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2005年10月01日放送
質問1 今週は牛乳と牛についてのお話です。
答え
答え1 牛乳はメス牛、それも子どもを産んだ母牛から搾る、というと、人間のお母さんのお乳を考えれば当たり前のことなんですが、意外に「あっ」という方が多いんですね。牛乳は仔牛を育てるためのものですが、仔牛が必要とする量よりもたくさん乳が出るので、人間がそれを飲むようになったんです。
牛は年に1回、だいたい1頭しか子供を産みません。乳牛は子供を産むと、免疫を伝える一定期間、1週間くらいしたら子供を離して、それから後のおよそ300日は私達が飲ませてもらうための牛乳を出してくれます。
また、牛乳はホルスタインやジャージーなど乳専用の牛から絞ります。黒毛和牛とか、アンガスなどという肉専用の牛からは市販するような牛乳は採れません。牛の乳のタイプも違いますし、出る量も肉用の牛は少なく、成分も基本はタンパク質や乳脂肪、ミネラル、カルシウムなどですが、そのバランスが異なります。乳牛はおいしい牛乳がでるように育て方も餌のやり方も違ってきます。採れた乳が乳脂肪や無脂乳固形分(牛乳中の水分と乳脂肪分以外のもの、たんぱく質、炭水化物、ミネラル、ビタミンなどをいいます)など、一定の基準値を満たさなければ商品になりません。
牛以外に同じ家畜でも羊やヤギ、馬の乳は人間が利用していますが、豚の乳を飲んだりチーズにしたりという話は聞きませんね。農家の方に聞いてもハッキリしたことはわかりませんが、豚は1回のお産で10頭以上生みますし、およそ1時間ごとに一日何回も仔豚に乳を飲ませます。他の家畜と違って乳房の中に乳をいつも蓄えているわけではなくて、仔豚にやるとき以外は乳は出ないのです。仔豚にお乳をやるのが大変で人間にまで回ってこないんですね。
最近、酪農王国オランダで開発された画期的な機械「搾乳ロボット」というものがあります。これは、放牧されている牛が、乳が溜まって搾ってもらいたくなったら小屋に設置された自動搾乳機械に自分で入ってきます。機械が個々の牛を識別して乳房をきれいにし、搾るカップをつける、はずす、外へ誘導するなどが自動的に行われます。人は牛に使われる事なく、また牛は人に合わせる事がありません。しかし、非常に値段の高い機械でまだまだ十分に普及していませんが、のんびりしたストレスのない牛の環境をつくってやることは美味しい牛乳づくりに大変重要なことなのです。自然の摂理は偉大なのです。
答え
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