今週のしつもん

Q2
広島の平和の石碑に「もう過ちを繰り返しません」と書いてありますが、その言葉は原爆を落としたアメリカ側の言葉なのではないですか?
小5、男の子

永先生:この問題はいつもでてくるもので、日本語は誰が誰に言っているのかよくわかりません。
男の子:はい。
永先生:本当はあなたが言うように、アメリカが日本に言っているのか、日本がアメリカに言っているのか、あるいは戦争に参加した人たちが参加しなかった人に言っているのか、あなたが言っているようにいつも話になります。
柳田先生:はっきりしないということですね?
永先生:そうですね。
おねえさん:う〜ん。これは誰が誰に言っている言葉なのですか?
永先生:広島市長が「人類一人ひとりが胸に刻み込む言葉です」とは言っていますが、たしかにそうなのですが、日本人の会話というのは誰が誰に何をしたというのがハッキリしないまま進んでいるケースが多いのです。
おねえさん:はい。
永先生:目的語が目的として使われていないということです。この石碑の場合、アメリカ人が読むと「あっ、アメリカだ!」と思うし、日本人が読むと、「日本の軍部だ!」と思うし、曖昧にしておくと曖昧なまま理解されやすい、言葉に対して責任の取りようがないのです。
おねえさん:そうですねえ。その部分はあえて、外してあるのですね?
永先生:そうですね。傷つけないように曖昧にして。皆でそう思いましょう…と。
おねえさん:皆でそういう思いを共有しましょうと。
永先生:日本人だから、アメリカ人だからではなくて、人としてこういう気持ちを持ちましょう!と理解されています。日本語は討論のできない曖昧な部分があるということを忘れないで下さい!
男の子:はい。

永六輔 先生/空想科学研究所主任研究員の柳田理科雄 先生

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