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2000年06月08日
古代イタリアの醤油が日本で復活!?

味噌漬けのようにも見える肉をシェフが持ち上げています。
いったい何料理屋なのでしょう。
実はシェフの方は東京港区南青山のリストランテ「アカーチェ」のオーナーシェフ、奥村忠士さん。そして肉はイタリアの古代の魚醤「ガルム」につけ込んだ豚肉なのです。

イタリア最古のレシピ集「アピキウスの料理」には「ガルム」という言葉が頻出します。実は古代ローマでは魚を発酵させる魚醤が一般的な調味料だったんですね。
文献から推測するに、古代ローマでは魚に塩を混ぜてカメで発酵させて作った「ガルム」を魚や肉にパンにつけて使っていたようです。
「ガルム」はローマ帝国の滅亡と共に使われなくなり、現在では南部の村で作られているところもあるらしいのですが、普通のイタリア人はほとんど知らないようです。

このガルムを日本で復活させようとしているのがイタリア食材商社「モンテ物産」です。
モンテ物産では石川県のメーカーに委託してカタクチイワシと塩だけで「ガルム」を生産。
復活させようとした理由について「古代ローマ料理を再現したときにガルムの存在を知りました。しかしイタリアでは作られていない。それなら魚醤の伝統のある日本で作ればと思ったのです」とモンテ物産プランニング室の関根さんは話します。

「魚醤」といえばタイのナンプラー、ベトナムのニョクマム、あるいは秋田の「しょっつる」や石川の「いしる」も知られています。
タイ料理屋で試食してもらったところ、「しょっつる」は塩辛い、「ナンプラー」は独特の香り、「ガルム」は「ナンプラー」によく似ていて、うま味は深いということでした。

ではイタリア料理ではどうやって使うのか。
姉妹店「トラットリア ペコラ」(港区北青山)でガルムを使ったメニューを出している奥村さんにお伺いしました。
奥村さんによりますと、ガルムは豚肉と相性が良いということで、「オスティア風豚肉の炭火焼き」がメニューに載っています。写真の豚肉はそのためのものです。
私も食べました。見た目は単純に豚肉の炭焼きですが、食べると香ばしくてうま味が口の中に広がります。
イタリア料理はトマトソースやオリーブオイルという私の先入観はなくなりました。
実際にはガルムだけだとしょっぱいので、野菜やワインで甘味をつけているそうです。

「ペコラ」のお客さんは「東南アジアの料理ですか?」という方もいますし、「ご飯にあうんじゃないか」という方もいるそうです。
奥村さんも「日本は醤油を始め発酵調味料の文化ですから、日本人にはなじむのでは」と話していました。
また「うま味」の隠し味として家庭でも使えます。(タイのナンプラーも広く隠し味として様々な食料品にすでに使われています)

醤油文化のある日本の方が2000年前の古代ローマの調味料、ガルムを生かすことができるかもしれません。


リポーター 崎山敏也
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