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2005年06月27日
 「免許の更新」に納得がいかない!!

スペシャルウィークの今週は、「納得がいかない!」と題して、リスナーの皆さんが日頃感じている納得がいかないことに迫ります。初日の今日は、「免許の更新に納得がいかない」というテーマです。

更新手数料の根拠って?
教則今回の企画のきっかけは、板橋区の34歳の男性からいただいた次のようなメールでした。

「先日、運転免許証の更新手続きに行って来たのですが、その際、手数料として2100円、講習料として1050円、合わせて3150円も取られました。3000円ちょっととは言え、ペラペラのカードと退屈な講習にしては高すぎる気がして納得がいきません。いったい何を根拠にこの値段に設定しているのでしょうか?」

確かに、もうちょっと安く出来そうな気もしますね。日本では3年〜5年に1回、更新手続きをしなければならないわけですが、フランスやドイツでは無期限。世界的に見ても日本は更新手続きの頻度が高い国のひとつのようです。さて、その更新手数料ですが一律2100円に講習手数料(700円〜1700円)がプラスされることになっています。今回は一律の2100円の部分の内訳を調べてみることにしました。


更新料の内訳は、、、?
一応、更新料については各都道府県が設定することになっています(とはいっても実際には全国どこでも同じのようですが)。東京都の場合は警視庁の管轄ということになりますので、何はともあれ、まずは警視庁の広報に「更新料の内訳を教えてください」と聞いてみました。すると返ってきた答えは「そういう取材は受けていませんので」。けんもほろろです。ていうか、広報でしょあなた。税金で成り立っている組織なんですから、そんな対応はないんじゃ、、、。と困っていたら、今年4月に「情報開示請求制度」を使って、更新手数料の内訳を調べた方がいることがわかりました。内訳を調べた交通ジャーナリストの今井亮一さんのお話です。

資料「手数料2100円の内訳の情報開示を請求したところ、物件費および施設費が750円。人件費が1350円。受付など、免許更新業務の合計が22分となっていますので、1分あたり62円弱。時給換算にすると3700円ということになります。ちょっと高過ぎませんか?」

1時間あたり3700円の仕事、、、けっこうイイ値段ですね。でもそんなに難しい仕事にも思えないし、危険ってこともないだろうし、、、。何でそんなに高いのか、懲りずに警視庁の広報に電話してみました。すると今度は前回とは違う方が出て、「検討してお答えします」と。で、数日待って返ってきた答えは「東京都から示された人件費単価を基準にしている。」どうもよくわからなかったので(「追加質問には答えられない」そうです)、東京都の担当者に確認したところ、どうやら都の職員の人件費の基準を当てはめているということのようです。まあ要するに「決まりだから」ということなんでしょう。行政関係の方はこの答え方が得意なんですよねえ。こちらとしては「だから何でそういう決まりになっているのか?」を聞いているつもりなのですが。


業務委託先は天下り先?
教則では、人件費とは具体的に誰の人件費なのでしょうか?調べてみると、東京都の場合、免許関係の業務のほとんどは「東京交通安全協会」という公益法人に委託されていることがわかりました。では、警視庁と東京交通安全協会はどんな関係なのでしょうか?元・警視庁警部補の犀川博正さんは次のような証言をしています。

「1988年の交通総務係長会議で、警視庁の中枢部が『警察OBを受け入れる組織を活性化し育てて、できるだけ多くのOBを送りこめるようにしたい』と話していました。つまり天下り先にお金が流れるようにしたいということですね。警視庁の天下り先のなかでも最もおいしい職場が東京交通安全協会ですから、そこに金が流れるようにしろということだと思いました。」

要するに、東京交通安全協会は警視庁の主要な天下り先のひとつで、その天下り先に業務委託をしている、というわけですね。ちなみに東京交通安全協会の本部は警視庁と同じ建物にあります。


差額はどこに、、、?
ということは、先ほどから出ている「1時間あたり3700円」の人件費というのはこの東京交通安全協会で免許更新業務に当っている人の人件費、という風に思えますよね?そこで、実際にこの人たちがいくらぐらい貰っているのか、警視庁から天下りして数年前まで東京交通安全協会で免許関係の仕事をされていた方にお話を伺うことができました。

「額面で月に18万円、手取りは16万円程度。週休2日のフルタイム勤務だったので、時給はせいぜい1000円程度でしたね。いま初めて人件費が3700円と聞いて驚きましたよ。」

この方は警視庁からの天下りですが、協会には窓口担当の女性など一般採用の方もいて、給料はもっとずっと安いそうです。もちろん、人件費=給料ではありませんが(手当てや社会保険料などのコストがかかりますから)、ちょっと3700円との差が大きすぎるような気がします。その差額は一体どこに行っているのでしょうか?それに、そもそも算定根拠の前提が崩れるのではないでしょうか?ちなみに、現場レベルの方ではなく、協会幹部の役員(警視庁のかなり地位の高いOB)の報酬や退職金がいくらぐらいなのか、問い合わせてみましたが「公表は出来ない」とのことでした。


巨額の資産を持つ「東京交通安全協会」
東京交通安全協会が警視庁から独占的に委託を受けているのは、免許業務だけではありません。違法駐車のレッカー移動やパーキングメーター、パーキングチケットに関する業務なども委託を受けており、平成15年の収支決算書を見ると、警視庁からの委託費は年間60億円以上にも及んでいます。 資料 さらに、登記簿を調べてみると東京都交通安全協会の総資産の額は、昭和43年に1600万円、それが昭和50年には約4億円、平成元年には18億円、平成12年には48億円となり、現在も約40億円の資産を持っています。なかなかリッチな公益法人ですね。また、免許更新の際、郵送にしてもらうと郵送手数料として900円も徴収されますが、郵便局に確認したところ実際の郵送料金は300円程度のようです。実際に収支報告書を見ると「免許郵送料の支出」1000万円弱に対し、「免許郵送収入」は3000万円弱。やはり競争がないので、かなり高い利益率にできるようです。公益法人というのは「不特定多数の利益」のためのはずですが、どうも「特定少数の利益」のための組織のようにも思えてきます。


免許更新制度の真の目的は?
こうして調べてみると、どうも免許の更新システムの真のメインテーマは「警察の天下り先を儲けさせること」なのではないか、という気がしてきちゃいますね。3年〜5年という高い頻度で更新を義務付けている以上、「免許の更新が何のためなのか」明確な根拠を示して欲しいものですが、警察庁に問い合わせてみても「検討します」と言われたきり。1週間以上待っても答えは返ってきませんでした。

担当ディレクター 長谷川裕
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