森本毅郎スタンバイ! WEBラジオ ラジオトップ TBSトップ サイトマップ
現場にアタック
今朝のスタンバイ
現場にアタック
トークパレット
ハワイにおいでよ!
映画情報
ものだめし
ブックナビ
世論調査
 ご意見はこちら
----------------
デジタル教室
お知らせ
番組紹介
出演者紹介
番組への御意見・
ご感想お待ちしております。
 メールアドレス
stand-by@tbs.co.jp

番組放送中(6:30〜8:30)は電話・FAXでも受け付けております。
電話 03-3584-0954
FAX  03-5562-9540
2000年06月15日
生き残りをかける大学の新しい試み


写真は千葉市の緑区、JR土気駅前の教室で行われている ハンギングバスケット講座の様子です。

この教室、よくあるカルチャースクールではありません。
東京の法政大学は社会人や主婦向けの生涯学習の場として市ヶ谷の本部に 「エクステンションカレッジ」を設けています。その分校がこの5月に土気駅前に オープンしたのです。
田中義教理事は、「社会人に生涯学習の場を提供して、地域に貢献するとともに、 少子化が進んで受験生が少なくなることが予想されるなか、 社会人を今後のターゲットにしていくということです」と話します。
市ヶ谷には語学や資格、映画や能楽など文化教養、能力開発などの さまざまな講座がありますが、ガーデニングの講座も大変人気だったということです。
そこに土気駅前のあすみが丘地区(人口およそ2万人)を開発した不動産会社が 「この街には学びの場がない。これからの街作りに役立つ講座を」と誘致したのです。

現在はガーデニングとハンギングバスケットの講座があり、9月からは ハーブコーディネーターの講座も加わります。
講座の内容は高度で、ただハンギングバスケットを作るのではなく、 土壌や植物についての知識もきちんと教えます。 そのあたりが9人の受講生にも好評でした。
プログラムディレクターの村田幸子さんは「ただ楽しいだけでなく、 プロを目指すぐらいの意気込みで学んでほしい。将来はあすみが丘地区の街作りに 受講生が参加してゆくことも考えている」と話していました。

番組でもう一つ紹介したのが、埼玉大学大学院の経済科学研究科が 4月から開設しているJR東京駅八重洲口の「東京ステーションカレッジ」です。
これは社会人向け大学院の分校です。 八重洲口徒歩1分のビルの地下2階にその教室はあります。
取材した「経済基礎」の受講者は全員30代〜40代の銀行マン。 受講の動機は
「自分の経験を考えとしてまとめるのに、経済学を本格的に学びたい。」
「あたらしい分野に異動になったので、その分野を経済学の基礎から学びたい」
などさまざま。そして埼玉大学を選んだ理由については 「東京駅前という場所が一番でしょう」とたいていの方が答えました。

国立大学が県境を超えるのは非常に珍しいことです。
埼玉大学の貝山道博経済学部長は「少子化、高齢化で中高年への貢献が 大学も必要な時代。まず埼玉大学としては金融ビジネスの一線で働き、 新しい能力を開発したい社会人をターゲットにした」と話します。
東京に進出した理由については「世界を相手にしている人達が仕事をしているのは東京。
大学はお客さんを待つのではなく、お客さんがいるところに出ていく時代だ」と話して いました。講師陣には埼玉大学の先生のほか、大蔵省、金融監督庁の現役、OBなど 現場のビジネスマンに満足してもらえるものを選んだと言うことです。
定員15人に90人以上の応募者。とりあえずは順調なスタートですが、 その前には県境を超えることについて、文部省へのねばり強い説得と、 都内の便利かつ安い教室を探しての苦労があったようです。

法政大学と埼玉大学、二つの大学を取材してみて強い生き残りへの意思を感じました。
法政大学の田中理事は「学生が大学を選ぶ時代。魅力ある内容を提供できないと、 大学は今後存続できない。今後ガーデニング以外の分野でも、 場所があれば積極的に分校を開設した」いとしています。
埼玉大学の貝山経済学部長は法政、中央など私立の大学の名前をあげて 「これからは国立、私立ほんとの意味で良い競争をしていかなくては」と話します。

少子化、高齢化で生涯教育という社会の要請に応じながら、一方で生き残りをかけた大学の新しい試みは、 個性化、差別化をめざしてこれからもさまざま生まれてくるのでしょう。


リポーター 崎山敏也
バンクナンバーはこちら
 Copyright(C) 1995-2024 TBS RADIO,Inc. All Rights Reserved.