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| 2003年02月19日 |
| 復活を遂げた中嶋常幸さんにインタビュー |
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今週は、「2003年、今年の注目の人」へのインタビューを放送しています。
今日は、7年に及ぶ不調の時期を乗り切って復活したプロゴルファーの中嶋常幸さんです。
去年は6月にダイヤモンドカップで7年ぶりに優勝、11月の三井住友VISA太平洋マスターズでも優勝するなど2勝。
賞金ランキングもおととしの9位を上回り、6位と2年連続ベストテン入りです。
- 森本：
- 講談社から出ている中嶋さんの本、「40歳にして分かる『理にかなう』ゴルフ」を読んで、毎日新聞のコラムにも書いたんですが、我々アマチュアゴルファーにとって貴重なアドバイスがいっぱいですね・・・・
48歳にして2勝をあげた中嶋さんの言葉だからこそ説得力があるんですが、優勝できない7年の間に何か変わりましたか？
- 中嶋：
- 7年は長かったけど、必要な7年だった。勝つこと以上に価値ある7年だった。
95年5月のフジサンケイクラシックで優勝して以来、優勝がなくなった。勝てないどころか年々賞金ランクは落ちるばかり。2000年に賞金ランクは116位にまで落ちた。
プロになった息子にバトンタッチする時期かな・・・と思ったし、引退の2文字がはっきり見え、万策尽きたと感じたときもあった。
しかし、ゴルフの他にやることはない、今の自分を全部受け止めるしかない、スポーツに生きる人間に訓練はつきもの。成長するための肥やしだ。と受け入れられるようになった。それからプラス思考になり、大丈夫何とかなる、と考えられるようになった。
どん底の2000年を終えた頃、ダメな今の自分を好きになったら出口が見えた。今は毎日が新鮮。
- 森本：
- 本の中に、アマチュアは飛ぶための道具にこだわりがちで、新しいセットをすぐ買い換える。そのお金があったら、スポーツジムで身体を鍛えた方がいい、という言葉がありますが、中嶋さんも肉体改造に取り組んだんですか？
- 中嶋：
- かつての弟子だった石渡俊彦さんがプロゴルファーからトレーナーになっている。彼に出会って、彼の指導のもと身体を鍛えている。
股関節の使い方、肩の回し方を教わった。謙虚な自分が弟子の言葉を受け入れた。
- 森本：
- 40歳以上のゴルファーにとって大切なのは何ですか？
- 中嶋：
- 40歳以上の方にとってとりわけ重要なのは、自分のプライドとどう対峙するか、ということ。相手が良いショットを打った。自分はもっといいショットを・・・・・逆に相手がミスした、もうけた。こう考えてまたプレッシャーを感じてしまう。
絶えず相手のショットに怯えながらプレーをする。そんな恐ろしいスポーツならやめてしまったほうがいい、と思いませんか？
他のスポーツと違い、ゴルフは考えている時間の方が実際に動いている時間より圧倒的に長い。打って、人が打つのを待って、そして歩いて・・・・・ものすごく長い時間を考えることにあてる。この長い時間をいかに費やすかが大切だが、人生の半分を過ごした人の方が、充実した時間を過ごせるのは当然。
「40台で回れるから自分は恥ずかしくないゴルフが出来ている」などと考えたり、逆に「50も打ったから恥ずかしい」と考えることは
ゴルフの本質を間違えて捉えている。たとえ60も打ったとしても、
たった1発でも思い通りのショットが打てたならそれでいい。
自己満足でいい、完全な自己満足で。それこそがゴルフの本質。その本質を知って楽しめば、おのずと成績が向上していく。
- 森本：
- この間、ケガから復活して優勝したタイガー・ウッズと同じ組で回ったとしても、相手を意識しませんか？
- 中嶋：
- 例えば先に打ったウッズのショットが優に350ヤード飛んだとする。48歳の僕に出来るのは、280ヤードのショットを真ん中に打つことだけ。ウッズとの飛距離の差を気にして、打つ前から自分を見失ってはいけない。萎縮してミスをせず、完璧に280ヤード打つことに集中すればいい。
以前の僕だったら、焦りやプレッシャーからミスを犯したかもしれないが、自分にできる最良のショットを打ったとき、「自分に勝った」とほほえむ。
自分の最良のショットを打ち続け、結果として彼よりよければ理想的。僕が力を出し切ったにもかかわらず、ウッズが僕よりよい成績で回ったなら、彼のプレーを心より讃えるだけ。
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