写真は東京豊島区高田1丁目、1月に2回ある資源ゴミの回収日の朝の様子です。
色違いの回収容器の中には瓶、缶、トレー、ペットボトル、そしていちばん手前、白い回収容器に入っているのがさまざまなプラスチック容器です。
「容器包装リサイクル法」はこの4月に完全実施となりました。
家庭からでるゴミの容積で6割を占める容器包装ゴミを減らし、リサイクルするための法律で、これまでは瓶、缶、トレー、ペットボトルのリサイクルが行われていたのが、4月から残された紙容器とその他のプラスチック容器もリサイクルが始まったのです。
ところが3300弱の全国の自治体のうち、4月から容器包装リサイクル協会にプラスチックのリサイクルを委託した自治体は493に過ぎません。(独自でやっている自治体は他に多少ありますが)それは何故なのでしょう。
豊島区は高田1丁目などの東目白自治会だけで今年の2月から「ボトルタイプ」のものに限定して、プラスチックの分別回収、リサイクルを実験的に行っています。
「お茶の福本園」の加藤一枝さんにお話を聞いたのですが、多少ペットボトルと間違い易いところもありますが、ドレッシングや化粧品、洗剤、油など分別にはそんなに困難を感じていないそうです。
そして資源ゴミの分別を始めてから、加藤さんのお宅では燃えないゴミを入れる袋が45リットルから30リットルに減ったということです。
豊島区はなぜボトルタイプに限ったのか。
清掃環境部計画管理課の北村さんは、「容器包装リサイクル法は対象物がわかりにくい、だから分かりやすいものから始めたんです」と話します。
本当は今年の4月から法律で定められたプラスチックの「容器包装」は「ペットボトル」のように、マークがつくはずでした。しかし実施は遅れています。
さて、豊島区が「ボトルタイプ」のものに限った理由はもう一つあります。
それは「リサイクルされて、製品になる当てがあること」です。
確かに製品になるあてがなければ、ただ分けて集めただけになってしまいます。
豊島区で集められたボトルタイプのプラスチック容器は太誠産業という会社が細かく砕き、塩素系のプラスチックを除いて、プラスチック加工品の製造会社に原料として収めています。
電線のケーブルの保護材や公園の擬木やベンチなどになっているということです。
国は法律を作って年間630万トンともいわれるプラスチックのリサイクルに乗り出しました。
しかし
- 分別するとき、わかりやすいこと、
- 必ず製品になることこの2点はリサイクルを成功させるためには重要です。
製品になる当てがないと、せっかく分別したものが結局、燃えないゴミや燃えるゴミと混ぜて処理することになりかねません。
またあちこちの自治体に取材しますと、
- 分別回収の費用が捻出できない自治体も多いようです。
容器包装リサイクル法では回収、中間処理を自治体、再製品化を事業者(プラスチック包装容器を作った)が負担しています。
しかし、もっと製造者の責任を大きくして負担を多くして欲しいという声が聞かれました。
3年早くリサイクルが始まったペットボトルは、確かにリサイクルされる量は増えています。しかしそれ以上に製造量は増え、結果としてゴミになるペットボトルは増え続けています。
つまり根本的にゴミを減らすことにはなっていないのです。
写真でもペットボトルは回収容器に入りきらず、(写ってはいないのですが)右側に袋詰めで積み上げられています。
(1.)、(2.)、(3.)、の点をクリアーして、本当にゴミを減らすリサイクルができるようになるにはまだまだ時間と試行錯誤が必要のようです。
リポーター 崎山敏也