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2005年04月04日
 「ホワイトボックス」がパソコン業界を席巻中!?

今朝のリポートは宮脇花織が担当しました。

パソコンといえばNEC、富士通、IBM、ソニー、それから最近ではデル・コンピュータなどが有名ですよね。ところがそんな中、最近急速にシェアを伸ばしているパソコンがあるんです。
「ホワイトボックス」というパソコンなんですが、みなさんご存知でしょうか?「聞いたことない」という方が多いと思いますので、ホワイトボックスとはどんなパソコンなのか、そして、どれくらい売れているのか?日経パソコン発行人の渡辺洋之さんに伺いました。

「ホワイトボックス=無名、ノーブランドのパソコンのこと。小さいメーカーや販売店が独自に作っているパソコンの総称。去年あたりから急激に伸びて、今年は100万台超、日本のPC市場の1割に迫る勢い。」

つまり、「ホワイトボックス」というのは、ひとつのブランドではなく、大手メーカーのものではないパソコンの総称なんですね。トップシェアのNECや富士通が20%ずつくらい、デル・コンピュータでもやっと1割を超えたぐらいなので、ホワイトボックスの勢いは相当なものです。

ではなぜ、ホワイトボックスが人気を集めているのか?家電量販店の最大手で、「フロンティア」というホワイトボックス・パソコンを展開しているヤマダ電機・IT事業本部の松本大輔さんにお話を伺いました。

ヤマダ電機のホワイトボックス「フロンティア」
「消費者のニーズが多様化しているからだと思います。メーカーのパソコンでは物足りないというより、この機能はいらないとか、この機能は強化して欲しいとか、ニーズが幅広く、細分化しているわけです。ホワイトボックスはそうしたニーズに合わせて出せるから人気があるんです。」

確かに、パソコンっていろいろな機能やソフトが付いていても、実際には使わないものも多いですよね。結局メールとネットとワープロぐらいにしか使わない人も多いのでは?その点、ホワイトボックスの場合、機能やソフト、周辺機器などを最小限に絞ったものが基本(いわゆるBTO方式)。余計なものを付けなければ、当然値段も安くなるわけです。例えばヤマダ電機が展開する「フロンティア」シリーズの場合、一番安いモデルはなんと3万9800円(モニター別)!う〜ん、安い!!

特に去年はアテネ・オリンピックもあって、液晶テレビやDVDレコーダーなど、デジタル家電がブームになりましたよね。そこで、大手のパソコンメーカーは、デジタル家電に対抗するため、テレビ録画機能を付けたり、大型の液晶モニターを付けるなど、AV機能を強化したパソコンに力を注いだんです。ところが高機能になった分、去年はパソコンの価格が上がってしまったんですね。ここ数年、パソコン価格の下落に苦しんでいたメーカーにとってはそれも狙いのひとつだったようですが、その隙をついてシェアを伸ばしたのがシンプルなホワイトボックスのパソコンだったというわけ。

しかも、安いだけが人気の理由ではないようなんです。再びヤマダ電機の松本さんのお話です。

「一番伸びているのは高性能なもの。多機能じゃなくて高性能。大手メーカーのは多機能&高性能なので高価になってしまう。高性能だけが欲しい人もたくさんいるんです。」

ポイントは多機能ではなく、高性能。多くの機能はないかわりに、例えば3Dのネットゲームを楽しむためにグラフィックの性能だけは大手メーカーの高級機をはるかに上回るものなど、ニーズに合わせてチューンナップしたものもよく売れているようです。実際、ヤマダ電機でも17万円ぐらいのホワイトボックスが人気だそうです。
まあ、自動車で言えば「シートは布張りでいいから、エンジンだけは超高性能なやつをつけてくれ」って感じでしょうか?

NECのシンプルパソコン「ValueOne」となると、大手メーカーにとっては相当脅威になりそうですが、実は最近、迎え撃つ大手メーカーの側も相次いで機能を絞った低価格パソコンを発売しているんです。国内シェアトップのNECも今年6万円台からの新シリーズ「バリュー・ワン」を発売しました。NECパーソナルプロダクツ、PC事業部の栗山浩一さんにお話をうかがいました。

「低価格がクローズアップされていますが、本当の狙いは別のところにあるんです。今までのパソコンはフランス料理で言えばフル・コース。今度の『バリュー・ワン』はアラカルトのなかのひとつ、と考えていただきたいですね。メーカーが本体を提供して。あとは客が好みに合わせて追加すると。」

「元はシンプルに、あとはお好みで」ということですね。ホワイトボックス側と同じこと言っているような気もしますが、ホワイトボックスよりは多少値段が高いものの、サポート体制の充実度や長年培ったブランド力があるので、と自信を示されていました。確かに大手ならではのサポート体制と、20年以上にわたる実績に裏打ちされたブランド力、これはホワイトボックスにはない魅力かもしれません。

さて、大手メーカー対ホワイトボックス、この勝負の行方はどうなるのでしょうか?日経パソコン発行人の渡辺洋之さんに次のように予測しています。

「このまましばらくホワイトボックスは伸び続けると思います。アメリカではデルが強いとか、HPが強いとか言いますけど、実はホワイトボックスが4割のシェアを占めているんです。ユーザーが成熟すればブランドより機能や価格で選ぶ人が増えるので、大手にとってホワイトボックスが最大の敵とならざるを得ないのではないでしょうか。」

懐かしの名機。30万円以上しました、、、。マニア向けというイメージがあったホワイトボックスですが、最近はサポート体制なども強化してきていて、消費者の抵抗感もだいぶ薄れてきているようです。やはり大手メーカーにとっては、なかなか手強い相手になりそうです。

(ここから下はディレクターの独り言です)

要するにメーカー主導で売りたいものを売ろうとしてもダメな時代になったのでしょう。20年くらい前の状況を考えると、隔世の感がありますね。なにしろ昔はパソコンといえばNEC、ホビーならPC8801シリーズ(ハチハチ)、ビジネスならPC9801シリーズ(キューハチ)それ以外はほとんどありえないっていう時代でしたから(富士通のFM-7とか、シャープのX68000なんてのもありましたが)。しかも、ソフトの互換性がなかったんですよね。だからソフトがいっぱい出ているNECのパソコン買うしかないわけですよ。僕(ディレクター)が中学生の頃、我が家で初めて買ったのはPC9801UV2という機種でしたが、その後すぐにUV21という上位機種が出ましてねえ、しかも値段は変わらず。最初っからそっち出してよ〜と思いましたが、他に選択肢がほとんどないので、黙って使い続けましたよ、NECのパソコン。10年近く壊れずに使えたのでいいパソコンだったのは間違いないですが、つくづくメーカーにとっては牧歌的な時代でした。

一方、今は消費者にとっては選択肢が増えて嬉しいのですが、メーカーにとっては厳しい時代です。もう互換性も何も、ウィンドウズが動けば何でもいいっていう状況ですから。あのIBMが「儲からないから」と言って、パソコン事業を中国企業売却しちゃうんですから、その厳しさたるや、、、。

担当ディレクター 長谷川裕
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