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2000年05月11日
総合アセスメントって何?


写真は東京・杉並区内(住所でいえば久我山付近)を流れる玉川上水です。
上水の両側の道路は日祝日や朝は散歩やジョギングの人をよく見かけます。
ここに都市計画道路「放射第5号線」を通す計画があるのですが、計画するにあたって東京都が全国で初めて「総合環境アセスメント」制度を試しに導入しようというのです。

「環境アセスメント」はすっかりなじみになった制度です。
何らかの開発を行うときは、その事業計画が実施されることで、環境にどういう影響があるのか、予測して評価します。その上で、マイナス面を考慮しつつ、その事業を実施します。
ではなぜ「総合環境アセスメント」なのでしょうか?
東京都環境局の総合アセスメント担当の小島課長によりますと、これはいわば「計画段階のアセスメント」だと聞きました。普通アセスメントは事業計画が決まってから、行われます。 このため、「環境についての住民の意見があまり取り入れられない」 「最初から計画を通すための手続きにすぎない」という批判の声が出ていました。 そこで「総合環境アセスメント」では事業計画を固める前に複数の案を作り、 環境への影響をプラス面、マイナス面から評価し、住民の意見を聞いていきます。 それによって、住民の意見をより取り入れた「環境アセスメント」にしていこうという のが今回の趣旨です。

玉川上水については3つの案があります。(3月末に公表済み)
A案 玉川上水と緑地空間を現状のまま残し、その両側に道路を作る
B案 A案より緑地空間の部分を広げる(全体の幅が広がります)
C案 玉川上水を暗渠にする。その代わり、広い緑地帯を道路脇に作る

この3つの案について、それぞれ、環境配慮書が作られ、これから第三者機関の審査会が審査します。 その過程で、住民への説明が行われ、公聴会や住民からの意見書が提出されます。まだ手続きとしてはこれからの段階です。

しかしこの「総合環境アセスメント」について根本的な疑問を呈する人もいます。
付近の住民で作る「玉川上水と放射5号道路計画を考える会」のメンバーの 三宅初穂さんは「どんなに環境に配慮しても環境を壊すものだったら、 計画はやめようというのが入っているのが、総合アセスだと思っていたが、 そうではない」と話します。
つまり計画案の中に「計画をやめる」という選択肢がないという批判です。
これまでも自主的な植生調査などを行ってきた三宅さん達は 早速勉強会を開いて、「総合アセス」や三つの案について検討を 始めています。
その結果「都のどの案でも環境のマイナス面が大きい」という意見が 大多数だった場合、都は計画を撤回するのか?と問うているわけです。 都側の説明では「総合」という言葉をつかっているけど、 道路の必要性、経済性も含めて計画全体を評価するのではなく、 あくまで「環境」面の「計画前」アセスメントだと説明しています。

この写真を撮っているときも住民の方からよく「道路問題の取材ですか?」と声を掛けられました。「反対」の人が8〜9割ですが、中には「道路の必要性」とのなんらかの妥協が必要という声もありました。いずれにせよ、住民の関心の高さが窺えます。

これで従来のアセスメントに対する不満は解消されるのか?
(従来の環境アセスメントの弱点を補おうという理念は大変評価できるとはもちろん思いますが)
環境行政の試金石になるこの計画、今後も取材が必要でしょう。


リポーター 崎山敏也
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