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2005年03月21日
 中央競馬史上最多勝ジョッキー、岡部幸雄さんインタビュー

今朝は、きのう中山競馬場での引退セレモニーを終えたばかりの岡部幸雄さんに電話で生出演していただきました。

岡部さんは中央競馬史上最多の2943勝をマーク、騎乗回数も最多の1万8646回、3年前には53歳でシンボリクリスエスとのコンビで秋の天皇賞に勝ち、GI制覇の最年長記録を樹立するなど、38年間の騎手生活で数々の記録を打ち立ててきました。


森本 「岡部さん、おはようございます。引退セレモニーを終えて、昨日はどんな雰囲気だったんですか?」

岡部 「昨日はもう恥ずかしいやら、照れくさいやら。夜は仲間たちとワイワイ、、、し過ぎました(笑)。朝まで呑んで、その残党がまだうちにいます(笑)。現役時代は出来なかったことなので。」

森本 「現役時代は節制、節制ですもんね。」

岡部 「だから、これからはあんまりハメを外してしまいそうで、怖くてしょうがないんです(笑)。」

森本 「われわれファンからすると、もっと乗って欲しいなという気持ちがありますが、ご自身ではいつ引退の決断をされたんですか?」

岡部 「2月20日、土曜日のレースで身体が思うように動かず、あれっ?と思ったんです。次の日も続くようなら潮時だと思ってレースに臨みましたが、やはり日曜日も変わりませんでした。それまでは全く普通だったのですが、、、。」

森本 「それはその日たまたま動かなかっただけじゃないですか?」

岡部 「ですから、1日ではなく、次の日もダメだったら決断しようと。それで日曜日もやっぱりダメだったので、もうそろそろと決断しました。」

森本 「寒い時期でもありますし、温かくなれば大丈夫じゃないですか?」

岡部 「そういう思いもありましたが、いろんな人に迷惑をかけるわけにはいかないので。
年齢的なこともあるし、こういうことになったらすぐに辞めようと思ってました。」

森本 「それにしても、56歳まで現役を続けられたわけですが、、、。」

岡部 「恥ずかしい限りです(笑)。」

森本 「そんなことありませんよ。これほど長く続けられた秘訣は何ですか?」

岡部 「無理をせずに自分にやれることをやってきたということです。」

森本 「そうおっしゃいますけど、岡部さんは自分に厳しいじゃないですか。」

岡部 「いやいや、肩肘張らずにごく自然な流れとして自分のできることをやってきたからこそ、ここまでやれたと思っています。」

森本 「前に雑誌で対談させていただいた時に、岡部さんは馬の気持ちや体調など、いつも馬に尋ねているという姿勢をお持ちでしたが、、、」

岡部 「それはもう、馬に携わる人はみんなそうだと思うんです。自分だけでなく馬に触る人、動物に触る人は、犬や猫でも同じこと。話し掛けたりコミュニケーションをとるのは当たり前のことだと思うんです。」

森本 「馬耳東風なんて言葉もありますが、馬というのは敏感に反応するものなんですか?」

岡部 「人間と同じ。言葉の会話は出来なくても、みんな意見は出すし、会話をしているんです。お互いに汲みとって、どの辺で妥協するかとか、人間でも動物でも同じだと思うんです。」

森本 「長い騎手生活でいろいろな馬に乗っていますから、どの馬とはなかなかいえないかも知れませんが、やはりシンボリルドルフは心に残る馬ですか?」

岡部 「ああいう馬が出来ちゃったというか、出会っちゃったことで僕もここまで来たような気がいたします。」

森本 「シンボリルドルフは、かなり踏み込んで会話をした馬ですか?」

岡部 「そんな会話が出来た馬(シンボリルドルフ)に出会ってしまったばっかりに、またそんな馬に会えるかもしれないと思って毎年毎年やってきたんです。今年こそはまた会えるかもしれない、という思いでここまで来てしまったような気がします。」

森本 「シンボリルドルフは岡部さんにいろいろと意見したんですか?(笑)。」

岡部 「はい、こちらもたくさん意見をしましたが、彼(シンボリルドルフ)もいろいろ意見を出しました。」

森本 「意見を出しましたか(笑)。シンボリルドルフはどういう意見を出すんです?」

岡部 「ダービーを終えたあと、『ちょっと休みたいんだよ』ということも言ってましたし、高松宮も行こうよと言ったら『いやあ、ちょっと休ませてよ』と言ってました。」

森本 「そのあたりを聞き取らないといけないあたりが微妙なんでしょうね。さて、去年ケガから復帰されてダンスインザムードに騎乗して勝った時には、涙を浮かべてましたね。」

岡部 「お恥ずかしい(笑)。1年間、復帰できるかなあという思いを繰り返してきました。そして復帰した初日に勝てるなんて夢にも思っていなかったんです。それがその日に勝てたので、思わず、、、。恥ずかしい(笑)。」

森本 「我々も胸がジ〜ンとしました。さて、岡部さんといえば野球で言えば野茂選手のような海外進出のパイオニアですね。これはどんな思いがあったんですか?」

岡部 「日本の競馬は世界レベルが目の前に来ているんです。だったら挑戦してやろうと。そんな思いがしてどうしてもやりたくなったというか、ムズムズしちゃったんですね。」

森本 「これはちょっと伺いにくいことですが、桜花賞を獲ってらっしゃらないですよね。悔いはありませんか?」

岡部 「これはもう桜花賞には縁がなかったと思ってますし、逆にいえばそんな贅沢言ったらみんなに怒られますから。あれだけチャンスをもらって勝てなかったのは、自分に技量がなかったということですから。悔いは全くないです。そりゃ勝てるに越したことはありませんが、自分でやってきたことですから、全然悔いはないです。」

森本 「今後のご予定は?調教師にはならないということですが。」

岡部 「明日からハローワークに通って、失業保険の申請に行こうかと(笑)。」

森本 「(笑)、しばらくのんびりされるんですか?」

岡部 「今まで出来なかったことをやって、自由な時間を楽しもうと思っています。」

森本 「馬券はお買いになりますか?」

岡部 「唯一の楽しみですから(笑)」

森本 「ありがとうございました。本当に長い間お疲れさまでした。」


・・・・・・というわけで、少々長いですが最多勝ジョッキー岡部幸雄さんのインタビューを完全掲載しました。インタビューを終えた森本さんは「あんなリラックスした岡部さんは初めてだ」と驚いていましたが、岡部さんは本当に幸せそうで、言葉通りに悔いのない騎手人生を送ってこられたことが伝わってきました。

担当ディレクター 長谷川裕
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