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2006年9月16日放送
質問1 今週はシングルカスクウイスキーのお話です。
答え
答え1 まず、カスクとは樽のことをいいます。単一の蒸溜所のモルトウイスキーだけでつくられるウイスキーはシングルモルトウイスキーと呼ばれ、その中でも、一つの樽のモルト原酒を瓶詰めしたウイスキーのことをシングルカスクウイスキーといいます。
モルトの熟成は貯蔵の年月だけでなく、貯蔵樽の木の種類、大きさ、さらには貯蔵する場所や位置によって微妙に変化し、樽ごとに異なる個性が生まれます。例えば、太陽に近い、屋根に近い上段の方が色も味わいも濃くなります。温度が高い方が樽材からの成分がより多く抽出されるためです。貯蔵庫の床に近くなるほど逆に繊細な味わいになります。それぞれの樽の特徴、味わいをそのまま楽しんでいただくために、樽出しの原酒に一切加水せず、最低限のろ過だけをして瓶詰めしています。例えばスパニッシュオークを使用したシェリー樽で15年間熟成したカスクでは、濃い茶褐色で、シェリー樽由来の濃厚な熟したブドウのような甘やかさが生まれ、アメリカンホワイトオーク材を使用した大型の樽ではやや赤みがかった黄金色が特徴のウイスキーが出来上がる、という具合です。どれもが世界でオンリーワンのウイスキーです。
ブランデーでも、ほんの少量ですがシングルカスク製品は出ています。なぜウイスキーのように普及しないかというと、フランスのお酒ブランデーはフランス料理のシェフのように、原酒のブレンドによってどう個性を出すかが腕の見せ所、という伝統の強さに関係していると思われます。製品1本1本に、蒸溜年月、樽の樹種、樽形状、貯蔵位置、樽番号、瓶に詰めた年月等を明記することもあります。そのウイスキーの歴史に思いをはせながらじっくり飲んでいただきたいと思います。
シングルカスクには、ウイスキーの味わいが濃縮されています。先ずはストレートですするように飲んで下さい。次に水を入れて少し薄めます。一口一口噛み締めて飲んで下さい。それからはお好みの飲み方でどうぞ。冷たい水で割ると、白くわずかに濁りが出ることがありますが、それは成分の多さの証拠です。やったー!と喜んでください。
答え
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