放送文化の向上に寄与した民放番組に贈られる
「日本放送文化大賞」で頂点に立った番組を年末に放送!
小さな集落に笑顔の絆が拡がっていく心温まるドキュメンタリー
全国の民間放送局で制作された番組の中で、「視聴者の期待に応え、放送文化の向上に寄与した」番組を顕彰する「日本放送文化大賞」で、今年の第7回グランプリを受賞した番組を全国放送する。
番組は山あいの過疎が進む集落の無人駅を舞台に、手作りの惣菜の販売を通して、絆を拡げていくおばあちゃんの姿を追った。寂れた集落に温かい笑顔の輪が、人と人の心がつながっていくハートフルドキュメンタリーだ。
“絆”がクローズアップされた2011年の最後に、人とのつながりを再認識するきっかけにして欲しい。
蒸気機関車が走る山あいに寂れた駅が立っている。抜里駅(ぬくりえき)は自慢のSLも停まらない無人駅だ。この駅舎で惣菜を作るおばあちゃんたちの姿があった。中心となっている、サヨばあちゃんこと諸田サヨさん(75歳)は、惣菜を駅舎で作って販売するだけでなく、この集落のお年寄りたちに配って歩いている。
惣菜がきっかけとなって、地区のお年寄りはサヨばあちゃんの訪問を心待ちにするようになった。「おかず」と一緒に「笑顔」を届けてくれるからだ。
唯一の話し相手だった妻を亡くし、地区の人たちとのつながりもほとんど断ってしまったおじいさんがいた。サヨばあちゃんは、そのおじいさんに惣菜を届けるようになった。はじめは心を閉ざしていたおじいさんも、だんだん打ち解けていき、笑顔を取り戻していく。
サヨばあちゃんは幼い頃に辛い経験をしている。「今は全てが幸せに見える。」と言う。辛い思いを乗り越えて笑顔を届けるサヨばあちゃんの温かさが、サヨばあちゃんに関わった全ての人に拡がっていった。
<ディレクター・阿部朋也(構成・演出・撮影を担当)>
サヨばあちゃんとの出会いは、私が木造の抜里駅の佇まいに魅せられ、撮影をしていた時でした。声をかけてきたサヨばあちゃんは、その日の陽気のようなぽかぽかとしたぬくもりが伝わってくるような女性で惹きつけられました。
サヨばあちゃんのオーラとは裏腹に、この地区はお年寄りの世帯が目立つ“限界集落”寂しさの漂う地区でした。その中で笑顔を絶やさず小さな絆を拡げていくサヨばあちゃんの“生きる力”が番組を見る方にもじんわり伝わってくれたらいいなと思っています。
ナレーター:ayako_HaLo
製作著作:SBS
制作協力:SBSメディアビジョン
プロデューサー:土方康太郎
撮影・構成・演出:阿部朋也