写真は秩父市番場町の木村屋で売っている「秩父原人パン」です。
古代米の黒米を混ぜて焼いた「フランスパンのような」食感に 桃のジャムがいい香りで近所のお客さんだけでなく観光客にも好評だそうです。
「秩父原人」?どこかで聞いたような気がというあなた!
今年2月に秩父で考古学上の大発見があったのを覚えていませんか?
発掘されたのは前期旧石器時代の小鹿坂遺跡。そこには建造物跡とみられる規則 的に並んだ柱の穴や石器が発掘されました。これがおよそ50万年前と推定されることから大きなニュースとなったのです。見学会も大勢の人でにぎわいました。(いまは遺跡は埋め戻されていますが)
そして今年7月には近くにあるおよそ35万年前と見られる長尾根遺跡で、人の墓の跡かも知れない穴も見つかっています。
そこで秩父市では原人にちなんだイベントやお菓子などが登場してちょっとした「原人ブーム」なのです。
9月の16日には「ミューズパーク」という公園で「秩父原人祭り」が行われ、およそ1万人の参加者でにぎわいました。
この祭りには市役所の職員や青年会議所のメンバーが原人に扮して登場、「原人太鼓」が披露されました。猪や鹿を使った「原人鍋」がふるまわれたり、原人の体験をしようと火をおこすコーナーもあって子供達にも人気でした。
祭は最後に原人を先頭にたいまつで照らされた道を歩く「原人パレード」でしめくくられました。11月にはドイツから考古学者を呼んで「旧石器フォーラム」も開かれます。
地元商店街も動いています。「木村屋」では「原人パン」だけでなく「原人クッキー」も売っています。好評のため、秩父鉄道秩父駅前の地場産センターでも売られています。
また西武秩父駅から秩父駅に向かって歩きますと、原人大福や原人サブレなどを売っているのもみかけます。地元の酒造会社は「原人ワイン」や「秩父原人酒」を売り出しました。秩父ではすでにかなりの原人ブーム。駅などで売られることで、観光客にも存在を知られ始めました。
秩父といえば夜祭りが有名。きれいな空気と緑と水もあります。それに「秩父原人」が加われば、もっともっと人が訪れるようになるのではないでしょうか。
木村屋のご主人、木村喬さんも「秩父原人の名前が知られるようになって、それが街おこしにつながってくれれば」と話していました。
小鹿坂遺跡や長尾根遺跡の付近は引き続き発掘が続いています。
今後、秩父原人の存在をさらに裏付ける大発見があるかもしれません。いったん埋め戻された遺跡も保存、見学が考えられているようですから、今後「秩父原人」の姿を追い求める観光客の姿が増えるかもしれません。
リポーター 崎山敏也