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2005年08月23日

　夏の終わりの小さな旅～さよなら運転中の箱根「駒ケ岳ケーブルカー」

スペシャルウィークの今週は「夏の終わりの小さな旅」と題して、首都圏近郊のお薦めスポットを紹介しています。

今朝は、今月３１日で営業を終了する箱根の「駒ケ岳ケーブルカー」を紹介しました。

「さよなら運転中」の駒ケ岳ケーブルカー
「駒ケ岳ケーブルカー」は駒ケ岳登り口駅から山頂まで高山植物の咲き乱れる山腹、全長７２０メートルを５分間かけて登ります。
４７年の長い歴史がありますが今月３１日で営業を終了する事になり、今、半額の運賃で乗れる「さよなら運転」と開業当時の様子を集めた写真展を行っているという事で、夏の終わりも近づく箱根に行ってきました。
（因みに、さよなら運転の運賃は大人は片道１９０円・往復３２０円。こどもは無料。）

「さよなら運転中」に乗る前に･･･
さて、「さよなら運転」に乗る前に悔いを残さない為に、地元の箱根に詳しい「箱根町歩く会」の会長、村上東司さんを訪ねて「駒ケ岳ケーブルカー」を楽しむポイントを聞きました。

スケート場が出来た頃のケーブルカーは東京タワーが見えるって言うんだよ。
嘘だけどそれぐらい見晴らしがいいということ。相模湾が一望でき、東京、江ノ島方面がよく見えて天気のいい日はとても素晴しい。またロープウェーと違って、ケーブルカーはゴトゴト地べたを走っているので、なんか自分が歩いている感じがして、そういうところも僕は好きだね。

駒ケ岳の頂上に行く為にはロープウェーもありますが、地面を歩くようなゴトゴト感と相模湾方面への見通しのよい絶景はケーブルカーならではの魅力という事でした。

いざ「駒ケ岳ケーブルカー」へ･･･
新宿で小田急「ロマンスカー」に乗って箱根湯本までおよそ９０分。
箱根湯本からはバスに乗り、緑の生い茂る森の中をバスで揺られる事およそ６０分、元箱根経由で駒ケ岳登り口駅に到着します。今は、「さよなら運転」中ということで、箱根湯本から登り口までのバス代、ケーブルカーの片道運賃合せて８００円のセット料金で行けます。
ただし、元箱根からさよなら運転用シャトル便がでたりしているものの、公共機関はハイキング客のニーズにこたえるだけのものしかなく、バスの本数や時間などを考えるとマイカーを利用して。登り口に行った方がよさそうでした。まぁ、バスを使った旅行も風情があっていいのですが。

「さよなら運転」乗りましたが･･･
ジリリ～ン。
所要時間５分の「駒ケ岳ケーブルカー」に乗りました。勾配は最もあるところでも２７度という事ですが、見ためは４５度ぐらいあるように見えてちょっと怖いです。

でも、最も驚いたのは箱根湯本との天気の違い。
箱根湯本は天気がよく暑かったのに、駒ケ岳で待っていたのは強風と大雨。しかも濃い濃い霧も出ていて絶景どころか窓の外は真っ白！２メートル先も見えませんでした。
調べたのですが、駒ケ岳登り口駅の標高は１０５１メートル。一方、箱根湯本の標高はおよそ１２０メートルなので標高差は９００メートル以上あり、天候が全然違うそうです。
これからケーブルカーに行かれる方は是非、注意して下さい。

「さよなら運転」に来ていた方の話
かなりの悪天候にもかかわらず、駅には「駒ケ岳ケーブルカー」に最後のお別れをというお客さんがたくさんいらしていました。子供の頃、遠足で来た時に乗った驚きから今回デジカメで写真を撮りに来たお父さんや開業当時、駒ケ岳頂上にあったスケートリンクで青春時代を過ごしたというお母さん。中には、写真展の写真を一枚一枚写真に撮り、引き伸ばして家で飾ろうという夫婦もいました。
皆さんにとって昔あったスケートリンク、そしてそこに向かう為のケーブルカーは青春の思い出そのものという感じでした。

駒ケ岳ケーブルカー営業終了について･･･
ケーブルカーの開業は昭和３２年。開業当時は駒ヶ岳の頂上にスケート場もオープンして、１日に５０００人、１０６名乗りが待ち時間１時間が出るほどの人気でしたが、８５年にスケート場が閉鎖した後はお客が減少。現在はハイキングの客が一日平均２００人来る程度で年間の乗客数も１１０万人から、５万人にまで落ち込んでいる為、今回の廃止となったそうです。時代の流れなのでしょうか。
２５才でケーブルカーの車掌デビューをして、今年ケーブルカー終了とともに定年を迎える車掌の池田成美さんにも伺いましたが、やはり一時代を築いたレジャー・乗り物に携わったという感慨とそれが終りを告げることへのさみしさが入り混じって感無量だということでした。
池田さんの思い出は新人の時、忙しくて大変だった事。５分の運転を一日中続けていて、トイレに行く時間も無かったそうです。

この時期の箱根は暑さも落ち着いて来ますし、最近はあちこちの旅館で日帰り温泉もやっていますから、ちょっとケーブルカーに乗って一風呂浴びながら想い出話に花を咲かせるというのもいいのではないでしょうか。

けさの担当は泉貴子でした。