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―――最近「キレるこども」たちが話題になっていますが、脳の働きとの関係が解明されてきたようですね? |
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さまざまな要因が考えられていますが、そのひとつに「ゲーム脳」と呼ばれる、脳の一部分を過度に酷使することによって生まれる弊害が指摘されています。
長時間のコンピューターゲームによって脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)の機能が著しく低下することからこう呼ばれているのですが、この前頭前野は人にやさしくしたり他人の気持ちを思いやったりする部分といわれています。
コンピューターゲームを少ししかやらない子供と長時間ずっとゲームに興じているこどもの脳を調べてみると、少ししかやらないこどもの前頭前野はゲーム終了後、すぐ元の状態にもどるのに対し、過度にゲームをしているこどもの前頭前野は、ゲームをしていない時にも機能が低下したままになっている、というのです。
その結果、我慢ができなかったり、人の気持ちが思いやれず粗暴になる、といった傾向が出やすくなるようです。 |
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―――そんなことを聞くと、こどもからゲームを取り上げる親もいそうですね。 |
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いえいえ、これはあくまで極端な例で、ある程度の時間ゲームで遊ぶだけなら逆によい気分転換にもなります。だからそんなに神経質になる必要はないと思いますよ。
要は、何事にもバランスが大切、ということです。たとえば、ゲームが好きなお子さんには、一緒にラジオを与えてみる、というのもいい方法だと思いますよ。 ラジオを聴けば、脳全体がバランスよく活性化されますからね。
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―――ラジオが脳に与えるメリットとは何なのでしょう? |
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成長期のこどもにとって、大きく育つのは体だけではありません。
ラジオが脳に与えるもっとも大きなメリットは「(場面)想像」だと重ねて申し上げてきましたが、こどもたちにとって想像は、脳の成長に欠かせないとても大切なレッスンだと思います。
幼いこどもの脳は、ラジオの向こうの世界を思い描こうと、これまでの記憶や五感を駆使して必死になって想像を働かせます。
このとき脳は、前頭前野をふくめ、あらゆる部分がまんべんなく活性化されるため、ゲーム脳をはじめとする「脳の一部分を酷使することで生じる弊害」を防ぐことができるのです。目からの情報だけでなく、耳からの<見えない情報を見ようとする>センスを幼いころから身に付けておくことは、情操教育上もとても有効なのではないでしょうか。
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―――見えない情報を見るセンス…。なるほど! これはTBSラジオのパーソナリティがよく口にする台詞なのですが、ラジオは映像が見えていないはずなのに、その日の疲れや気分がテレビよりもリアルにリスナーに伝わってしまう、というんですね。これもラジオというメディアの特性と何か関係があるのでしょうか? |
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それはまさにラジオらしいエピソードですね。
ラジオは音だけの世界ですから視覚情報にごまかされることなく、話そのものの本質が伝わりやすい、ということは確かにあると思います。
たとえばインタビュー。
テレビだと話している人の表情や衣装など話の内容以外にさまざまな情報が同時に入ってきますが、ラジオは目からの情報が遮断されている分、その一言一句や微妙なニュアンス、話している内容の本質がより深く伝わりやすくなるのです。
いずれにせよ、小さいお子さんの生活環境にラジオを加えることで、想像力の芽はきっと大きく育つことでしょう。
親子で一緒に番組を楽しむ、というのもいい方法ですね。
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