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―――先生はラジオが脳に与える効用について様々な発表をされていますが、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか? |
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たとえばTVゲームに熱中している人と普通にラジオを聴いている人がいるとします。
脳が大きく活性化しているのは、どっちの人だと思いますか?
意外かもしれませんが、ゲームで目と手を必死に動かしている人は、目からの情報に俊敏に対応しているだけで、そのエキサイトぶりとは裏腹に、脳の活性は一部分に限られます。
対してラジオは、何気なく聴いているようでも脳全体の活性が非常に高くなっているのです。 |
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―――そのメカニズムを教えてください |
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仮にラジオで「いま、東京湾に鯨があらわれました」と放送されたとしましょう。
私たちは東京湾の情景、泳ぐ鯨の姿、鯨を見て驚く人々など、さまざまなシーンを想像しますね。
その映像はまさに千差万別。
東京湾に行ったことがない人でも、こんな感じかな?と頭の中で自由にイメージするはずです。
このとき、実際に脳の中では視覚を司る後頭葉の「視野野」が働いているのです。
耳から入った情報をもとに、頭の中で自分だけの映像を作り出して見ているのですね。
もちろん言葉を理解するために側頭葉の「言語野」も活発に働き、これに伴い前頭葉、頭頂葉なども総動員されて脳が全体的に活性化するんです。 |
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―――耳からの情報だけで「視野野」が働くのは驚きですね。ただ、TVゲーム中でも「視野野」が働いているのですから、両者の活性は同じではないのですか? |
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大切なのは「(場面)想像」なんです。
普段の生活で私たちがもっとも頼るのは目からの情報ですし、その情報量も膨大です。
目からの情報を優先するが故に、逆に視覚を裏切るような場面想像の機会を、あえて脳は持たないのです。
対してラジオは視覚の制約がない分、音と言葉によってイメージが十人十色に触発され、自由な想像力を働かせることができるのですね。 |
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―――場面想像というのは、そんなに大事なのですか? |
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ラジオを聴きながら巡らせる想像。
それは主に、脳の連合野という場所で行われるのですが、この連合野、実は人間の脳にしかない部分なんです。
人間が人間たるゆえんは「連合野」にある、とも言えるわけで、この連合野を鍛えるのにラジオはもってこいのメディアだと思っています。
想像による連合野のトレーニング、という意味では、「目」を使うモノよりは、ラジオを聴くほうが、脳の活性の高さに大きな違いが出るということだけは、いえますね。 |
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―――読書も「連合野」を鍛えるのによい方法だそうですね? |
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はい。 読書もよい方法と言えます。
ただ、読書も長時間行うと目が疲労しますし、またご高齢の方だと視力も低下してきますから、読みたくても読めないという状況もあるわけです。
そんなときでもラジオがあれば、ただスイッチをいれて聴くだけで脳のトレーニングができますからね。
私は講演会などでもラジオを生活の一部に取り入れるよう皆さんに提唱しているんですよ。 |
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