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2005年05月19日
 「パソナの近代施設 農業の未来は。。。」

今朝のリポートは泉貴子が担当しました。

LEDでヒマワリを育てている パソナの次世代施設「パソナO2」とは?
場所は大手町のパソナ本社地下2階。広さは1000平米。大きな6つの部屋で約100種の野菜や花が水耕栽培されていて、光にはLEDや人工灯が使われている。主に野菜はサラダ菜、トマトなどでイネも育てていて、変わったところでは京野菜なども栽培されている。

イネ栽培実際にサラダ菜を食べてみたのだが、やわらかくて、実においしかった。
当然、農薬などは使われていないので、安全でとにかく新鮮。
ここは日曜日以外、無料で誰でも見学できて、試食もできる。 毎日平均100名くらい来る人気ぶりで、
小泉総理も訪れて、
「すごい農業革命だ」と言ったそう。
農業のハイテクショールームといっていいほどで、一見の価値ありだ。
ただ気になるのは、どうして人材派遣大手のパソナがこのような施設をオープンさせたのだろうか。


 農業ビジネス
パソナ・広報担当マネージャー根本恵介さん

パソナ 根本さん「目的は農業分野での雇用創出。大前提として多くの方に農業を身近にしってもらおうと作りました。販売が目的でないので、ハイテクの技術を使った農業を興味を持ってもらいたい。この施設だけで利益を上げようとは考えてない。農業の雇用創出の情報発信。情報発信する場所、農地は田舎にはあるが都会にはない。だから、あえて人が集まる場所に作りました。」


パソナは2年前から、農業に興味がある人に農業を経験してもらおうと、秋田県で農業インターンシップを始めて、すでに70名の人が参加した。
今は若者の間に就職や生き方に対する価値観が変わってきていて、価値観が多様化した。そこで、この施設で農業の活性化を図り、新しい農業の雇用創出につなげようとしているようだ。

パソナ02パソナはこれから農業はビジネスになると捉え、このような施設を作ったが、現実にパソナみたいなハイテク技術を使い、ビルなどの建物の中で農作物をつくるこの方法、すでに私たちの食卓の上まで、入ってきているのだ。

農業というのは、企業(株式会社)が農地法の関係で参入しにくい業界。
そこで、密閉された建物の中で、アスファルトの上で育てた食物は、農地で育てたわけではないから、農地法に引っかからない。
そのため、このような方法ならば、企業が簡単に農業に進出できるため、すでにキューピーやカゴメなどいくつかの企業が始めているのだ。
キノコやイチゴなどはこの方法で作られているものが多くある。

ただ、なぜ企業が多くの農業に進出してきたか。
慶応大学 農業プロジェクト GSEC研究員 吉田誠さんは

パソナ02「いくつか理由があるが、1つは食品業界が不景気知らずなこと。それは食品そのものが、どうしても私たちに必要なものだから。もう1つは、海外輸入に依存できなくなってきている食品がたくさんあること。水産物なんかもそうだが、穀物なんかは輸入国が増えてきた。今までは日本1人が消費しているだけだったが、そういうわけにもいかなくなった。これからは中国とかロシアとかもどんどん輸入国になるだろうし、東欧も輸入量が増えてくると言われている。そのため自分達が欲しい時に、市場やマーケットにない場合、需要に追いつかなくなる。それなら自分達で生産しようという動きになってきということ」


日本の農業の危機的状況
日本の食糧自給率は先進国で最低の数値で、農家の数は、昭和35年にはおよそ600万戸だったが、現在は、半分まで減り、今後も減少傾向が止まる様子はない。
さらに農地面積も減っているし、高齢化と後継者不足が深刻な問題になっている。
こういう日本の農業の危機的状況と海外の影響が、メーカー自らが生産、流通、加工、販売を行う背景にあるようだ。
さらに、生産から販売まで行えば、マージンなどが加わることがないので、利益率が多くなるし、価格も自ら設定できる。
ただ、建物の中で植物を育てるわけはこれだけではないようだ。
さきほどの吉田さんは



「国民が安全とか健康の意識が高くなった。今は国内産が安全だっていう意識が高い。そのため、今の密閉されたところで、アスファルトの上で育てるやり方は農業ではなくて工業になるため、品質保証ができるのだ。実は農業は産地、栽培方法、生産者が保証できても、品質は保証できない。しかし、私たちが言っている農業は工業になるので、工業製品は全部同一条件で作られるため、品質保証ができるのだ。もう1つは工業化すれば、室内に棚を作れば、30農作も可能になるため大量に作れる。いわゆる工業界のノウハウを活かして、一年中大量に安定供給できるのだ。だから、工場で植物を作るところが増えていると言える」



アグリ工場
ハイテク技術を使って、農作物を栽培することを「アグリ工場」と言われている。様々な理由で「アグリ工場」で農作物を育てる企業が増えているようだが、国も日本の農業の危機的状況をなんとかしようと、今国会に農地法の改正案を提出した。
今後さらに、農業に企業が参入しやすくなるだろうが、
それでもあえて、「アグリ工場」を使うところ企業もあるかもしれない。
農家や企業も今後、色んな手法で農業をビジネスとして発展させていく可能性は大いにある。
そういう意味では、パソナが東京のど真ん中に「パソナO2」をオープンさせたのは正解かもしれない。

担当ディレクター 境 祐介
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