して空気にさらしてカサブタができれば治り始めた証拠、だと思っていました。ところが最近、医学界ではこうした今までの常識を覆すような意見が強まっているんです。城西クリニック名誉院長で、北里大学名誉教授の塩谷信幸先生のお話です

消毒方法「まず消毒剤についてですが、消毒するとバイキンと一緒に自分の細胞も殺してしまう。トータルで考えるとマイナスの方が大きい。日本人の99%は今でもカサブタを作るのが治癒への早道だと思っているが、これも間違い。ケガをすると染み出してくる滲出液にはケガを修復するのに有効な成分が含まれているが、乾燥するとその成分が働けなくなる。また大切な自分の細胞自体もミイラ化してしまうことになる。ガーゼを当てるのも傷口の水分を奪って乾燥させてしまうので良くありません。」

...ガーン、なってこったい!今まで良かれと思ってきたことがことごとくダメだって言うじゃありませんか。お母さんは「沁みるのは薬が効いているからよ」と言いながら消毒剤をドバドバかけて、その後フーフーしてくれたものでしたが、、、。意味ないどころか逆効果、治りが遅くなるそうなんです。これでは母の愛も空回りです。

早い、きれい、痛みが少ない、「湿潤療法」とは
消毒方法 じゃあ、どうすればいいのでしょうか?「消毒して乾かす」療法が崩壊した今、傷口を前に途方に暮れるしかないのでしょうか?救いを求めて再び塩谷信幸先生に聞いてみると、、、

「まず水でよく傷口を洗い流します。家庭の場合は水道水でかまわないのでとにかく機械的によく洗い流します。その後は滲出液が乾かないようにガーゼではなく、医療用の被覆材で傷口を密閉すればいいのです。」

とにかくまずでよく洗い流す、これが大切です。普通のキズであれば水でよく洗い流せば化膿する心配はまずありません。そしてその後は傷口が湿った状態を保ちます。これを「湿潤療法」と呼ぶそうです。最近の被覆材は適度な湿度を保ち、蒸れることもなく傷の修復に最適な環境を保つことができるようになっているとのことです。この湿潤療法は、直接傷口が空気に触れることがないため、痛みが少なく、早く、きれいに治るのが特徴なんだそうです。

「湿潤療法」の実際は?
「痛みは少なく、早く、きれいに治る」ですって?本当でしょうか?長年、「消毒してフーフー」を最高の治療法だと思ってきた人間にはにわかには信じられません。そこで、「湿潤療法」を実践されている下赤整形外科クリニックの下赤隆院長に実際の治療例を伺いました。

「いちばん効果がはっきりしている例を挙げると、手にやけどを負った1歳のお子さんが他の病院で消毒を繰り返しながら治療していましたが、3週間ほど経っても治癒しないので、こちらの病院に来ました。うちで湿潤療法に切り替えたところ1週間ほどできれいに治りました。しかも痛みが少ないので泣き方が全然違いましたね。」

キズパワーパッド う〜ん、これは効果がありそうですね。しかも最近は、家庭で手軽に「湿潤療法」ができる市販品も発売されています。ジョンソン&ジョンソンのバンドエイド「キズパワーパッド」というバンソウコウなのですが、通常ガーゼが付いている部分に医療用の被覆材が付いていて、傷口が乾かないように保てるという優れもの。通常サイズで「10枚入り850円」と、けっこうなお値段であるにもかかわらず、今やおよそ1000種類あるとされるバンソウコウのなかでも売り上げナンバーワン!。バンソウコウのシェアの12%を占めるまでになっています。

なぜ普及が遅れたのか?
実はこの湿潤療法は40年程前にイギリスで提唱され、日本にも20年ほど前に紹介されていながらなかなか普及せず、ようやくここ数年インターネットなどを通じて広まってきたそうです。早くきれいに治り、痛みも軽減されるというこの湿潤療法がなかなか広まらなかったのはなぜなのでしょう?塩谷先生はその理由について次のようにおしゃっています。

「まず先入観を切り替えるのが難しい。私自身も医学部では消毒して乾燥するのが正しいと教わった。どんなに臨床結果やデータで湿潤療法が良いと示されても、ずっと正しいと信じてきたことを変えるのは大変なこと。また、医師の側に『とにかく治ればいいんだ』という意識があって、痛みを減らすことやきれいに治すことへの意識が薄かったのではないか。本当は患者にとっては痛みが少ないことやきれいに治ることのほうが重要なのですが。」

後半の医師の意識の問題は示唆的ですね。塩谷先生は外科出身で、その後、形成外科に転じた方なので特にそのあたりの事情がわかるのかもしれません。そういう意味では、湿潤療法はより患者の立場に立った治療法といえるのかもしれません。

「湿潤療法」の注意点
消毒方法「湿潤療法」は形成外科などに専門医の間ではもはや常識と言っていい認知度のようですが、医学界全体ではまだ2〜3割、一般家庭ではせいぜい1割程度の普及率のようです。この数年でインターネットなどを通じて情報が発信されるようになり、ようやく急速に普及し始めたという状況です。いい治療法ならば今後どんどん広まって欲しいと思いますが、以下の点にはご注意ください。

★大きな傷、深い傷、動物などに噛まれた傷、傷口が汚染している場合、出血が止まらない場合などは、まず医師の診察を受けるようにして下さい。

★すでに化膿してしまってから湿潤療法を不適切に行うと、症状を悪化させるおそれがあります。湿潤療法は、必ず傷口が新鮮なうちに行ってください。


担当ディレクター 長谷川裕
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